高知の沢田マンションは、なんと夫婦２人だけで作りあげてしまったハンドメイドマンションだ！
まったく建築の知識が無いところから、夫婦２人で設計・基礎工事・設備工事などすべてをこなしたというのだから、たまげるね。鉄筋コンクリート製で地上５階、約７０世帯が暮らしている。
▲沢田マンション
高知県の土讃線「薊野駅」から１０分ほど歩いたところに沢田マンションはある。
地下１階・地上５階の鉄筋コンクリート製のマンションで、約７０世帯が住んでいる。
一見、何の変哲もないマンションのように見えるのだが、実はここ、夫婦２人で作っちゃったハンドメイドマンションなのだ！
１９７１年、４４歳の沢田嘉農さんが５５０坪の土地を購入し、着工開始。まったく建築の知識が無いところから、夫婦２人だけで設計・基礎工事・設備工事などすべてをこなした。なお、奥さんは１９才年下で、嘉農さんが３２才の時点でほぼ結婚状態だったという。つまり、奥さん１３才ね！
「設計図は頭の中にある！」と、しっかりした図面もこしらえずに作業をしてたというんだから、度肝を抜かれる。
２年後の１９７３年には、４階建て２４戸が完成し、入居もはじまる。
そこからじゃんじゃん増築を続けて、１９８５年にはほぼ今の状態が完成したとか。
増築を重ねた外観から『日本の九龍城』とも呼ばればれているそうだ。
とにかく沢田嘉農さんってえ人は豪傑そのものだったよう。
まるっきり家賃を支払わずにズルズルと居座った住人を、部屋の壁をぶち壊して追い出したりと、伝説に事欠かない。
合気道教室やギャラリーなどもあり、住民同士のコミュニティが出来ている。
特殊な建築に惹かれた若者などが住むようになっており、現在は２０歳代～３０歳代の住人が多いようだ。
空き部屋情報が掲示されていた。
同じ部屋は１つたりともないので、家賃も２万円台～４万円台と大きく異なる。
数部屋は外部からやってきた人用になっているので、１泊３５００円で素泊まりも可能。私は２泊させていただいた。
デパートの立体駐車場にあるスロープみたいなものがついている。これで５階まで上がれる。
スロープがあるおかげで、上のほうの階にもバイクや車を運べるのだ。
廊下の真ん中は、光を多く取りいれるためなのか、透けた柵をハメている。
仕切りの棒もチグハグだ。
角っこに洗濯機が置かれていたり
ものすごく狭い通路があったり
コンクリむき出しの階段があったりと、内部はまるで迷路のよう。
何周かして、全貌を体で覚えないと、どこにいるのかまるっきり分からなくなる。スロープでアップダウンするせいで、何階にいるかすらあやふやになるんだよね。
木を突きださせるために、階段の隅が切り取られてたりする。
無造作な配管。
住民への注意は、柱に直書きだ。
階段がちょっとだけ通路にかぶってる。
床のデザインも唐突に変わる。
１階地面が丸見えのスケスケゾーン。
「良心市」には住民が作った石鹸などが売られていた。
コインランドリーもあるよ。
池の中央に犬小屋がある。
この方向は電波がいいのだろうか。アンテナが乱立している。
壁ぎわはほとんど植木鉢になっている。
作業場には工具や資材が置かれていた。
●屋上
▲手作りエレベーター
屋上には手作りのエレベーターも。
住民のためというよりは、資財の運搬用だ。
スケルトン構造のエレベーターから、お隣さんのヤマダ電機がよく見える。
屋上には畑もあって、ネギや畑を育てていた。もともとはマンションの断熱のために畑や水田を作ったそうだ。
資材運搬用のクレーンもついてるよ。
●個室内
私が借りた部屋は１泊３５００円とは思えぬほど広かった。
キッチン、バス、トイレがついて、和室と洋室が１部屋ずつある。
バルコニーもこのとおり広々。さほど景観はよくないが、オープンスペースでゆったりとしたティータイムを楽しむことも可能だ。
とはいえ、特に隣室との仕切りはないので、普通に通路として住民が行き来している。
室内も配管は無造作だ。
夜にテレビを見ていたら、どこからかボーーーーーーッ、ボーーーーーーーッっとホラ貝でも吹いてるような低い音がずっと聞こえてきたんだけど、やっぱり配管的な仕様なのかな。
お風呂はこんな感じ。管が穴あいてるのは湿気を逃がすためなのかな。
部屋にも謎の穴があいてたりしたかんね。
壁紙で塞いでるとこもあったけど、光の案配で丸分かり。
内部を探検するだけでも面白いけれど、普通に宿としても安いから、せっかくなら１泊してみるのがオススメですわ。
■「沢田マンション」の情報■
オススメ度：★★★★☆
アクセス：土讃線「薊野駅」から徒歩１０分
住所：高知県高知市薊野北町１−１０−３
電話番号：088-845-0528
営業時間：－
定休日：－
予算：１泊３５００円（素泊まり）
関連サイト：公式サイト
むっちゃシュールでいいですね
部屋の方のは、ストーブの煙突かも？