東京拘置所の向かいに「差し入れ屋」が2軒あるのをご存知だろうか。
食べものについては、ここで売られてるものしか差し入れが出来ないシステムになっているのだ。
東武伊勢崎線「小菅駅」から歩いて5分ほどの住宅街に、東京拘置所はそびえ立っている。
収容定員3000人。刑事被告人を収容する施設としては日本最大規模である。窓は強化ガラス製で空しか見えない構造となっている。
すぐ近くにセブンイレブンもあれば、巨大な団地も複数あるので、住民が普通に道を行き来している。拘置所のそばとはいえ、他の下町とそんなに変わらない雰囲気だ。
とはいえ、拘置所のまわりに建っている16個の職員官舎は、すべて背の高い塀や有刺鉄線、池などで囲まれている。それさえなけりゃあ、普通の団地と見分けのつかないんだけどね。
池には大きな鯉が無数に泳いでいる。
どいつもこいつも妙に人懐っこくって、口をパクパクさせて、餌をおねだりしてくる。
拘置所沿いの道路を歩いていると、保釈保証金を立替する協会の看板があった。この地域ならではの広告ではなかろうか。
拘置所の道路挟んで向かいの公園には、受話器型の遊具がある。
ただ座ることしか出来ない遊具で、実質ベンチみたいなものなのになぜか4つもあるんだけど、これ、なんなんだ。
お目当ての差入屋への地図も用意されていた。
面会所の入り口向かいにあるようだ。
差入屋は「池田屋」「さがみや」の2軒で横並びにある。この日は池田屋だけ開いていた。
商売っ気の感じられない外観は、小学校なんかの近くにある学校指定の雑貨屋といった趣き。おばちゃん2人がカウンターに座っている。
おばちゃんに尋ねたところ「収監者のフルネームなど必要事項を書けば、買ったのを差し入れとく」とのこと。もちろん店内の商品は、差し入れじゃなくって自分用に買うこともできる。
店内に置かれている商品は大きく分類して3つ。
・衣服
・雑誌
・食料
って感じ。
値札はついてないから、値段については直接聞くしかない。
衣服は下着とシャツが数点ある程度で、どれも黒や白と地味めのカラーリングであった。
雑誌はマンガ週刊誌もあれば、ちょいとアダルトな本も置いている。刺激の強いものでなければ、ちょいとエッチなものでも差し入れ可能なようだ。裏モノJAPANや実話ドキュメントなどアンダーグラウンドな話題を扱った雑誌は、そこらのコンビニより豊富に品揃えしていた。
食品が一番幅を取って陳列されてて、フルーツの缶詰や魚の缶詰、チョコレートやキャラメルなどの甘いお菓子がぎっしり並んでいた。バターもたくさん置いてあったので、需要があるのだろう。
なんでも、衣服や雑誌は一定条件を満たせば自分で持ってきたものも差し入れが出来るそう。紐がついてる服やフードだったり、長いタオルなんかはNGだけどね。
一方、食品については、差入れ屋さんに売ってるものしか差し入れ出来ない。口に入れるものだからね、手料理とか持ってきても通らないそうだ。
拘置所内にも売店があるから、洗面用具や便箋・封筒などの細々としたのは、現金を差し入れて中で買ってもらうのがベストだとか。
なるほど、そういうシステムになってたのか。
試しにマンゴーキャラメルと天然水を買ってみたけど、どっちも130円ぐらいでコンビニで買うのとさして変わらない値段であった。ジャージや缶詰など物によってはかなり割高みたい。