
瀬戸内海に浮かぶ広島県の離島。周囲4km、小一時間歩けばぐるっと一周できる小さな島に、ウサギが500匹放し飼いにされている。
それだけならカワイくって女子ウケに偏ったマカロンみたいな甘々な島なんだけど、大久野島にはもう1つの側面がある。世界大戦中、秘密裏に毒ガス製造をしていた『毒ガス島』でもあるのだ。

▲フェリーで15分。大久野島に到着!
広島県のJR呉線「忠海駅」から徒歩5分。忠海港からフェリーに乗って、ほんの15分ばかりで到着する離島が大久野島だ。こういう離島へのフェリーって、たいがい1日3~4本しか運行してなくてアクセス困難なのが相場だけど、この島へのフェリーは1時間に1本以上運行してるので、気軽に渡航できるよ。


島に到着するなり、いきなりウサギがいるわ、いるわ。ベンチの下でキャベツをむちょむちょ食べていた。人慣れしてるから、しゃがむと無防備に近づいてくるのね。カワイくてけしからんホッペタしやがって。
周囲4km、ぐるっと一周歩いても1時間ちょっとで巡れちゃう小さな島に、野生のウサギが500匹ほど生息してる。
もともとは、1970年代に島の小学校で飼ってた8匹のウサギを、放し飼いにしたところ、ほんの数十年でここまで増殖したらしい。さすがの生殖能力。雑誌「プレイボーイ」のマスコットキャラがウサギなのは、動物界のなかでもウサギの性欲が異常なほど強いからなんですよ。まぁ、詳しくは「ウサギの驚くべき生殖の実態」という記事でもお読みくださいまし。見た目のウブさに騙されがちだが、とんでもねえゴシップネタ抱えてますよ、こいつら。

看板に描かれるのは、もちろんウサギちゃん。
撫でたり、エサをあげるのは自由だけど、抱っこするのはNG。ストレスがたまるし、場合によっては骨折しちゃうこともあるからだって。

▲釣りをたのしむ人
島内にはテニス場があったり、バーベキュー場があったり、釣りを楽しめたりと、自然を存分に満喫できる。




自然を満喫しつつ、ウサギと触れ合う。なんて心洗われる島なのでしょうか。
探しまわるまでもなく、あっちゃこっちゃにウサギいるのね。ちょっとした広場には、10匹やら15匹やらの小師団ができてるもの。

ウサギは水を飲むと死ぬ、なんて都市伝説があったんだね。知らなかった。そりゃ迷信だろうよ。

レンタサイクルを借りて、島巡りをしたんだけど、ちょっと手を差し出すと「エサくれるのかな??」って近づいてくるのね。うい奴よのう。
●道にしゃがみこむ女子、多数!

ウサちゃんだらけの島ということもあって、遊びに来ているのは、圧倒的に女の子が多い。
ぐるっと島を巡っていると、目につくのが、道ばたにしゃがみこんでいる女子たち。

矢印で示したのは、すべて女子。
うら若き乙女たちが、地べたにしゃがみこみ、一心不乱でウサギを撫で、エサを食べさせ、そして無心で見つめていた。
友だち同士で「カワイイ~♪」だの「写真撮って~♪」などと浮ついている子はほとんどいない。みんな、マジもマジ。各自、個々別々に、無言で、すさまじい集中力で、ウサギを撫で、見つめているのだ。座禅にも通ずる、ストイックな空気感。ここは禅寺か。本気でなにかに魅了された人間は、黄色い声をあげないものなのか。ウサギの神通力、おそるべき。
●島のあちこちに存在するウサギモチーフ

▲休暇村
こちらの休暇村では宿泊もできるし、食事だけの利用も可。

ホテルの入口前にもやっぱりウサギがいるんだな。

ロビーにはウサギの特大パネルが。

飲食コーナーには、うさぎの鼻くそソフトクリームが販売されている。ウサギなんだから耳クソのが良いんじゃないかと思うんだけどね。良くはないか。注文しにくい場合は「コレ」と言えば、伝わるらしい。

俺が頼んだのは、こちらのカレー。
普通のカレーの上に、なにがしかのから揚げが乗ってますよね。
これ、なんのから揚げだと思います??
ちょっと考えてみてください。
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(シンキングタイム)
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はい。
安心してください、タコです。
タコの唐揚げなのです。
ウサギじゃなくて、良かったですよー。
「そりゃ、そうだろ。ウサギをウリにしてるのに、ウサギ食わせるとこがあるかよ」って方、世のなかにはあるんですよ。茨城にある、ふれあいパーク「ダチョウ王国」では、ダチョウと触れ合ったあとに、食堂でダチョウ肉が食えるのですから‥。

工事中の柵にもウサギのイラスト。だが、上はクジラ。
●ウサギだけじゃない!「毒ガスの島」でもあるのだ。

▲毒ガス貯蔵庫跡
とまあ、ウサギ要素だけでもお腹一杯なんだけど、大久野島はそれだけじゃあございません。
この島、第一次世界大戦から第二次世界大戦にかけて、毒ガス製造をしていた島でもあるのです。1925年のジュネーブ議定書で、化学兵器の戦争使用が禁止されていたので、機密性を保てるこの離島に毒ガス工場が作られたってわけ。
『大久野島毒ガス資料館資料館』をはじめ、当時の様子が伺い知れる施設跡が保存されているのだ。

こちらは、猛毒で皮膚がただれるガス「イペリット」が保存されていた場所。いまなお残っている台座のうえに、10トンタンクが乗っていたそうだ。
もともとは毒ガスを保管していたところに、ウサギがぴょこぴょこ跳ねてる光景に、ラピュタ的な世界観を感じる。


▲陶器製毒ガス製造機
陶磁器製の毒ガス製造機も展示されている。
部品と部品のあいだにちょこんと佇むウサギが、なんともミスマッチ。


▲毒ガス貯蔵庫
こちらは、大規模な毒ガスの貯蔵庫。
当時はコンクリを迷彩柄に塗り、施設前に3~4mの小山を作って隠していたそうだ。





関連施設のなかでも、ひときわ巨大なのが発電所跡。毒ガス製造に必要な電力をここで作って供給してたそうだ。廃墟と化し、中に入ることは出来ないものの、かなり近くから鑑賞できる。

壁には厚生省による「美化に協力しましょう」のお触れ書きも。
ウサギにも、戦争の歴史にも、触れられる大久野島。万人にオススメできる学び豊かな島である。
■「大久野島」の情報■
オススメ度:★★★★☆
アクセス:JR呉線「忠海駅」から徒歩5分の港から、フェリーで10分。
住所:広島県竹原市忠海町大久野島
電話番号:0846-26-0321
営業時間:フェリーの時刻表
定休日:-
予算:-
関連サイト:公式サイト
私は県内在住なので他県の方がこの島をどう思って帰られたのか
知りたくて色々調べておりました。
率直な感想を丁寧にまとめられていて感動いたしました。
私のFacebookのアルバムに整理する時に前書きとしてこのページを
紹介させていただきました。(事後報告でスイマセン)
見た方が分かりやすく紹介してますねぇ!とココを高評価されていました。
また広島の方に来られる際は是非声掛けて下さい~(^^♪
宿代わりに使ってもらえると嬉しいデス!
http://www.facebook.com/cafe0033