茨城県筑波山のふもとに、一大テーマパークがある。 狭い山道を、車でくねくね30分登った先に存在するユートピアだ。
園内は右も左もツッコミどころだらけ。あまりに完璧な配置に、途中から「もしかして天然ではなく、すべて計算されてるのでは・・・」と恐ろしくなった。
茨城県筑波山。ちょっとしたピクニック気分で登れる山なので、シーズンは家族連れやカップルでにぎわう。
そのふもとにあるロープウェー「つつじヶ丘駅」。歩いて登るのがしんどいなら、こいつに乗ればあっという間に山頂だ。
しかし、今回、話題にしたいのは筑波山ではない。
ロープウェー駅に併設されている一大アミューズメント施設をご紹介したいのだ。
これが一大アミューズメント施設の全貌である。
向かいにホテルまであるので、ディズニーリゾートならぬ筑波リゾートとでもいうべき複合型アミューズメント施設なのだ。
背面に筑波山をしたがえ、赤黄緑の原色な設備がゴチャゴチャと配備されている。
ぱっと眺めただけでも、ゆるげな看板、でっけえガマガエル像など、おもしろポイントが散見されるだろう。
駐車場にちらほら車が停まっているが、ほとんど筑波山の客。アミューズメント施設はガラガラだ。
握りこぶし状の石ころがあったり
でっけえガマ蛙のオブジェがあったり、のっけから飛ばしてる。
「自然とあそぼう」のキャッチフレーズが書かれたコーナー。
自然とはなんぞやと、檻を覗くと鴨が数匹いるだけ。
ガチガチに金網でガードされて、遊ばせるつもりなぞ、さらさら無い。
鴨の檻のわきにある木を見上げると、猿がくくりつけられていた。
階段のてすりにも何かがくくりつけられている。
「なんだろなー」と近づくと・・・
顔の無いコアラであった。
なんだ、顔の無いコアラか。
瞳孔の開ききったキリンもいる。
触るとエネルギーが伝わるという「手の石」もあるが、見た目はまるっきり普通の岩石。
さっきの握りこぶしの石をココに置いてはいかがだろうか。
「ミステリーゾーン」と書かれた看板が取りつけられている貯水タンク。
ご丁寧によじ登る用のロープまで渡っていたので、タンク上に上ってみたが、なーんにも無い。
隠し扉があるでも、隠しオブジェがあるわけでもなく、たんなる貯水タンクであった。なにをもってミステリーゾーンなのかがミステリーだ。
「四六のガマ生息池」と銘打たれた場所。長時間の観賞用にイスまで用意されている。
のぞいてみると、虫けら一匹いない水たまりだった。
ちょこまか歩き回っていると、遊歩道にぶつかった。
「遊歩道」などと気軽に記しているが、決して油断してはいけない。シームレスに筑波山登山口と繋がっているので、いつのまにか片道1時間の山頂への道を突きすすんでしまうぞ。気をつけろ!
