
2月24日(日)に葛西でひらかれた、奇祭「雷大般若祭」に行ってまいりました!
女装したおっちゃん達が町中を駆けめぐるお祭りなんです。
警察も、消防団も、カメラクルーも、みんな必死で走りまくってて、カオスで楽しかったなー。レポします!

葛西の町をぷらぷら歩いていると、掲示板に心躍る告知が貼られていた。
”葛西に残る唯一の奇祭 雷大般若祭”
だって。ほほう、奇祭ですか。いいですな。
調べてみると、これがたしかに奇。
女装をした男たちが、町を1日中ねり歩くらしい。
女装をした男たちが、町を1日中ねり歩くらしい。
江戸時代後期、結核にかかった妹を救うため、とある兄ちゃんが妹の長襦袢を着て、厄払いをしたことに由来するらしい。
一時期中断してたときもあるけど、昭和40年ごろに復活したという、歴史のある祭りなんだな。
一時期中断してたときもあるけど、昭和40年ごろに復活したという、歴史のある祭りなんだな。
「雷大般若祭」なんてイカつい名称なのに、女装とはねえ、ギャップ萌えだね。行くっきゃない。
■実際、見に行ってきたよ!

▲休日の朝8時30分だけど、この人だかり。意外に人気ある。
というわけで、開催日2月24日(日)に行ってまいりました。
スタート地点は葛西駅の真蔵院ってお寺。朝8時半という早い時間にもかかわらず、この人だかりですよ。地元の人のみならず、テレビ局のクルーも何社か入っていた。ぶらり途中下車の旅とかね。
ぜんぜん聞いたことない祭りだし、朝早いし、もしも見学客が俺1人だったらどうしよう、「うわ、今年見にきた奴いるよ」みたいなリアクションだったらどうしよう、と不安だったんだけど、杞憂でした。良かった、良かった。

▲コース図
貼られてたコース図を見ると、どうやら町内をぐるっと一周するみたい。
9時から始まって、15時にゴールするという6時間ものハードスケジュールだ。

▲近所のご婦人方が、豚汁を作って、無料で配ってた

無料で配ってた豚汁を食べながら、祭りのはじまりを待つ。
まだまだ朝方は冷える季節ですからね、暖かい汁ものはありがたい。

もそもそと配給品を食べてるうちに
「準備が終わったので、今から参加者たちがやってきます!道を開けてください!」
とアナウンスが。
待ちわびてた人々が、カメラを片手にシャッターチャンスを狙っている。

「うおーっつ!」
という雄たけびとともに、男衆が駆けだしてきた。


この通り、ばっちり白塗りのメイクに、女ものの着物を羽織っている。
髪型は基本的に短髪のまんまなんだけど、一部、気合の入ってる人はカツラをかぶっている。

お堂の前に全員集合。総勢50人ぐらい。オール女装。
色とりどりのメイクと衣装で、歴代仮面ライダー大集合みたいな不思議な格好良さがあった。
キラキラとした彼らの表情からは、女装をしていることへの妙な充実感を読み取れる。
見学者からは「○○さん、カワイー!」「○○くん、写真撮るからこっち向け!」などと野次が飛び交っていた。

鏡開きをして…

グイっと一献。
酒でも飲んで景気づけしなきゃ、女装で6時間も練り歩けまい。
■警察も、消防団も、走って走って走りまくる!


「さあ、出発しますよ!そこどいて!」
と間髪いれずに、行軍スタート。
経文が入った箱をかつぎ「わっしょい、わっしょい」のかけ声で、境内から駆け出していく。

あっと言う間に、走り去ってしまった。
やべえ、速いぞ!
置いてかれないよう、僕も走って、追いすがる。

▲車道を全力疾走する
”町をねり歩く”なんて表現してたけど、とんでもない。
ほとんど全力疾走!

女装の男衆も、カメラ機材を抱えたテレビクルーも、みんな走る、走る!

警察も、消防団も、走って走って走りまくる!

行き交う車が、すぐ脇を走りぬけ、早朝の町に響きわたる「わっしょい、わっしょい」のかけ声!
なんだ、なんだ、この整然としてない、カオスなお祭りは!!
楽しい!楽しいぞー!!
■1件目のチェックポイントに到着だ!

▲一軒目のお宅にぞくぞくと入っていく、女装集団
走ること、5分。
1件目のチェックポイントであるお宅に到着。
ハアハアと息を切らした消防団のおっちゃんが「おいおい、マジかよ。すげえ本気で走るじゃねえか!」と驚愕の声を漏らしていた。
同日に開催されていた東京マラソンに負けず劣らずの運動量だ。

この1件目のお宅は、神主宅。
庭で一休みをするようだ。

▲参加者、見学者にお菓子や飲み物がふるまわれた。

▲男衆がかついでた経箱。なかに経文がはいってる。

▲即席の撮影会もひらかれていた。ノリノリである。

▲ご神木を抱えた三役。衣装もちょっと違う。
「あと3分で出るぞー!」と号令がかかる。
どうやらタイムキーパーがいるようだ。
休憩を終え、みんなで3本締めをして、再スタート。
こうやって、家々を巡っていくらしい。
■女装集団が、町中を駆け巡るぜ!


さすがに少しバテたのか、スピードはダウンしていたが、威勢のいい「わっしょい」はそのまま。
狭い住宅街をあっちへいったり、こっちへいったり、駆け巡る。

チャックポイントのお宅の前で「おめでとーう」と叫びながら、塩をまいて、三本締めをする。
祝福を受けるのは、毎年決まったとこで、昔から地元に住んでる人の家なんだって。
やることは同じなので、最初は大量にいた見学者も、じょじょに脱落していった。
30分もすると、ついてきてるのは僕と数名ほどだった。

▲事態を呑みこめていない住人たちの「なんだこれは!」な表情を見るのも、楽しい
日曜朝の「わっしょい、わっしょい」に驚いて、部屋から顔をのぞかせる住人たち。
目の前にいるのは女装の集団。「いったい何ごとですか?」と話し合っていた。
とある家では、窓ごしにシーズ犬が吠えまくってたり。
冷め切った現代社会に、こうしてご近所コミュニケーションが生み出されたのだ。
1時間半ほどついて回って、僕もお祭りからおさらばした。
ここから4時間半まわるんだもんなあ、すげえわ。
雷大般若祭、想像以上に奇妙で、楽しいお祭りでした。
■「雷大般若祭」の情報■
オススメ度 | ★★★★☆ |
アクセス | JR「葛西駅」から徒歩15分 |
スタート場所 | 真蔵院 |
住所 | 東京都江戸川区東葛西4-38-9 |
開催日 | 2月最後の日曜日 |
時間 | 8:30~15:00ぐらい |
関連サイト | 公式サイト |
男にはX染色体とY染色体があり、染色体の血が騒ぐのではなかろうか。
永六輔曰く「男は女の出来損ない」だそうな。