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新代田駅にある中級ユーラシア料理のお店。
「え?ユーラシア料理ってなに?」「中級ってなに?」ってさぞかし疑問をお持ちでしょう。
そんな方は本文をご覧くださいまし。
 

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▲中級ユーラシア料理 元祖日の丸軒

京王井の頭線「新代田駅」から歩いて4分のとこにある、怪しい外観のお店。それが「中級ユーラシア料理 元祖日の丸軒」である。
モヤモヤさまぁ~ずでもイジられたお店なんだけど、そりゃあねえ、店名からして既に2つも3つもツッコミどころがあるからね。

そもそも「ユーラシア料理ってなによ?」ってとこだけど、これは日の丸軒ならではの造語で、ユーラシア大陸の料理をすべて含めた概念なんだって。


ユーラシア

ユーラシア大陸は赤丸で囲んだ部分ね。


うわ。
広っ。


つまり、イタリアンも、中華も、カレーも、タイ料理も、ぜーんぶユーラシア料理ってわけ。
じゃあ「中級ってなによ?」って気になるでしょうけど、そこはもぅ、わかりません。
この地で25年間営業してるそうなんだけど、開業からこんにちまで、レベルを上げるでも下げるでもなく、ずっと中級を貫いております。



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建物の上には、かすれたサーカスのイラストが。



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これが入口。
事前知識がなければ、やってるのかどうか疑わしくなる見た目をしている。



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雨にでも打たれたのだろうか、インクが染み出てシワッシワなメニュー表がかかっている。
書かれてるメニューも
「ターメイヤ」「シャシリック」「グレープフルーツのザパイオーネ」
だからね。
耳なし芳一が般若心経で怨霊を追い返したがごとく、まるっきり耳馴染みのない料理名を列挙することで、一見さんへの強い結界を築きあげていた。



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階段をあがったところには、お手製の看板がかかっている。
むちむちの天使が描かれているレストランなんて、日の丸軒かサイゼリアぐらいのものだろう。

入店すると、店長のペペ・アンドレさんが「予約の方ですか?」と対応。白いワンピースのような服を着た、長髪の男性だ。予約をしていたのでスムーズに、席へと案内してくれた。
自分たち以外には1組しかお客さんがいなかったので、一見、予約なんてなくても大丈夫なように感じる。だが、予約しないでいきなり行くと、アンドレさんは混乱状態となり、しばらく待たされるなんてこともあるそうだ。

予約もなしにいったので、アンドレ氏はとまどったらしく
「予約のひとじゃない?あ、じゃあベンチに座って待っていてください」
「こっちの人と一緒じゃない?」
となんども確認したり、どもったりをしつつ、どうにかベンチに座って待ってみる。

引用:旅カフェ

って書かれてるレポもあったしね。
混んでる混んでないに関係なく、アンドレさんの心の準備のために予約は必須なのだ。
なお、ペペ・アンドレさんは日本人である。




内装のセンスもぶっ飛んでいる

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なかに入ってみると、意外なほどデカい。テーブルで15席以上、マックス70人ぐらいまで入るのかな。まぁ、土曜夜に行ったら客2組だったけど。
内装も独特。日本っぽくないのはもちろんのこと、どこの国のセンスでもない。ユーラシアというより他ないセンスをしているのだ。



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壁にどこかの国の服がかかっている。



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国旗もかかっている。ユーラシア感満載。
だが、流れてる曲は「青い山脈」など昭和初期の歌謡曲であった。



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この首がもげかかってる猿は、どの国にいるのだろう。



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物販コーナーには、手作りの巨大頭部ガールが売られていた。
1800円とかだったかな。



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窓は潜水艦のような丸いもの。
そのうえには柱時計がかかってるんだけど、振り子のとこを良くみると…





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グラビアの切り抜きが閉じ込められていた。
う~ん、ユーラシア大陸の無限の可能性を感じるぞ。



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装飾品のなかで一番気になったのがこれ。
誰かのサインのようなんだけど、左下に「お知らせ」なる張り紙が貼ってあるのね。



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誰かの顔写真が貼ってあって、矢印で「逮捕されました」って記載されてるの。
説明文を読むに、写真の人が贋作を作って、逮捕されたんだとか。

事情をくわしく知りたいので、アンドレさんに
「あそこの逮捕されました、ってどういう意味ですか?」
と尋ねたところ
「コースメニューがオススメです」
とまるっきり質問をスルーされたうえに、とつじょ、コースメニューを営業された。
なるほど、コースがオススメなのか、それだけはわかった。





ユーラシア料理を食べてみよう

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メニューの同じページに
ベトナム生春巻、ナポリ風タコのトマト煮、タイ風牛肉のサラダ
と3カ国が並んでるのは、ユーラシア料理店ならではだろう。



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「注文が決まったら、ベルを鳴らしてください」とのこと。
ひととおり頼む物を決めてから、チリンチリン鳴らすと、アンドレさんがやってきて
「なににしますか?」
と問われる。