さてさて、どれほど素晴らしいアミューズメント施設か、なんとなくご理解いただけただろうか。
では、この施設の必見ポイントを
1:衣料品を恐れている「ガマ洞窟」
2:素敵な素敵な「看板の群れ」
3:哀愁漂う「遊具たち」
の3つに分けてご紹介していこう。
●必見ポイント1:衣料品を恐れている「ガマ洞窟」
▲ガマ洞窟入り口
最大の見所といえば「ガマ洞窟」である。
ウォークスルー型のアトラクションで、既存のジャンルに分類するならお化け屋敷に属するだろうか。 入場料は500円。
入口に置かれた看板には、犬、サル、カエル、チェブラーシカがごちゃごちゃと張りつけられている。ガマ洞窟だというのに蛙一本に統一するつまりなど毛頭ない。
「お客様へ 入場料の払い戻しはいたしません」の警告文に、過去おこなわれたのであろう客とのやり取りが想像される。「これで500円?金返せ」「すみません」的なネゴシーエションを幾度乗りこえてきたのだろうか。
ほかの誰かは露知らず、私にとっては1千円分も2千円分も価値のあるアトラクションだった。
異世界は禁煙だ。
さすがは別世界、それぞれの時計がそれぞれの時間を刻んでいる。
時空も歪みだしたところで、ガマ洞窟に突入だ。
洞窟内はほとんど真っ暗。薄暗いという領域を超えている。
壁になにやら光っている物体が貼りつけられているので、よくよく見てみると・・・
サンダルであった。
横には靴下も貼られている。
蛍光インクで壁に描かれたドラえもん、チューリップ、スイカ、そして「死」。
小学生の絵日記のごとき楽しげなイラストにまぎれた、死。人はかならず、死ぬ。
反対側の壁には、オバキュウと「殺」。
かわいく見てても、奴はバケモノだということを忘れるな。
古めかしい掛け軸の後ろにかかってるのは、ハワイ柄のブラインド。
「いい汗流そう会」なる同好会のノボリもあちこちにかかっている。
怖くしたいのかなんなのか訳が分からない。
▲ピブッと鳴る床
お化け屋敷の定番で「踏むと変な感触がする床」ってのがあるが、ガマ洞窟はひとあじ違う。
踏むと、すっごく小さな音量で
ピブッ
と鳴る床があるのだ。
とてもとても小さな音なので、話しをやめて、耳を澄まよう。
手探りで進んでいくと、金網に取りつけられた靴下、帽子、Tシャツ。
派手なカラーリングの人形は、何重にも帽子をかぶり、握った槍の先端に靴下がはめこまれている。
さかさまにしたズボンに帽子をとりつけた謎のオブジェ。
なんだ、なんだ、この洞窟は!!
帽子と靴下ばっかりじゃねえか!!
この洞窟を作った人、帽子や靴下や衣料品全般が怖くて怖くて仕方がなかったのだろう。
恐怖の対象があまりにフェチ過ぎて、ついていけない。
やっとまともに怖いムードのエリアがあった。
不気味な人形が転がっている。
ん?
でも、帽子かぶってんぞ、この人形
「HAPPY BIRTHDAY!」と描かれた帽子だった。
洞窟最深部まで進むと「←巨大イノシシ」の表記がある。
そして姿をあらわす、イノシシの剥製。
ガマ洞窟でありながら、クライマックスがなぜイノシシか。
猪突猛進な「イノシシ明神」だそうだ。
入試突破や合格祈願は分かるけど、家内安全のご利益はムリがあるだろ。むしろ、家庭崩壊しそうだよ。
イノシシ明神の横は「ヘビの谷」と名付けられた岩場。
「どこにヘビがいるんだろうな~」と暗い岩場に明かりをさして、探していると、ギュウギュウに吸殻をつめたミカン網があった。なに、このオブジェ。
全然ヘビが見つからない。
根気良く隅っこまで照らしてみると、いた、いた。
看板の裏側にちょこーんと隠れひそんでた。
カピカピの作り物のヘビが。
これっきゃいないのに、よくもまあ大仰にヘビの谷と名付けたね!!
いちお、終盤に、2匹だけガマガエルのオブジェがある。
最後の最後にある展示は、パイロットがかぶるような帽子。
終始一貫、帽子と靴下であった。
出口は、お土産もの売り場に繋がっている。
このお土産コーナーもなかなかイケてるんだ。
たとえば「世界のこけし」の展示コーナーなんて、すごくいい。
これが世界のこけしだそうだ。
こけしの定義、すげえ広くとってんな~。
絵ハガキはオール200円。ただし包装はナシ!!
