『養老天命反転地』 オススメ度:★★★★☆


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岐阜県養老郡にあるアートスポット。

「大変すべりやすく危険です。注意してください。」という看板が、園内のいたるところにあります。
それもそのはず、このテーマパーク、あえて歩きにくく作ってあるんです。写真を見てもらえれば分かりますけど、急勾配の斜面を登ったり、足場がめちゃくちゃ不安定。
平らな場所はまったくありません。
運動神経に自信がない人にとっては、危険かもね!



●養老天命反転地の作者「荒川修作」のエピソードがスゴイ!!

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▲荒川修作氏

養老天命反転地は、荒川修作が作りあげたテーマパーク。
荒川さんは2010年74歳で亡くなったアーティストで、第二次大戦後の前衛芸術をひっぱった1人として、紫綬褒章も受章してるって人なんですけど。
この荒川さんにまつわるエピソードが、どれもこれもスゴイんだ。 
いくつかご紹介しますね。

岡本太郎に弟分として可愛がられていた荒川修作。
「面白いヤツがいる」と太郎は荒川を三島由紀夫に紹介しに行った。
三島が自己紹介代わりに渡した自著を荒川は「下らない」と窓から投げ捨て、大喧嘩に。
岡本太郎は喧嘩をなだめるのに相当苦労したらしい。

出展:saitate blog

荒川修作さん亡くなったのだね。いろんな逸話を聞いたけれど、50円硬貨を駅員に渡して「はい、1万円」と言って、延々ねばった挙げ句、駅員が上司に「これ50円ですよね?」と不安気に確認した話が忘れられない。

出展:TWITTER

NYでボブ・ディランと暮らしていた荒川修作。ディランは荒川が自分のことをあまりにも認めてくれないので、「俺、結構有名なミュージシャンなんだ」と自分の全レコードを差し出した。荒川は「音楽なんでクソだ!」と全部投げ捨てた。

出展:saitate blog

ね。
スケールでかすぎ。
こんな人が作ったテーマパークなんて、面白いに決まってるっしょ!
期待が膨らみます。 
詳しくは↓をご覧くださいまし。






●園内はすべりやすく大変危険です!!
 
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養老鉄道「養老駅」から徒歩10分。
ついこないだ紹介したばかりの養老ランドの真向かいにあります。
入場料は710円。平日の昼間だったけど、カップルやファミリーなど10組はいたかな。
そこそこ賑わってるかんじ。

園内に入ると、いたるところに注意書きがあります。
「大変すべりやすく危険です。注意してください。運動靴、ヘルメットの無料貸出をしています」
「樹木の植えてある穴には入らないでください(出られなくなります)」
などなど…。
いや、待て、出られなくなる穴があるのはマズいだろ!!
なんちゅうテーマパーク作るんだよ、荒川さん。やっぱ、突き抜けてんな。
「大丈夫かな」と物怖じしながら、進んでいくと…








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えー!
いきなし、ものすげえ急勾配な斜面!!
こりゃあ、たしかに運動靴じゃなきゃダメだわ。
ヒールなんかで立ち入ったら、登れんわ。




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息を切らしたのか、子どもが途中で休憩してます。
そりゃそうだ、子どもにはキツかろう、この斜度。




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斜面を登りきると、片方にしか手すりがない、危なっかしい道。
ここ、歩くのー!?
足が滑れば、転がり落ちてしまいます。雨の日は絶対来たくないな。
いやあ、あんだけ注意書きがあるのもうなづけます。

開園当初はケガ人が相次いだそうですが、荒川氏は「案外少ないな!」と平然としてたんだって。
ケガも想定のうちなんでしょうね。この作品。
とはいえ、さすがの態度。貫いてます。
あ、ここ最近は、混雑日に係員をおくなど、事故を未然にふせぐ対応がされてますんで、あしからず。




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内側は、「楕円形のフィールド」というメインパビリオン。
パビリオンというか、くぼ地です。




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養老公園サイトより引用

ちょいと、僕の撮影テクでは全貌をとらえきれないので、公式サイトより写真を引用。
すり鉢状になってて、内側のくぼみに、さまざまな展示が置かれてるってわけ。
公式サイトに、「楕円形のフィールド」の使用方法がありましたので、ご紹介しておきましょう。