「えーと、ドリンクはどれだったっけな、えーと」
と、メニュー表を指で2秒ほど撫でていたら
「決まってから呼んでください」
と吐き捨て、厨房に戻ってしまった。

えー、わずか2秒の躊躇さえ許されないのー!
淀みなく、すらすらと、決めたメニューを言い切らなければ、アンドレさんは厨房に帰ってしまう。
しかもメニューのほとんどが、見たことも聞いたこともないような代物だらけ。なんて難易度の高いゲームなんだ。



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▲ノイリー・プラット・ドライ 500円

同じミスを繰り返さぬよう、舞台役者よろしく完全に注文を覚えきってから再トライ。
「飲み物はノイリープラットドライ。で、食べ物は、まずウナギのサルティンボッカってやつを1つ」
と言うやいなや、かぶせ気味に
「ウナギはいません」
とアンドレさん。

「え??ウナギはいない?」と疑問を呈したら
「ウナギは全くいません」とウナギの存在を全否定。
そうか、うなぎは全くいないのか。

「えーと、じゃあ、クスクスをお願いします」と気をとりなおし、注文すると
「クスクスはありません」と即答。
メニュー表には書いてあるんだけどな。ないのか。あるけど、ない。禅問答みたいな料理だな、クスクス。

いったい何ならあるんだろうと、困惑していると、アンドレさんはこう畳みかけた。
「あなたたち、なにがしたいのか、さっぱり分からない。わざと、無いの選んでる?」
と。



え?
え~~~。
なにがしたいって、ご飯が食べたいんですけど~~~。



そんでもって、わざと無いの選んでるんじゃないかと、疑われてる~~~。
ぜんぶメニュー表に書いてあるのを頼んでるのに~~~。



食べログ他サイトのレポートでも、アンドレさんのキャラが超強烈だって書かれてたけど、期待をはるかに上回る、素晴らしすぎる受け答えだ。
「それじゃあ、ターメイヤとグジェールと海賊おじやはありますか??」とひるまず頼んだら、どうやらその3品はある様子。良かった良かった、これで『わざと無いやつ頼んでる疑惑』は晴れたはずだ。
容疑者から外れ、晴ればれしい気分で「あと、ケバブも1串!」と高らかにオーダーしたところ
「もう、いいです」
と、ぼそっとつぶやくアンドレさん。

予想外の返答におもわず「え??」と聞き返す僕。
「もう、いいでしょ、その3つで」
と、なんとケバブの注文を拒否されてしまった!

「え?ケバブ頼めませんか?」と食い下がると
「もう、いいでしょ。はい。」と言って、強制的に話しを断ち切り、厨房へと去っていった。
そう、ケバブは、もういいのだ。



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▲ターメイヤ 300円

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ほどなくして出てきた、黒くて丸い物体はターメイヤ。
料理を持ってきたものの、なかなか皿を置かないアンドレさん。
無言でこちらを見つめてくる。
5秒ほどの沈黙。


な、なんだ…。
なにをすればいいんだ!?


ためしにテーブルに置いてたカメラの位置を少しズラしたら、ようやくアンドレさんは動きだし、そこへ皿を置いた。
なるほど。皿を置くべき想定位置に、ほかの物があると止まってしまうのか。
「どかしてください」とも言わないし、自分でズラすこともしない。
ファミコンのバグみたく止まってしまい、こちらの顔をもの欲しげに眺めるようだ。
ふむふむ、だんだん日の丸軒が理解できてきたぞ。

エジプト料理のターメイヤは、ニラを肉の衣で包んだコロッケのような食べ物で、普通にうまかった。ご飯のオカズになりそうだ。



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▲グジェール 700円

お次はグジェール。
チーズ入りのシュー生地で、モチモチと柔らかい食感をしている。これまた旨いんだ。
さっき学んだので、皿が置かれそうなとこは空けといたよ。



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▲海賊おじや 1100円

海賊おじやも、ケチャップ味のチキンライス風で旨い。
うん、料理はぜんぶちゃんと旨いわ。

ひととおり味わってから、トイレへ。
途中、厨房に立ち寄り、アンドレさんに
「あ、そうだ、シシカバブ1串追加で」
とさりげなく注文したところ
「ごめんなさい。もう、いいでしょ」
と一貫して追加は受け付けない様子。
そう、シシカバブは、もういい。


とにかく、店長アンドレさんのキャラクターが強烈すぎて、超最高!
珍スポ好きならマストですわ、このお店!いいぞ~~!







「中級ユーラシア料理 元祖日の丸軒」の情報
オススメ度:★★★★☆
アクセス:新代田駅から徒歩3分
住所:東京都世田谷区羽根木1-4-18 新代田たちばな荘 2F
電話番号:03-3325-6190
営業時間:18時ぐらいから?
定休日:謎
予算:3000円もあれば
関連サイト:食べログ