ハシは2膳で300円。1膳で売ってくれ~。
●必見ポイント2:素敵な素敵な看板の群れ
このアミューズメント施設は看板だらけ。どれもこれも異質な存在感をはなっている。
なかでもお気に入りのものをご紹介しよう。
(1)電波看板
3階の手すりにかかっている。
「日本ではじめて空をとびました。今屋上でちょっと一休みです。会って下さい」
となにやら電波な文章が書かれている。
「なんのことだ?」と向かいの建物を見ると、ガマガエルに乗ったシマウマのオブジェが置かれていた。
そいつをよりよく見るための望遠鏡まで備えつけてある。
そんなに見せたいのか。
(2)偽りの看板
看板をつけた当時より規模が縮小しているのだろう。多くの看板がはからずも偽りの情報をしめしている。
「3階 室内ゲームコーナーへどうぞ!」 とあるが、3階に室内ゲームコーナーなんて無い。
SLも無い。
(3)トンチ看板
「大人も乗れます」とあるが、矢印がしめす先には何もない。
われわれ大人は何に乗ればいいのか。「片手で叩く音を聴け」という隻手の公案を思いうかべた。
●必見ポイント3:哀愁漂う遊具たち
プレイコーナーにある遊具がどれもこれも哀愁が漂っていた。
横倒しになったコアラ
階段のしたに隠れ潜む、なにかの目盛り
波紋のようなヒビがはいってる新幹線
ロープにぶら下がって端から端までいく遊具
コンクリむき出しで、まったくすべらないすべり台
けっしてムーブすることなどない、サトちゃんムーバー
100円入れると、ときおり動くものもある。
ファミリーカラオケバスは、貴重な生きてる遊具である。
かつてハンドルだったものは持ち手が崩れ去り、ツマミのようになっていた。
流れる音楽でカラオケを歌う。 「かけごえ」というボタンを押すと、滅びゆくカラオケバスが「うまい、うまい」と褒めてくれる。
■『ガマ洞窟』の情報■
お勧め度:★★★★★
住所:茨城県つくば市筑波山つつじヶ丘 地図
電話:029-866-1480(三井谷観光)
時間:9時~17時
定休日:12月、2月、9月の木曜日
ご予算:500円
駐車場:あり
1:衣料品を恐れている「ガマ洞窟」
2:素敵な素敵な「看板の群れ」
3:哀愁漂う「遊具たち」
の3つに分けてご紹介していこう。
●必見ポイント1:衣料品を恐れている「ガマ洞窟」
▲ガマ洞窟入り口
最大の見所といえば「ガマ洞窟」である。
ウォークスルー型のアトラクションで、既存のジャンルに分類するならお化け屋敷に属するだろうか。 入場料は500円。
入口に置かれた看板には、犬、サル、カエル、チェブラーシカがごちゃごちゃと張りつけられている。ガマ洞窟だというのに蛙一本に統一するつまりなど毛頭ない。
「お客様へ 入場料の払い戻しはいたしません」の警告文に、過去おこなわれたのであろう客とのやり取りが想像される。「これで500円?金返せ」「すみません」的なネゴシーエションを幾度乗りこえてきたのだろうか。
ほかの誰かは露知らず、私にとっては1千円分も2千円分も価値のあるアトラクションだった。
異世界は禁煙だ。
さすがは別世界、それぞれの時計がそれぞれの時間を刻んでいる。
時空も歪みだしたところで、ガマ洞窟に突入だ。
洞窟内はほとんど真っ暗。薄暗いという領域を超えている。
壁になにやら光っている物体が貼りつけられているので、よくよく見てみると・・・
サンダルであった。
横には靴下も貼られている。
蛍光インクで壁に描かれたドラえもん、チューリップ、スイカ、そして「死」。
小学生の絵日記のごとき楽しげなイラストにまぎれた、死。人はかならず、死ぬ。
反対側の壁には、オバキュウと「殺」。
かわいく見てても、奴はバケモノだということを忘れるな。
古めかしい掛け軸の後ろにかかってるのは、ハワイ柄のブラインド。
「いい汗流そう会」なる同好会のノボリもあちこちにかかっている。
怖くしたいのかなんなのか訳が分からない。
▲ピブッと鳴る床
お化け屋敷の定番で「踏むと変な感触がする床」ってのがあるが、ガマ洞窟はひとあじ違う。
踏むと、すっごく小さな音量で
ピブッ
と鳴る床があるのだ。
とてもとても小さな音なので、話しをやめて、耳を澄まよう。
手探りで進んでいくと、金網に取りつけられた靴下、帽子、Tシャツ。
派手なカラーリングの人形は、何重にも帽子をかぶり、握った槍の先端に靴下がはめこまれている。
さかさまにしたズボンに帽子をとりつけた謎のオブジェ。
なんだ、なんだ、この洞窟は!!