●バランスを失うことを恐れるより、むしろ楽しむこと
●進む速さに変化をつけること
●しばしば振り向いて後ろを見ること

などは、理解できます。
でも、以下の使用方法については、もはや、意味すら分かりません。

●不意にバランスを失った時、世界をもう一度組み立てるのにどうしても必要な降り立つ場の数、種類、位置を確かめること。
●実際に通っている所と同じくらい目につき、興味を引かれる所、あるいは降り立つ場があれば、すぐ、もうひとつの出来事が起こっている所として出来るかぎり見極めること。

いったい、どう解釈すればよいのでしょうか。
ま、とりあえず、頭に叩き込んで、「楕円形のフィールド」に降りるとしましょう。
這いつくばるように、おそるおそる坂をくだります。 





●楕円形のフィールドには、平らな場所がまったくない!

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平らな場所は、まったくありません。
慣れるまでは、あっちにフラフラ、こっちにフラフラ、足元がおぼつきません。  
ぐにゃぐにゃ曲がった瓦のある道を歩いたり…。




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大人1人通るのがやっとの道を歩いたり…




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▲「白昼の混乱地帯」

ソファーが置き捨てられていたり…




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▲「宿命の家」

突起物が飛びでていたり…
歩きにくいこと、この上なし。
でも、この歩きにくさが天命反転地の狙いなんですね。
3歳の子どものほうが、大人よりもラクラク進める場所もあれば、40歳の大人のほうが有利な場所もある。 
与えられた環境に、1人1人の異なった体をぶつけていくことで、今まで不可能と思ってたこと可能になるかもしれない(つまり、天命が反転する)。
そういう狙いがあるんだとか。 

ところで、このテーマパーク、けっこうカップルが多いんです。
危ない坂道を、彼女の手をとって進み、「大丈夫??もう、帰る?」なんてやり取りをしてました。
あー、天命、反転させてえ!




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「チクショー、俺も一発、天命を反転させて、ロシア人女性(それもシンクロ選手)と、ここ来たいよ!」などと考えながら、ヨチヨチ、ヨタヨタ歩いていると、謎の穴を発見。
んー?奥になにかあるのか??





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ちらっと覗くと、穴は奥へ奥へと続いてます。
よし、進んでみよう。




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あれ?
外に出ちゃった。
この穴から入れば、受付通さずに、タダで園内に忍びこめちゃうじゃん!
うーむ、もしや、忍びこめることさえ意図的なのかな。
荒川氏だったら、やりかねない。







●「極限で似るものの家」で、自分の名前を叫ぼう!

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▲極限で似るものの家

「楕円形のフィールド」とは別に、もう1つメインパビリオンがあります。
その名も「極限で似るものの家」
アートだなあ。アートな名前だなあ。
天井が岐阜県の形になってる家(!?)で、入り口が無数にあります。
ここの使用方法も、公式サイトにあったんで紹介しますね。

●何度か家をでたり入ったりし、その都度違った入口を通ること。
●思わぬことが起こったら、そこで立ち止まり、20秒ほどかけてよりよい姿勢をとること。

は分かるんですけどね。


 ●自分の家とのはっきりした類似を見つけるようにすること。もしできなければ、この家が自分の双子だと思って歩くこと。 

は、無茶な相談じゃございませんでしょうか。
この家と自分が双子だと思う、って。


さらに、

●中に入ってバランスを失うような気がしたら、自分の名前を叫んでみること。他の人の名前でもよい。

は、ヤバくないか。
僕の近くには、カップルがいたんだけど、叫んでも平気なのかな。「茂信っ!!」って。
係員を呼ばれたり、悪い方向に、天命が反転しそうなんだけど。




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▲壁に分断されたベッド



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▲半分だけの便器



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▲壁にめりこんだソファー

と、まあ、こんな感じで、さまざまな家具が壁にめりこんでます。
幸いバランスを失うことはなかったので、名前を叫ばず、済みました。






●記念館だって反転してる!

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荒川氏のインタビュー映像を見るためのギャラリーも、この有様。
最後の最後まで、反転しまくりなのでした。








「養老天命反転地」の情報
オススメ度  ★★★★☆ 
アクセス  養老鉄道「養老駅」から徒歩10分 
住所  岐阜県養老郡養老町高林1298-2
電話番号  0584-32-4592 
営業時間  9:00~17:00
定休日  月曜日(祝日なら翌日)、年末年始 
予算  大人710円 
関連サイト  公式サイト