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ちょいとオススメの本を紹介しようかなと。
その名も「八画文化会館 VOL.2」
年1回発行で、内容は「ワンダーJAPAN」を煮締めて、さらに濃ゆくしたような雑誌でございます。
昨年発刊された創刊号も、ブログ上で檄オシしたんですけど、VOL.2も読みごたえゴリゴリなんだわ。
24ページにもおよぶ特集は、味のある珍ホテル。 
「ロープウェーに温泉作っちゃったホテル」「月の世界をお風呂で再現しちゃったホテル」などなど 






7年前、ワンダーJAPANの創刊号を手にしたさいに思った。
「なんだ、こりゃ!カオスだな!」って。
「フツーの旅はもう飽きた」をキャッチフレーズに、廃墟に巨大建築、あやしい神社仏閣を紹介しまくるガイド本。
どのページも、既存の観光ガイドじゃ見たことのない情報ばかり。
廃墟・あやしい神社・巨大建築…。
「こんな旅のやり方があったかー!!」と晴天の霹靂、脳がさめる衝撃だった。
ごった煮過ぎるぜ、わけわからん、と混乱しつつも毎号毎号買っていた。

そして、2011年。
わが道をゆくワンダーJAPANに初のライバル誌登場、その名は「八画文化会館」

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カッパが手をふり、どんと終末観光の文字。
表紙だけを見ても、どんなジャンルの雑誌か判別不能。
ページをめくると、んまー、ワンダーJAPANに輪をかけての混沌ぶりなんですわ。
そんな『八画文化会館』。待ちに待ったVOL.2が、2012年8月に発刊されたのだ。





●ワンダーJAPANをヴィレッジバンガードとするなら、八画文化会館はドンキホーテだね。

取り扱っている物件は、たしかに似ている。
だけれど、香ってくる空気感が違う。
ワンダーJAPANを「ヴィレッジバンガード」とするならば、八画文化会館は「ドンキホーテ」。
無造作に情報を詰めこんでいるようで、意外と整理されてて、全体の仕上がりがスマートな、ワンダーJAPAN。
対して、「八画文化会館」。
ローカルパン特集、希少8cmCD特集、ニセキャラ特集などなど、おもしろければ何でもあり精神で、珍情報を圧縮陳列。読者を混沌にひきずりこみ、宝探し感覚を味あわせる、まさにドンキホーテ的編集センスなのだ。


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▲珍スポが整然と700個もならんでる『ワンダーJAPAN700』

「八画文化会館 VOL.2」とほぼ同時期、今年8月に発売された『ワンダーJAPAN 700』は7年間の総集編。
700個の珍スポットが整然と並べられている。
関東だけでも230個、東京だけでも80個を載せているという網羅っぷり。

たとえばこんな項がある。

東京拘置所

都心から、荒川を水面高く越えて東武伊勢崎線がすべりこむ小菅駅は、高架式のため非常に見晴らしがいい。
そこから東の方向にひとつだけ翼竜プテラノドンのようなどこか殺気だった雰囲気のこの建物は97年から改築が進められており、いまや地上12階、地下2階の建物は冷暖房完備。
上層部からは荒川河川敷を見下ろせるだろう。
いまも、刑事被告人、死刑囚、受刑者の方々合わせて2000人がここに収容されている。

東京拘置所をオススメする観光ガイドが、ほかにあるだろうか。
ひとまず、この1冊さえ買っておけば、10年間は珍スポ観光に事欠かない。 





●『八画文化会館VOL.2』の24ページにもおよぶ特集は、良い味でてるホテル

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いっぽう、『八画文化会館VOL.2』。
今号の特集は、ニューロマンティックなホテル。つまりは、いい味出してるホテルだ。
ホテル。滞在時間も長く、旅における重要要素。
部屋、フロント、お風呂…。
オーナーの意向を表現できる要素が多いし、世の中には、むちゃくちゃホテルがたくさんあるだろう。
しかし、いかんせん、珍ホテルにまつわる情報は少ない。
珍スポットのように1日何件もハシゴできないし、コストだって馬鹿にならない。
泉麻人氏の東京ディープな宿 (中公文庫)、WEBサイトの日本ボロ宿紀行など、あるにはあるけど、まだまだ未開拓の領域。
そんな辺境のジャンルに、八画文化会館がフロンティアスピリッツを抱き、切り込んでいるのだ。


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▲ホテル太公望の月世界大温泉

たとえば、ホテル太公望の月世界大温泉には、こんな解説がなされてる。

その名も「月世界大温泉」。
鼻血が出るほど強烈なネーミングだ。しかし、現在の太公望は、この月世界大温泉という名前を表に出していないので、一部マニアを除けばその存在はほぼ知られていない。
(中略)
しかしご覧のとおり大浴場には、不思議テイスト全開の月世界が残っていたのだ!
私は月面着陸しながら風呂に浸かるという、アポロ11号も成し遂げられなかった偉業を、和歌浦で体験できたのだ。最高である。

と。
ともすれば、たんに「時代遅れで汚い」とネガティブ評価をくだして終わりそうな穴場を、「鼻血がでるほど強烈」「アポロ11号も成し遂げられなかった偉業」などと褒めたたえつつ、掘り出してくれる。
なんて信用できる雑誌なんだ! 
その他、懐かしの自販機がずらっとならんだ「自動販売機ホテル」、ロープウェーのなかにお風呂をつくちゃった「アポロ風呂」(ただし、閉鎖済み)など、ソソる物件もりだくさん。
さっそく10月にでも、千葉県の「ホテルジャングルパレス」に泊まってこよう。
ジャングル仕立ての大浴場には、ヤシの木が生えてるんだとか。鼻血が出るほど、最高っしょ!




●まとめ

「八画文化会館」の珍ホテルを拠点に、「ワンダーJAPAN」に掲載されてる全国の珍スポをめぐる、なんてのが通の楽しみ方ではないでしょうか。