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石川県の金沢駅にあるお茶漬け屋『志な野』は、北陸を代表する珍店だ。なにが珍って 、そりゃあね、経営してる夫婦が「やっほー」しか喋らないのだ。マジだから、マジ。意味が分からないと思うんだけど、マジで「やっほー」しか喋らないの。
個人的には最強ランクの珍スポだと思う。兼六園より21世紀美術館より行くべき場所だと思います、はい。
 

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金沢駅の歓楽街、お水なお店がいっぱいある通りのすぐ近くにある。一見、小料理屋のような外観。営業時間も22:00から翌2:00までと深夜のみ開店してるのだ。
扉をあけると、カウンターに奥さんが立っていて、開口一番

「やっほー!!」

っと声をかけられた。いきなりの洗礼。いらっしゃませ代わりのヤッホーのようだ。



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カウンター5席ほどと座敷席1つのこじんまりとした店内。24時をまわっての来店だったが、近くで働くホストや、ヤッホー目当ての若者グループで満員。壁はお客さんが書いてったサインやラクガキだらけなのだ。

5人で訪れたので座敷席に通されるも、ご主人が横になって寝ていた。
「お父さん!!お客さん来たから!」
と叱りつけられ、もぞもぞ起動するご主人。そういう時はヤッホーじゃなくて、きちんと叱るんだ。客がいない店内で寝てるマスターはたまにいるけど、客がぎっしり入ってるのに寝てる人ってはじめて出会ったー。すげー、超アジア的だぜ!



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テーブルの上にはメニュー表。さけ茶漬け、のり茶漬けなどの茶漬けメニューと雑炊メニューがあるようだ。「どれにしようかなー」と眺めていたら‥






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ドンっ!ドンっ!ドンっ!!
とつぎつぎ机に置かれる人数分のお茶漬けセット。


え??

あたい、まだ、何も注文してないよ‥



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最後にダシ汁のはいった急須を置くやいなや、ご主人は

「まとめてヤーーーーッホ!!」

と高らかに吠え、カウンターの奥へ消えていった。


な‥

なんのこっちゃー!


メニュー表にはいろいろ書かれているが、どうやら実質頼めるメニューは「ヤッホー茶漬け」1品だけ。カウンターに座ったお客さんたちは「ヤッホー1つ」などと注文していたが、しばらくなにも言わなけりゃ自動的に出てくるようだ。ヤッホー茶漬けってのメニューになかったんだけどなあ。のちのち請求されたお代から逆算するに「志なの茶漬け」に相当するのだろう。
我々も「ありがとうございます」の代わりに「‥やっほ」と答え、お皿をいただく。言い慣れてないから、少し気恥ずかしさの残る小さなヤッホーであった。



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▲ヤッホー茶漬け(こと、志なの茶漬け) 730円


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わかめ・梅干し・しらす・シャケ・昆布などが別皿でよそわれている。好きな分だけ丼にうつして、ダシ汁をかけて食べる形式なのだ。

「はし、ヤーーーッホ!!」

と持ってきてくれた箸で、サラサラいただく。
ちなみにご主人の声はけっこう高くて「ヤッホー」と言うことに特化したボーカロイドのような風情である。



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具が残ってる限り、ご飯のおかわりは自由。
「おかわりください」と頼むと、奥さんが

「やーっ!」

と返答、ご飯を持ってきてくれた。
やっほーから進化して、「やー」と略すようだ。独自の言語進化を遂げ、ダチョウクラブみたいになっている。
あとから入ってきた常連さんは、おかわりのさい「やっほ!」と一声かけるだけ。ご主人も「やっほ!」と答え、ご飯をよそっていた。そう、この場において「おかわりください」なんて回りくどい表現は不要。「やっほー」だけですべてのコミュニケーションが可能なのだ。
見た目はちょっとアレな感じだが、普通にうまいお茶漬けだ。7杯食べきると色紙を飾ってくれるらしい。

店内を飛び交う「具やっほー!」「やー!」「漬物やっほ!」「やっほ2つ!」「やーーーーっ!」「やーーーーーっほっ!」の大洪水で、退店するころにはすっかりヤッホー慣れした我々。
「会計やっほー!」
と声高に宣言し、店を出た。
良い。あまりにも良い店。個人的には『かがや』なんかとタメをはる最強ランクの珍スポだと思う。金沢行くなら、絶対に、絶対におすすめ。兼六園より21世紀美術館よりも行くべき店と断言しよう!最高!







「志な野」の情報
オススメ度  ★★★★★ 
アクセス  北陸本線「金沢駅」から徒歩30分/バスなら10分ぐらい 
住所  石川県金沢市片町1-10-10
電話番号  076-222-0323 
営業時間  22:00~翌2:00
定休日  日曜
予算  ヤッホー茶漬け730円 
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