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都市伝説でもしばしばその存在を囁かれる「飲食店の覆面調査員」。
「儲かるらしい」という噂は聞くものの、その実態はあまりよく知られていない謎のバイトである。
今回、実際に覆面調査員として、都内某飲食店に乗り込んでまいりました。 
 


マグロ漁船に治験バイト、特殊清掃員と都市伝説的にその存在がほのめかされ、リスクはあるけど儲かると噂されるバイトがある。そんな謎バイトの1つとして、しばしば名があがるミステリーショッパーを体験してきた。
ミステリーショッパー、すなわち覆面調査員。フランチャイズ本社などが加盟店の接客サービスや商品品質を調べるため、素性を明かさず一般のお客さんとして現地に送り込む調査員のことである。
ちょいとググれば、都内には覆面調査専門の会社がたくさんある。適当なとこに登録すれば、携帯メールに調査案件がじゃんじゃん送られてくるぞ。案外ニーズがあるらしい。

熟読必須の行動マニュアルも添付されてくるのだが、これが、かなり分厚い。厚みで言えば、コロコロコミック未満ビックイシュー以上といったところ。かなり細かく心構えや行動が指定されているのだ。
では、マニュアルと実体験にもとづいて、調査員としての鉄則を5つご紹介しよう。





 
鉄則その1 Tシャツに無表情で挑め! 

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覆面調査員はとにかく目立ってはいけない。写真のごときなんでもないラフな格好に無表情が好ましい。会社員ならば着慣れたスーツに無表情というスタイルもいいだろう。絶対に間違えても覆面をしていったら駄目。
入店後もキョロキョロと周りを伺うような挙動不審な態度をとってはいけない。あくまで目線は自然に。極力まばたきをせず、天井の隅でも凝視しておけば良い。


 


鉄則2  カップルで行け!

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今回、私が乗りこんだのは某居酒屋チェーン店。
来店の条件として「カップルもしくは男2人で行くこと」が必須であった。男1人で行くのは不自然だからであろう。
この条件だけを聞くと、友達や彼女のいない非モテボッチには手が出せないバイトのようにも思えるが、店によっては単独調査も可能なので安心されたい。 
写真はこのバイトとまったく無関係だが、私と立石バーガーの店長の2ショットだ。このような2人組で行けば、まったく怪しくなく、ベストである。
 





鉄則その3 「カワイイ~」とハシャギながら、料理を撮れ!

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お店に着くなり外観をパシャリ。
店の外観や注文した料理はもとより、レシートにいたるまで逐一、写真撮影する必要がある。
注文するメニューも決まっていて、ドリンクならば生ビール。食べものならば季節メニューや店員のオススメを持って来てもらう。



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ビールは横からのショットと



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斜め上からのショットで2カット撮影が必須。グラビアアイドル並の扱いだ。泡の状態を微塵も見逃さないつもりである。
来るメニュー来るメニュー撮影することになるので、ここはいっちょ女子校生を見習って「カワイイ~」「おいしそ~」などとハシャギながらスマホで撮ると自然だろう。





鉄則その4 鬼姑のごとくスタッフを監視しろ!
写真さえ撮りゃあ、それでOKというわけではない。
同行者と世間話しをしつつも、チェックすべきポイントは多岐にわたる。

・注文から配膳されるまでの提供時間
・スタッフが心遣いの言葉をかけるか否か
・レジを打ったスタッフの態度と名前
・料理のおいしさ
・トイレの清潔さ

などなど。姑が嫁をイビるさいにも流用できそうなチェックリストである。
基本的には飯を食いつつ、自由におしゃべりしていいとのお達しなのだが、上記項目を気にしながらなので、心が休まる暇はない。
「デート?あるわけねえだろ。生活全部が暗殺の修行だったし」と言い放ったのはキルアゾルディックだが、覆面調査もデートと併用するのは至難の技。カップルで行く案件もあるけれど、行動全部が調査の一貫。気を使わねばならない微妙な間柄の相手とは行かないほうがいい。





鉄則その5 グルメブロガーみたくすぐさまレポを書け!

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注文すべきメニューをすべて注文し、チェックすべき項目をすべてチェックしたら、滞在2時間でそそくさと退店。 
家に到着したら、すぐさまレポートを提出しなければならない。店側を一方的にけなすようなコメントはNGなので、腐したい場合にも遠まわしな表現技法が要求される。書き方にコツがいるので、食べログやグルメブログなんかでレビュー執筆に慣れてる人なら淡々とこなせるが、そうでないと面倒かも。
作業時間15分、1度文章修正の要請があって納品完了となった。 




はい。
というわけで、以上のような5つの鉄則を守って得られる、肝心の報酬は・・・・・


飲食代+お小遣い(500円ほど)


である。
つまり、タダ飯が食えるってだけで、儲かるわけではない。
まー、労力を考えれば、ちょうどトントンって感じかも。
「食べ歩きが趣味で、時間の都合も効く」なんて人にはうってつけのバイトですな。