帽子と靴下ばっかりじゃねえか!!
この洞窟を作った人、帽子や靴下や衣料品全般が怖くて怖くて仕方がなかったのだろう。
恐怖の対象があまりにフェチ過ぎて、ついていけない。
やっとまともに怖いムードのエリアがあった。
不気味な人形が転がっている。
ん?
でも、帽子かぶってんぞ、この人形
「HAPPY BIRTHDAY!」と描かれた帽子だった。
洞窟最深部まで進むと「←巨大イノシシ」の表記がある。
そして姿をあらわす、イノシシの剥製。
ガマ洞窟でありながら、クライマックスがなぜイノシシか。
猪突猛進な「イノシシ明神」だそうだ。
入試突破や合格祈願は分かるけど、家内安全のご利益はムリがあるだろ。むしろ、家庭崩壊しそうだよ。
イノシシ明神の横は「ヘビの谷」と名付けられた岩場。
「どこにヘビがいるんだろうな~」と暗い岩場に明かりをさして、探していると、ギュウギュウに吸殻をつめたミカン網があった。なに、このオブジェ。
全然ヘビが見つからない。
根気良く隅っこまで照らしてみると、いた、いた。
看板の裏側にちょこーんと隠れひそんでた。
カピカピの作り物のヘビが。
これっきゃいないのに、よくもまあ大仰にヘビの谷と名付けたね!!
いちお、終盤に、2匹だけガマガエルのオブジェがある。
最後の最後にある展示は、パイロットがかぶるような帽子。
終始一貫、帽子と靴下であった。
出口は、お土産もの売り場に繋がっている。
このお土産コーナーもなかなかイケてるんだ。
たとえば「世界のこけし」の展示コーナーなんて、すごくいい。
これが世界のこけしだそうだ。
こけしの定義、すげえ広くとってんな~。
絵ハガキはオール200円。ただし包装はナシ!!
ハシは2膳で300円。1膳で売ってくれ~。
●必見ポイント2:素敵な素敵な看板の群れ
このアミューズメント施設は看板だらけ。どれもこれも異質な存在感をはなっている。
なかでもお気に入りのものをご紹介しよう。
(1)電波看板
3階の手すりにかかっている。
「日本ではじめて空をとびました。今屋上でちょっと一休みです。会って下さい」
となにやら電波な文章が書かれている。
「なんのことだ?」と向かいの建物を見ると、ガマガエルに乗ったシマウマのオブジェが置かれていた。
そいつをよりよく見るための望遠鏡まで備えつけてある。
そんなに見せたいのか。
(2)偽りの看板
看板をつけた当時より規模が縮小しているのだろう。多くの看板がはからずも偽りの情報をしめしている。
「3階 室内ゲームコーナーへどうぞ!」 とあるが、3階に室内ゲームコーナーなんて無い。
SLも無い。
(3)トンチ看板
「大人も乗れます」とあるが、矢印がしめす先には何もない。
われわれ大人は何に乗ればいいのか。「片手で叩く音を聴け」という隻手の公案を思いうかべた。
●必見ポイント3:哀愁漂う遊具たち
プレイコーナーにある遊具がどれもこれも哀愁が漂っていた。
横倒しになったコアラ
階段のしたに隠れ潜む、なにかの目盛り
波紋のようなヒビがはいってる新幹線
ロープにぶら下がって端から端までいく遊具
コンクリむき出しで、まったくすべらないすべり台
けっしてムーブすることなどない、サトちゃんムーバー
100円入れると、ときおり動くものもある。
ファミリーカラオケバスは、貴重な生きてる遊具である。
かつてハンドルだったものは持ち手が崩れ去り、ツマミのようになっていた。
流れる音楽でカラオケを歌う。 「かけごえ」というボタンを押すと、滅びゆくカラオケバスが「うまい、うまい」と褒めてくれる。
■『ガマ洞窟』の情報■
お勧め度:★★★★★
住所:茨城県つくば市筑波山つつじヶ丘 地図
電話:029-866-1480(三井谷観光)
時間:9時~17時
定休日:12月、2月、9月の木曜日
ご予算:500円
駐車場:あり
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