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埼玉県・熊谷の「秀萬」はなんというジャンルに振り分けたらいいのか分からない飯屋だ。
海山物を味つけもせずにひたすら焼いて出してくれるのだ。それぞれ醤油なりアジシオなりで好きに味つけして、貪り喰らう。
安くて、旨くて、サービス満点。マジで最高の店ですわ。



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▲熊谷駅の「秀萬」

知人から「旨くて安くて豪快だが、何屋と呼んでいいのか、まるで分からない店がある」と教えてもらったのが、埼玉県熊谷市の『秀萬』だ。
熊谷駅から徒歩3分と立地はいい。

飾りっけのない2階建ての建物に、とりつけられた看板には「秀萬」の文字。ぱっと見、中華料理屋か、さもなきゃ居酒屋といった風貌だ。



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建物の両サイド、駐車場の四隅に「立小便禁止」の警告が立てられている。

扉を開けると、いきなり厨房。
厨房と言っても、大人1人が横になれるぐらいでっけえ鉄板と、食材を切る台があるだけのスペースだ。じいちゃんがせっせと鶏肉やイカを焼いている。
焼き終えた鉄板にそのまんまホースから水をぶっかけるので、おびただしい煙がむわっと立ちこめ、一気にメガネが曇る。



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厨房からカーテン1枚隔てた先が、客席である。畳敷きの広間に、ビニールのテーブルクロスがかかった机が並んでいる。下駄箱は無い。薄っぺらいビニールを1枚渡されるので、そのなかに靴をしまう。
田舎のじいちゃんちの大きな客間って雰囲気で、商売っ気はまるで感じない。
壁一面に透明のビニールシートが貼られているのは、煙を防ぐすべだろうか。





とんでもねえ量の海山物がじゃんじゃん出てくる!

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メニューはこんだけ。海山物しかない。裏面はドリンクとライスなどが書かれているだけだ。
料理名ですらなく

蛤 710円
海老 490円
蟹 2800円
いくら 350円


などと素材が書かれているだけなのだ。
値段も高くないので、気になるものを片っ端から頼んでみた。
1階2階と計100名は入れる規模の箱だが、ホールは2名ほどしかいないので、忙しくあちこち動き回る店員さんを「すいませーーーん!」と大声で呼び止める必要があるぞ。



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▲蟹 2800円

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注文するや速攻で出てきたのが、蟹。
「毛蟹とタラバ蟹を選べますが?」と問われ、「毛蟹1つ」と注文したら、まさかの2匹盛りであった!!
コップ1杯の蟹酢とともに運ばれてきた。



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たっぷりと味噌も入ってるし、うめえうめえ。鮮度も申し分ない。
このサイズの毛蟹が2匹で2800円ってどうかしてるでしょ!
なんだったらアメ横で買うより安いんじゃない??

ハサミでちょん切りながらむしゃぶりついていると・・・



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▲蛤 710円

蛤が出てきたよ。
大粒の蛤が山盛りで710円だかんね、なにこの店。



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まるっきり味つけはされてなくって、焼いただけだから、醤油つけたりアジシオかけたり、自分好みの調味料でいただこう。



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▲ほたて焼き 380円

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殻ごと出てきたのが、大きなほたて。
すげえデカいから2人で1粒でちょうどいいぐらいだね。築地市場とかでしか見たことないサイズのホタテだわ。



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▲イカ 460円

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▲海老 490円

イカはまるまる1匹、海老は2匹が焼かれている。ただ焼いただけで、やはり味つけはされていない。
そりゃあ、メニュー表に料理名じゃあなくって「蛤」「海老」と素材名だけを書くはずだわ。
適度に塩をふって、海老は頭からボリボリいただく。
なんというか、この店、「貪り喰らう」という表現がぴったりくる野生的な店だ。ただ旨いだけじゃない、「俺は食事をしているぞー!」と本能が満たされるような店である。



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▲さしみ 680円

「さしみ」としか書いてなかったが、マグロの刺身であった。



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▲ワカメ 100円

山盛りのワカメには味ぽんをかけて貪る。肉厚でコリコリしてるぞ。



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▲珍味 100円

珍味なるメニューはかわはぎだった。



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▲とり 380円

唯一、魚介類じゃないのが、こちらの鳥焼きだ。
ブラックペッパーでダイナミックに味つけされた一品だ。

むちゃくちゃご飯がすすむ味なんだけど、あいにくライス切れ。開店から2時間ぐらいしか経ってないんだけどね。この店のライス切れは定番なのか、隣のカップルは海山物をオカズに、持参したおこわをガツガツ食べていた。店員さんも咎めることはない。
なんちゅうワイルドな店だ!!



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▲ねぶた漬け 200円

松前漬けのような味わいの、ねぶた漬け。



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▲健六 150円

木の実がたくさん入った健六。
店員さんに「健六ってなんですか?」と尋ねても「木の実!!」としか答えない。店員さんはぶっきらぼうなんだけど、なんだかトータルですごく店の雰囲気にマッチしていて、そのぶっきらぼうさが心地いいんだ。



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入店から2時間もしたころには、1階席はほぼ満席。客層も若いカップルからファミリー、1人で飲んでるおっさんまで幅広い。地元民から愛されてるのがよく分かる。



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「最後にトイレにでも」と行ってみると、カーテンで仕切られているだけで扉はなし。2つ個室はあるけど、男女の区別はされていない。



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5人でさんざん食べて飲んでお会計はたったの12000円程度。1人2400円でカニもホタテも蛤も腹いっぱい食えるってんだから、尋常じゃない安さだ。

会計を済ますと、レジのおばあちゃんが「はい!これ」とビニール袋を4つ無造作に渡してきた。
どうやらお客さん全員に渡すサービスらしい。ただでさえ安いのにオマケまでくれるのかよ!
ずっしり重いビニールのなかには「みかんの缶詰3つ」と・・・



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パイナップルがまるまる1つ入っていた。

なにこの店!!すげえわ!

たしかに、この店、既存の料理店ジャンルでは収まらない。
何屋と紹介すりゃあいいんでしょうね。「海山物そのまま焼き屋」とでも呼びましょうか。
旨くて、安くて、ボリューム満点!マジで最高だわ。







「秀萬」の情報
オススメ度:★★★★☆
アクセス:熊谷駅から徒歩2分
住所:埼玉県熊谷市筑波3-171
電話番号:048-523-3443
営業時間:17:00~22:00
定休日:とくになし
予算:2000円ぐらい
関連サイト:食べログ