
この世には無数の『道案内動画』が存在する。が、そのほとんどが同じようなフォーマット。
しかし、なかには「撮影者が一歩も動かない」「ほとんど地面しか写っていない」などなど、画一化する道案内業界に反旗をひるがえす先鋭的な動画も存在しているのだ。
ときには、駅から店へ導くため。
ときには、国道からイベント会場へ導くため。
この世は数かぎりない道案内動画に充ち充ちている。
そのフォーマットはどれもこれもほとんど同じ。
目印になる建物にテロップを出したり、お店のスタッフが解説しながら歩いてみたり。
「客を目的地へ導く」、動画の存在目的がこれ以上なくはっきりとしているのだから、同じ形式に収斂されるのは当然の結果だろう。
しかし、百本に1本、千本に1本の割りあいで、底光りするアイデンティティーを隠しきれない、食えない道案内動画たちが存在する。これはたんなる道案内の領域を超え、「作品」と呼ぶのがふさわしい力を宿している。
YOUTUBEにあがっている道案内動画を片っ端から見て見て見まくった私が、ここに8つの異端的道案内をご紹介しましょう。
●1:どこにもつかない道案内
ヨガスタジオへの道案内動画である。GOOGLEマップを利用した珍しいタイプのもの。
ナレーションはなく、最終的に道路のまっただなかで終わる。
● 2:ほぼ地面しか映っていない道案内
上野駅のとあるホテルへの道案内動画。
人の顔を写さないため、レンズは常に下を向いており、ほぼ地面しか映っていない。
ファーストキッチンでちらっと上を向くのが高ポイント。
●3:妙な効果音の道案内
秋葉原のコミュニケーションルームへの道案内。
途中途中で効果音が入るのだが、これがなんとも気の抜けたもの。「ぷぅ」という雑魚キャラが倒されたときみたいな音が鳴るのだ。
「ぷぅ」の一種類だけかと思いきや、1:26のとこで「がばば」というこれまた気の抜けた効果音が使われてる、その意外性も二重丸だ◎
●4:撮影者が一歩も動かない道案内
飯屋から駐車場への道案内。
タイトルどおり撮影者が一歩も動かずに案内を終える。カメラポジションがたいへん素晴らしい動画だ。
●5:生卵を買いにいく長い長い道案内
18分を超える道案内動画。
2~4分の動画が大半を占める道案内動画界のなかでは、かなり長尺である。
それだけの長い時間をつかって何をするのかといえば、生卵を買いにいくだけなのだ。
海外、おそらく東南アジアのどこかであろう。日本と海外の生卵への感覚の差が分かる、文化的な道案内だ。
●6:あまりに近すぎる道案内
秋葉原のホテルへの道案内動画。
近い、あまりにも近すぎる。はたしてわざわざ動画を作成する必要があるのだろうか。
瞬きをせずにご覧いただきたい。
では、最後に私が一番お気に入りの道案内動画を紹介して、終わりとしよう。
●7:すべてを口で説明してしまう道案内
いかがだろうか。
移動するのかとおもいきや移動しない。口ですべてを説明してしまっている。
道案内動画という存在そのものに疑問を叩きつけた意欲作である。
今後も道案内動画からは目が話せない。
素晴らしい動画を発見なさいましたら、ぜひメールにてお教えいただければ感激の極みでございます。