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稲田堤駅から歩いて8分、多摩川河川敷にあるプレハブ小屋。じつはこれ、居酒屋なのである。
誰もいない冬の多摩川を眺めながら、一杯やるウーロンハイはたまらなく切ない。 
 

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▲多摩川の河川敷

マンションやアパート越しに読売ランドのアトラクションがちらちら見え隠れする、川崎市の稲田堤。京王線と南部線が通っているが、これといって観光スポットがあるわけでもなく、住人以外は降りない駅だろう。川を挟んで向こう岸は調布だ。



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駅から8分ほど歩くと、多摩川の河川敷にたどり着く。
電車の音と向こう岸でサッカーをやってる少年たちの声だけ響く、もの静かな空間だ。吹きつける風が強く、冷たい。



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行き交う人々は、犬の散歩をする地元民ぐらい。
そんな、うら寂しい川原にプレハブ小屋がぽつんと建っている。小屋に向かって電柱が何本かあって、電線をなんとかかんとか引っ張ってるようだ。



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じつはこのプレハブ小屋、倉庫でもなければ、川原の管理事務所でもなくって、創業1934年の超老舗の居酒屋「たぬきや」なのだ。まるで商売っ気がないので、営業中ののぼりがなければ、居酒屋だとは思うまい。



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夏は賑わうオープンエアのテラス席も、さすがに1月とあっては誰もいない。






海の家のようなラフな店内

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無駄なものは置いていない殺風景でシンプルな店内。海の家のようだ。



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入口あたりの厨房で、おでんを煮込んでいる以外、居酒屋っぽさはどこにもない。
この季節はおばあちゃんが1人で回しているようだ。「夏場はそれなりに人がくるけど、冬は空いてるねえ」とおっしゃっていた。



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どこの席に座っても、リバービュー。雄大なる多摩川を流れを堪能しよう。



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ストーブの上で煮込まれた鍋が、コトコトと音を鳴らし、冬の片田舎って雰囲気。



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天井にはゴザがかぶせられている。



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壁はトタン造りだ。



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トイレの扉を開けると・・



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簡易トイレがハメこまれていた。



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隅っこに、見事な便所短歌があった。

「急ぐとも心しずめて真ん中へ 吉野の桜も散れば汚し」 



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クリアケースに入った2つ折りのメニュー表を渡される。
日本酒やチューハイ各種は350円、煮込み450円ぐらいと、むちゃくちゃ安いってわけじゃない。



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▲おでん1つ90円

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▲焼き鳥盛り合わせ500円

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おでんや焼き鳥をつまみ、誰もいない多摩川を眺めて、ウーロンハイを呑む。心地良い切なさが味わえる。
ワイワイ楽しむなら夏、切なさに身を焦がしたいのなら冬に行ってみると良いだろう。







「たぬきや」の情報
オススメ度:★★★★☆
アクセス:南武線「稲田堤駅」から徒歩8分
住所:神奈川県川崎市多摩区(稲田公園すぐ近くの土手沿い)
電話番号:非公開
営業時間:11:00~20:00(
10月~5月は19:00)
定休日:不定休
予算:焼き鳥盛り合わせ500円
関連サイト:食べログ