青森県田舎館村では「田んぼアート」と称して、田んぼの稲穂でイラストを描く村おこしをおこなっている。今年のテーマは「花魁とハリウッドスター」「ウルトラマン」の2作品だ。洋服のシワ、体の影まで表現しきって、尋常じゃないクオリティーの高さなのだ!
●第1会場「花魁とハリウッドスター」
現在では山形県の米沢や新潟など各地でおこなわれている田んぼアートだが、その発端となったのが青森県田舎館村のもの。1993年、村起こしの一貫として、村役場裏手の田んぼで開始した。毎年20万人ぐらいの観光客が訪れているので、村おこしとしては大成功といったとこだろう。昨年からは会場が2つに増えている。
第1会場は田舎館村役場の展望台からみえる。2会場共通の鑑賞券(300円)を買って、最上階へ。
▲田んぼアート「花魁とハリウッドスター」
1.5haと広大な田んぼに描いてるからど迫力。稲だけでこれほどの立体感を表現するなんて驚きだ。
左の花魁は梅沢富美男、右のハリウッドスターはマリリンモンローの「七年目の浮気」のワンシーンがモチーフになっている。
地元のおばあちゃんも「こりゃ、スゲエ!」と感嘆の声をあげていた。だよね。
品種の異なる稲を何種類もうえ、色を出している。緑は「つがるロマン」、白は「ゆきあそび」、赤は「べにあそび」といった具合。もちろん着色料なんて使っていない。ふとももの影やスカートのシワなんかも表現できてるんだから、とんでもねえ技術だ。
「原材料い~稲」とフェイスブックネタも盛り込まれている。若いんだか古いんだかわかんねえギャグセンスだ。
●第2会場「ウルトラマン」
第2会場は道の駅いなかだてにある。第1会場から歩いて40分ほど。ガッツがあれば歩けないことはない。本数は少ないけど時間がうまく合えば、バスも出てるよ。
第2会場の作品名は「ウルトラマン」。おもわず「うおー、でけえ!」と声が出た。横にでかすぎて、パノラマ撮影できない僕のカメラじゃあ1枚でおさまりきらなかった。
▲ウルトラマン
▲ピグモンら敵キャラ
横に並べられている電車と比べれば、そのでかさは一目瞭然。
「こんだけデカけりゃグーグルマップで見えるんじゃねえか」と思い、調べてみたところ、見えた見えた!写真データが2011年のものだから第2会場はまだ無いけれど、村役場のほうははっきり目視できる。
上から眺めるぶんには、まるで稲っぽさがないんだけど、地上から見れば、ああやっぱり田んぼに植えられてる稲なんだなあ。なんか「マリオのピクロス」を思いだした。
田植えシーズンに村の人たちで協力して植えるんだそうだ。
▲1993年~2001年 岩木山
過去作品は写真展示されているんだけど、そのクオリティーの上がりっぷりに、また驚愕。
1993年~2001年は上記の岩木山を作ってたそうだけど、この頃はまだ絵画性まるでなし。
▲2003年 モナリザ
10年やってだいぶ進歩したとはいえ、それでもまだこのレベル。
▲2012年 非母観音と不動明王
なにが起こったんだってぐらい進化している2012年。うーん、やっぱり長年続けてみるもんなんだなあ。技術力の蓄積ってあるなあ。今後のパワーアップにも目が離せませんな!
今年の会期は10月14日まで。ちょうど今ぐらいが稲の色が鮮やかで見ごろだそうなんで、青森行く方は立ち寄ってみてくださいなー。
■「田舎館村 田んぼアート」の情報■
オススメ度 | ★★★☆☆ |
アクセス | 弘南鉄道「田舎館駅」から徒歩15分(弥生の里)と30分(村役場) |
住所 | 青森県南津軽郡田舎館村 |
電話番号 | 0172-58-2111 |
営業時間 | 9:00~17:00 |
会期 | 6月3日~10月14日まで(2013年度) |
予算 | 2会場で300円 |
関連サイト | 公式サイト |
・情報発信の仕方がメディアから観点を離れ、行った旅行者の口コミが幅広くのリーチに及ぼした。
・ビジュアルがウェブでの宣伝にキーになった。
そして、恐らく、地元のmillenialが大人になり、デザインに手をがけることができ、一層上の色遣い工夫を細かく挑戦する機会があったのでは。