
錦糸町にある木工芸の資料館。
資料館とはいっても、堅苦しさはゼロ。
館長さんのまった~りとした解説、ゆる~い展示
が特徴の楽しい珍スポットでございます。並みのスーパー銭湯より癒されますよ。
では詳細をご案内しましょう。
資料館は錦糸町の駅近く。運営元である乾木工芸(株)の持ちビルに入ってて、マンションを兼ねています。
見学するには、事前予約が必要。当日の午前中に電話したところ「お昼食べに行くから、12時から3時の間はいないけど、そのあとなら多分いると思うよ」と館長さん。まるでヨーロッパ諸国のような大胆なお昼休みの取り方です。
まったり感が特徴とか言っといてなんですが、入り口には全長10mほどのドラッキーなオブジェがあります。デカいから目立つ、目立つ。
一番下の怪人が、ゾウを支えてて…
ゾウの鼻の上には、赤い胸像が乗っています。
いったいなんなんでしょうか。悪夢でも見ているのでしょうか。なぜだか「マリファナ」という単語が、僕の脳裏をかすめました。
すぐ近くには、異常に細長いトーテムポールもあります。
長すぎて自重で弓なりになっています。隣のビルにもたれかかり、なんとかバランスを保っている状態です。今にも折れてしまいそう。
■館長さんのガイドでゆる~い木工芸を堪能しよう!
事務所に入ると、館長さんがお茶をすすってくつろいでいました。50~60代の穏やかな表情の方です。
見学に来た旨つげると「あー、さっきの電話の人か。付いてきて」とスタスタと外へ。
ちょっとちょっと!どこ行くのよ?
そっち、駐車場だよ!?
え?そんな隠し部屋みたいなとこにあるの!?
あった。
畳でいえば20畳ほどのスペースに、詰めこめるだけぎっしり展示物を詰めこんでいます。雑然とした並べ方で、一見、物置小屋みたい。
「木に親しむものは清し」「緑を愛し木を愛す」「木を愛する心を子供たちに伝えられればと」などの標語があちこちに書かれています。
嬉しいことに、館長さんがひととおり展示物を解説してくれます。ゆーったりとした語り口で癒されるー。
木は捨てるとこがない
解説中、何度も何度も
「木は捨てるとこがないんだよぉ」
と言っていました。豚は捨てるとこがない、というのは聞いたことがありますが、木については初耳です。木材を愛する気持ちがビンビン伝わってきます。
「こんなね、半端な材料もね、工作に使えるんだよ」とバケツに入った端材を指差します。
なにこれ?
「たとえば、ほら、こういうの作れるから」と手渡されましたダックスフンドとおぼしき代物。
「なんですか、コレは?」と尋ねると
「なにこれ?ちょっと分かんない」
と館長さん。分かんないんかい!
「ちょっと待ってね。なんとも言えない味わいの鳥があるから。それ、見せたいんだよぅ」と棚をごそごそやり始めました。ゴチャゴチャしてるので、なかなか見つかりません。
なんとも言えない味わいがある鳥
「あ、あった。ほら、羽のあたりがなんとも言えない味わいがあるんだよ」
と見せてくれたもの。
う、うん、まぁ確かに、なんともいえない味わいがありますね。
なんか種だらけの皿
「こないだ小学生が来て、コマを作ったんだよ。よく回るよ。」と、なにかの種がちらばってる皿の上でまわしてくれました。ちょっともー、なんの種!?
確かによく回っていましたが、種のほうが気になってしまいました。
「この木の観音様はねえ、1つ1つ彫ったから、すごく時間がかかったんだよ。」と見せてくれた観音菩薩。これも館長作。
上手い。普通にすごく上手い。
本職は家具職人、だから、本気だせばスゴい!
どうやら館長さんの本職は家具職人だそう。なので、本気を出せばこの通り。本格的な彫刻も出来るんです。
さっきのダックスフンドだとかニワトリだとかを作った人の作品だなんて信じられない!
レバーが取れちゃうレコード
「ほら、レコード。レバーをこうやって回して、動かすの。あ、取れちゃった」
レバー、取れちゃってました。
メイン展示の木製金庫でございます
「これがメイン展示の木製金庫だから。お金入れてレバー回してごらん」と促されるままに、10円を投入。
10円で仏さまを拝めるよ
扉を開けると大黒天が。仏像はやっぱうめえなあ。
■まだまだあるよ、おもしろ展示!
ひととおり解説を終え、すみっこで休む館長
「じゃあ私は休んでいるので、好きに見てください」と隅っこでボーッとする館長。
なんてまったりとした空気感なんだー。あー、すごくいい。
では、おもしろ展示がいくつもあるのでご紹介しますね。
紙粘土でつくったコアラとヤバイ人間
もはや木工芸ですらない。孫が作ったんだとか。ぜひ資料館の跡継ぎになってほしい。
彫刻の横に、ウルトラマンと白バイのフィギュアが
イノシシの彫刻の横に、ウルトラマンと白バイのフィギュアが置かれています。
たぶん、孫のオモチャなんだろうね。
木の根っこで作られた鹿の剥製
木の根で作られた鹿の剥製。ツノは木刀置きとして使っていた。
うん、木は捨てるとこがないね。
転ばぬ先の杖
「転ばぬ先の杖」と名づけられた杖。40本くらいあった。こんだけありゃあ一生転ばないね。
頼めば作り方も教えてくれるらしいけど、適当な長さに枝をちぎれば出来そうだ。
日本、否、世界中で1つしかないオリジナルブローチ
「日本、否、世界中で1つしかないオリジナルブローチ」という仰々しいキャッチフレーズがつけられていた。1つ1800円で購入可。
著作物販売コーナーには冬物語が
館長さんの著作物が販売されているコーナー。
「木と木工」「希望ひとすじ木工の道」といった著作の横に、原秀則著「冬物語」が。ブックオフの100円コーナーによく置いてあるマンガですね。
世界の名石も見れるよ
木だけじゃなくて、世界の名石も見れます。8個見れます。
じっくり40分ほど鑑賞してる間に、ウトウトしている館長さん。
帰るむね伝えると「もし良かったら、名前と感想書いてって」と来場者ノートを渡されました。来場者は1ヶ月に2人くらい。だけど、名古屋とか北海道とか日本中から来ている様子です。北海道の人は、いったいぜんたいどこでココの情報を入手したんでしょうか。
帰り際、小雨が降っていたのでビニール傘をくれました。なんて優しい人なのでしょう。「木を愛するものは清し」の標語はウソではなかったようです。
という具合です。
まあ好みの分かれるタイプの珍スポだとは思いますが、個人的にはかなり好きです。来館のさいは事前予約をお忘れなくー。
■「乾燥木工芸資料館」の情報■
オススメ度:★★★★☆
アクセス:JR「錦糸町駅」から徒歩4分
住所:東京都墨田区錦糸2-9-11
電話:03-3625-2401
営業時間:10:00~17:00
定休日:土日祝
予算:無料
関連URL:とくになし