
岡山市のバイパス沿いにある食堂、それが「平田食事センター」だ。トラック運転手たちの空腹を満たす憩いの場として機能している。無骨さと萌えが混ざり合った不思議空間なのだ。
●元気のでる食堂、それが平田食事センターだ!


岡山市のバイパス沿いに位置する食堂なので、利用客のほとんどがドライバー。長距離運転手も多いようで、駐車場には、でっけえトラックがごろごろ止まっている。
私は宇野線「早島駅」から歩いて行ったんだけど、そんな奴はほとんどいないんじゃないかな、25分くらいかかるし。
24時間営業で、キャッチフレーズは元気がでるテレビならぬ「元気がでる食堂」だ。

タバコやジュース、ポップコーンにスポーツ紙など森羅万象ありとあらゆる自動販売機が軒を連ねている。

連絡求む看板もかかっていた。
中津急行の運転手に4月1日の事故の件で5月2日に声をかけてくださった運転手さん、お電話お待ちしております。看板はだいぶ色あせていたが、いったい何年の5月2日なんだろう。なぜ食堂にテレホンカードを預けたのだろう。気になる、気になるぞ、その事故の内容。
倒置法的におかれた「お礼もしたいのですが」との最後の一文により、どうやら物騒な話しではないことが推察される。

入口のとこに
ぶちすげえ平食 AUTOSALON(萌)
と、突然、方言をぶっこんできた。暗号じみた文言であるが、ここ平田食事センターを通は”平食”と略すらしい。
「それにしたって(萌)っていったいなんだ」と疑問が残るが、一歩足を踏み入れれば、ミステリーは氷解する。この食堂、無骨さと萌えが渾然一体となった不思議な空間なのだ。
●無骨さと萌えが融合した食堂、それが平田食事センターだ!

まずは無骨部分を見ていこう。
写真は、平食のメインコンテンツたる食堂だ。使いふるされた茜色のビニール椅子、個性を押し殺した渋いテーブルがずらっと並ぶ。
写真奥の店舗にはもともとデイリーヤマザキが入っていたのだが、撤退したらしく、エンブレム部分が空欄になっていた。

おでん50円、ひじき100円、きりぼし大根100円の計250円。
飯を食べたばかりだったので、隠居のお昼みたいな茶色いセットで申し訳ない。お腹さえ空いていれば、読者のみなさんに炭水化物を見せてあげられたのだが。

水は、コップではなくワンカップの空き瓶に注ぐ。ソトコトよ、これがLOHASだ。

割り箸立てだってビールジョッキで代用。
飢えた男の空腹さえ満たされれば、それでいい。なんて無骨でハードボイルドな世界なんだ。

柱にはなぜか「文春文庫」のレトロな看板が取り付けられている。渋い。

食堂すぐ横に売店もあるのだが、棚はがらっがら。

しかし、軍手や作業手袋の品揃えだけはやたら豊富だ。タフレッド、ジョイハンド、コットンセーム‥。見たことも聞いたこともない商品名が踊っている。我々の知らないところで、手袋業界は群雄割拠の戦国時代に突入していたようだ。

一転して、併設されているゲームコーナーはパチスロだらけ。
軍手といい、パチスロといい、狙ってる客層がこれほど明確にターゲティングできている店はそうそうあるまい。コンサルの経営指導でも受けているのだろうか。

UFOキャッチャーには、トラック運転主がなぜか持ちがちなセカンドバックが入っていた。
実際、うちの父親も以前トラック運転手だったが、当時このタイプのセカンドバッグを持っていた。業界内で談合でも結ばれているのだろう。
●とつじょ現れる萌え要素!

と、ここまで無骨を貫いた平田食事センターなのだが、UFOキャッチャーコーナーの奥に進むと、「萌え」ののれんがかかった一角があらわれる。それ以外の場所とあまりにもトーンが異なるので「草萌ゆる春」のほうの、萌えかと思いきや、秋葉原のほうの萌えで間違いないようだ。

壁には涼宮ハルヒのイラストが飾られてるし、腕のワッペンが平食だし。どうした。突然コンセプトがごちゃごちゃになってしまった。

「萌えみくじ」なるルーレットゲームもあった。巫女さんの顔にむりやり萌えキャラの切り抜きを貼りつけている。
うーむ、トラック運転手は萌え系キャラよりも、倖田來未みたいに素材の分からないテカテカ光る服を着て、サーカスのライオンが火の輪くぐりできそうなほどでっけえイヤリングしてる女の人が好きだっていメージなんだけど。こういう需要もあるのだろうか。謎だ。

と、油断させておいて、柱にはりつけられてる物騒な張り紙。
こちらでモザイク処理をしたが、実際のものはしっかり顔も写っている。罪名の欄に記載されているのが、全部まとめて無期懲役クラス、情状酌量の余地無しのパンチが効いた文言たち。‥ええと‥ネタですよね。‥ネタだといいな。
■「平田食事センター」の情報■
オススメ度 | ★★★☆☆ |
アクセス | 宇野線「早島駅」から徒歩20分 |
住所 | 岡山県岡山市箕島2818 |
電話番号 | 086-281-1802 |
営業時間 | 24時間営業 |
定休日 | - |
予算 | - |
関連サイト | 公式サイト |