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秘境駅というものをご存知だろうか?
「車道がなく電車でしか行けない」「まわりに人家が少ない」「周囲が断崖絶壁」などの条件を満たした駅で、秘境駅研究家の牛島氏が『秘境駅へ行こう!』というサイトで提唱している。
そんな秘境駅のなかでもトップクラスに秘境なのが、徳島県の土讃線の『坪尻駅』。駅のまわりにあるのはトンネルと植物と山だけ。商店はもちろん、民家や車道すら存在しない正真正銘「陸の孤島」なのだ。




一両編成の土讃線で、いざ秘境駅へ!

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秘境駅『坪尻駅』は徳島県三好市に存在する。1両編成の土讃線でガタゴト向かう。
秘境駅とは「車道がなく電車でしか行けない」「まわりに人家が少ない」「周囲が断崖絶壁」などなど秘境と呼ぶに値する駅のこと。牛島さんという秘境駅研究家のかたが「秘境駅へ行こう!」というサイトで提唱している。珍スポ好きなら興味をそそられること間違いなしのサイトなので、まだ読んだことなければ読んでみては。
そんな牛島さんが作った秘境駅ランキングで、坪尻駅はみごと第7位にランクイン。日本を代表する秘境駅なのだ。



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▲整理券発行機

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▲ドア開閉の押しボタン

ちなみに土讃線の車内には「ドア開閉の押しボタン」「整理券の発行機」があるよ。
乗降客が少ない駅は自動でドアが開かないからボタンを押すのね。で、整理券は無人駅で、かつ切符の券売機もないような駅から乗るばあいに取るわけ。地方ローカル線では珍しくないけど、都心部に住んでるとお見かけしない機能だよね。



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▲坪尻駅に到着

高松駅を出発しておよそ1時間、坪尻駅に到着。下車して探索を開始だ。




これが日本を代表する”秘境駅”の全貌だ!

ホーム

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ホームに降りて、土讃線を撮影。見えるのはトンネルと線路と山だけ。ジーコジーコとセミの鳴き声が響いている。



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ホームに立てられている柵は、植物のすみかになっていた。



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▲坪尻駅の駅舎(待合室)

木造の古い駅舎だが、こまめに清掃はされているようだ。



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これ、駅前一等地だからね。下車、即、草地。
あまりにも熱心に写真をぱちぱち撮りまくっていたら、通過待ち中の車内から何名かホームに降りてきた。とあるおじいさんは「60年ここらに住んでるけど、初めて降りたよ」と言っていた。近所の人でも降りることはないそうだ。それもそのはず、この駅を利用しているのは現在たった1名


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▲駅舎の張り紙

駅舎の張り紙には以下のように説明されている。

開業当初は、利用者も多く池田町に天秤棒を担いで野菜販売に行く行商の方や、近隣の学校に通う通学生などで賑わっていましたが(中略)、今では地元のかた、開さま(ひらきさま)1人となりました。

利用客は開さん1人だけなんだって。乗客の名前まで特定できてるなんて、秘境駅は通常の常識では測れないぜ。秘境駅目当ての観光客もいるし、上下線のすれ違いをしてダイヤの調整もできるしってことで、駅のままにしてるのだろう。

10分間の通過待ちを終え、乗ってきた電車は行ってしまった。
ホームに残ったのは僕1人。カバンを待合室のベンチに置き、探検を再開した。



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ちょこんと盛り上がってる石の舞台がホームだよ。



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向かいから見るとこんな感じ。
現役の駅だなんてとても思えない立地と佇まいだ。



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いちおう踏み切りもある。



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▲スイッチバックを採用している

なお、この駅はスイッチバックを採用している。スイッチバック駅は四国では、ココと新改駅の2つだけ。
スイッチバックとは、傾斜のきつい場所を登るさいにジグザグに線路を作ったりして、鋭角に車両を進路変更すること。左側の路線から来た電車は、バックで右側のホームのある路線へと切り返してくる。



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坪尻駅60年を記念して植樹されたモミの木が植えられているよ。



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▲灰皿

使われなくなってどれほど経つのだろうか。灰皿は自然と同化しつつあった。



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▲トイレ

無人駅だがお手洗いは完備されている。写真を載せるには抵抗感のあるトイレだけど、まあ、そんなもんでしょ。




待合室内

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待合室にはベンチが2つ設置されている。ネットを見ると、秘境駅好きの方はしばしばここで駅寝(駅の施設で一夜を明かすこと)をするそうだ。僕はお化けが怖いので無理です。



