群馬県甘楽郡の山あいに、謎の施設がある。
広場には家電が規則正しく置かれ、ハデハデしい手書き看板があちこちに貼られているのだ。
群馬県は甘楽町。上信越自動車道から県道46号線沿いを、車で15分ほど進んだ山あいの道に、やたらと物が溢れかえっている空間がある。
「群馬B級スポット」という素晴らしきサイトで紹介されていた場所なのだが、なんの心構えもなく通りかかったら、たんなる不法投棄現場と思って、素通りしていたかもしれない。
一見、粗大ゴミが廃棄されてるだけに見えるのだが、よくよく観察すると等間隔に置かれているのだ。
ボロボロの洗濯機のうえに、電気ストーブが置かれ、ズレないように紐で固定されている。
車道と広場を区切るように、サイクルマシーン、椅子、三脚などがキレイに並べられている。
柵には1本1本几帳面に、フリースビーと造花が取りつけられている。
ベンチのうえに等間隔でおかれたジャー、ホース、ジャー。
後ろのコックがこれらを従えているようにも見える。
敷地のいたるところに、大きなツボがあるのだが、すべて裏返してあり、そのうえに一回り小さなツボが置かれている。
テーブルのうえでは、裏返しのコップが小人を取り囲む。
我々には分からないが、その配置には、なにかしらの法則が確実にあるようだ。
バスの上にはコンポ、扇風機、七福神、コンポが置かれている。
バスの車体に穴を開けてまで、ヒモで扇風機を固定している。無造作なようできっちりと計算されてる配置のようだ。
運転席の小人は顔だけオレンジに塗られていた。
ツボのうえの人形は
首を鎖で結ばれている。
な・・・・
なんだ、なんだ!!
群馬の田舎道で一体なにが起こっているんだ!!
あまりにも不可思議な要素が多すぎるスポットなので、片っ端からご紹介していこう。
●奥の細道
広場の隅には、プレハブ小屋と謎の入口がある。
黄色い看板に手書きの赤い文字がよく目立つ。
▲第一の門
看板には「竹笹園」「奥の細道」「甘い壇蜜」と書かれている。
甘い壇蜜??
▲第二の門
第一の門を通り抜けると、第二の門「登竜門」が姿をあらわす。
「富士より藤」「あ!や!」と謎の主張がされている。
▲第3の門
そして、最後にあらわれた第3の門は「凱旋門」だ。
「へい!家紋」「エライもん」とダジャレも書かれているぞ。
●「いらっしゃいませ」と出迎えるぬいぐるみたち
壁に「いらっしゃいませ。」と書かれたゾーン。
ぬいぐるみたちがソファーに腰掛けている。
屋根のうえには、等間隔でヘルメットがおかれている。
ちょうど馬と目があうように、鏡が設置されている。
首から複数のメダルをさげた犬。目が赤く塗られていた。
掛け時計には女性の顔が貼りつけられており、時間は読めない。
●切りそろえた木材と赤く塗られた家電
切りそろえた木材を収納するケース。
そのうえの家電は赤く塗られていた。
横に生えてる大きな木には電気がくくりつけられているのだが
そちらも赤く塗られている。
●メリーゴーランドとはかりの椅子
左がメリーゴーランド、右がはかりの椅子である。
私がそう命名した。
メリーゴーランドの中央には小人が座っている。
天井から吊り下げられたチェーンは、すべて一回片結びをしてある。
前方部はチェーンが吊り下げられているが、後方部には傘の柄が引っかけられている。
こちらは、はかりの椅子。
文字通り、はかりが椅子に座っているのだ。
●ドラム缶の機関車
ドラム缶と廃タイヤで作られたSL機関車もある。
時計が2つかけられているが、どちらも時刻は合っていない。
運転席のうえにあるケージには
「エサより」「お金ちょうだい」
と首からメッセージをさげた犬が閉じ込められていた。
●竹は大事にされている
オブジェにはなんの説明もないのだが、竹にはプレートがついていて、説明がなされている。
トタンで囲ったりと、やたらと竹を丁重に扱っているのだ。
●オーナーさんに話しを聞いた!
広場の道路挟んで向かいに、同じテイストでデザインされた家があった。中條さんというらしい。
「いやー、凄いとこですね!」と同行者と話しをしていたら、人の気配を察知したのか、中からおじいちゃんが出てきて、開口一番
「壇蜜ハウス、見た!!?」
と聞かれた。
プレハブ小屋のなかに『AKB48、壇蜜、藤あや子記念館』があるんだって。
記念館の入口には、壇蜜のポスターや
AKB48や藤あや子のポスターが貼られまくっている。
「壇蜜はセクシーさ、藤あや子は顔の器量、AKBは太もものピチピチ感が好き!!」
と、ハツラツにおっしゃっていた。
扉の向こうが『壇蜜ハウス』だ。
「壇蜜と密談中」「壇蜜在室中」などと書かれている。
壇蜜ハウスは2畳ほどの狭いスペース。四方をすべて壇蜜のポスターで埋め尽くしてある。
この熱い想い、壇蜜まで伝わって、ぜひともロケに来て欲しいものだ。
なんでもここは、地元の人たちの集会所として使ってるんだとか。
おじいちゃんが7年ほど前から、自分の土地にせっせと1人で作ったんだって。
広場に並べられてる家電や人形は、知り合いが持ってきてくれたもの。
その独特すぎるデザインや配置に「なにか意味はあるんですか?」と尋ねたら、「意味はまったくない!」と断言していた。
特にデザインや建築に関わる仕事をしていたわけでもなく、完全に趣味だとか。
「ナニコレ珍庭園」と書かれていたので、テレビ取材が来たのかと聞くと、「2年前に連絡が来たけど、テレビが来るほど大層なもんじゃあないから」と断ったそうだ。
だいぶ謙遜してるけど、これ、随分大層なもんですよ。
▲地元の人たちの集会所
集会所のなかはこんな感じ。20人ぐらいはゆうに入るかな。
床には砂利が敷き詰めてあって居心地良さそうだ。
「すべて銘柄違う酒を揃えたんだよ!」と嬉しそうに話してくれるご主人。
この創作活動については「妻は何も言わない。無視されてる」と笑っていた。
「ネットでここ紹介してもいいですか?」と尋ねたら、「いいよ!いいよ!好きにやって!」と快諾をいただく。
最初、広場を見てまわってるときは、どんな人が作ってるんだと構えていたが、おしゃべり好きの人のいいおじいさんであった。
壁にはいままで開催された、宴会の記録が貼られている。
参加しているのはいずれも10人ほどであるが大花見大会、大バーベキュー大会、大納涼祭と威勢のいい名がつけられている。
一番右のお花見会なんて
スーパーウルトラダイナミック大花見大会
だかんね。
2~30分お話を聞かせていただき、お別れのお時間。
車に乗りこむ直前、家のまえで立ち止まったおじいちゃんが「ちなみにーーーー!!」と大きな声で叫んだ。
なにか言い忘れたのかと思ったら
「ちなみにーーー、俺、75歳!!!」
といきなり最後に年齢を教えてくれた。
ちなんでくれて、ありがとうございます。
「まだまだパワーアップ中だよ!」とのことなので、しばらく経ったら再訪したい。
そして、できればスーパーウルトラダイナミックな飲み会に紛れこみたい。
■「中條さんの集会所」の情報■
オススメ度:★★★★★
アクセス:富岡製糸場から車で20分ちょい
住所:群馬県甘楽郡甘楽町秋畑あたりの県道46号線沿い
電話番号:-
営業時間:-
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予算:-
関連サイト:群馬B級スポット