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「おつかれさま」と看板が吊り下げられている。反対側は「おはようございます」だ。朝に利用客がいたころの名残りですな。



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待合室には坪尻駅が登場する「鉄子の旅」やライトノベルが置かれているよ。電車の待ち時間も退屈しない。



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▲坪尻駅記念スタンプ

平成22年2月になくなり、同年4月になぜか青森県の津軽線中沢駅で発見されたという奇跡のスタンプ。じつに1300kmの長旅をしてきたというわけだ。「不思議体験アンビリーバボー」が喰いつきそうな、なんともロマンのある話しじゃないの。



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▲駅ノート

どっさりと用意された駅ノート。熱狂的なファンを持つ駅だけあって、消費ペースはかなり速い。3~4ヶ月に1冊のペースで埋まってる。mixiの坪尻駅コミュのノートなんてのもあるよ。
僕も2013年8月22日の欄に大好きな動物ハダカデバネズミを描いておいたので、もし降りる方いらっしゃいましたら探してみてください。



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書かれてる内容は「念願の坪尻駅にようやく来れました!」という熱いメッセージが多数。親子連れ、カップルなどで来る人も多いようだ。なかには上記のような周辺探検メモもある。




駅周辺

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駅舎のすぐ目の前に、植物にからめとられている看板が。「なんて書いてあるのかなー」と近寄ってみると‥。



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「マムシ注意」だって。こんなとこでマムシに噛まれたら、救急車もこれないし、次の電車は数時間後だし、助からねー!
さっそくスマホでマムシ毒について検索。噛まれると意識混濁、体液減少性ショック、重篤な場合は呼吸不全を起こし、年間約3000人が被害を受け、10名ほど死んでいるらしい。



以後、藪を歩くさいは慎重を要することとする。



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駅からは3本、”道と言われれば道”というレベルの獣道が通じている。
「オヤ床→」と謎の看板が立てられたこの道の先には、唯一の利用客である開さんのご自宅があるそうだ。石ころと砂っぽい地面が足場がゆるゆる。マジでこんなとこ通ってるのか、開さん。足腰強いしバランス感覚抜群だな。
滑って下まで転げおちそうだったので、諦めてすぐ引き返した。



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もっとも道らしき道はこちら。20分ほどこの山道を歩くと国道にでるそうだ。



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進むやいなや、廃屋があらわれる。



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ぼろぼろになったバイクが置き捨てられていた。



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布団や靴などそのままに放置されていた。以前は人が住んでいたのだろう。なぜかドラムセットもあった。真っ昼間なのに鳥肌ものの不穏な空気。僕はお化けが恐ろしくて仕方ないので、訪れたのが夜だったら発狂していたことだろう。



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失禁するまえに廃屋から逃げだし、山道を歩いてみる。ある程度進むと、竹がなぎ倒されてるわ、くもの巣張りまくりだわでサクサクと前に進めない。国道まで行くのは諦め、引き返した。諦めの良さが美徳です。




次の電車まで2時間半ひたすら待つ

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▲スカスカの時刻表

探検が終われば、あとは次の便を待つばかり。阿波池田行き12時33分の便を降りたので、次がくるのが14時54分。じつに2時間半の待ち時間。反対側の高松方面行きともなると、13時52分に降りてしまったら19時26分まで5時間30分来ないからね。
ひたすら駅ノートを読んで過ごすことに。



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駅舎のベンチで読んで



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ホームでも読んで



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階段でも読む。



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長いようで短い2時間半。駅ノートを貪り読んでいたら、あっという間に時間になってしまった。阿波池田行きのワンマンカーに乗り込んで、次の目的地、大歩危駅へと向かうのであった。

通過待ちの数分間にちょちょっと見学するのでなく、思い切ってえいやと途中下車することをお勧めしたい!秘境駅でしか味わえない、なんとも独特な2時間半を過ごせるだろう。スケジュール調整を誤ると、5時間半待つことになるけど。当然、自販機なんて無いから、この駅で降りるさいは、水や食べ物を用意しといたほうが良いよ。


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▲秘境駅探索するさいに、すんごく参考になるよ、この本。


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▲こっちは写真メインの。







「坪尻駅」の情報
オススメ度:★★★★☆
アクセス:土讃線「坪尻駅」
住所:徳島県三好市池田町西山
電話番号:-
営業時間:-
定休日:-
予算:-
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