3月頭に「彫刻師・大仁田龍一郎は、なぜ奇妙な独自仏像をヤフオクで売りつづけるのか?」というインタビュー記事をアップした。
ちょっとブキミで、でもカワイイ。そんな作風にすっかり魅了されたので、今年からスタートした観光ガイド業『別視点ツアー』の事務所看板を特注オーダーしました。
3月頭に「彫刻師・大仁田龍一郎は、なぜ奇妙な独自仏像をヤフオクで売りつづけるのか?」という記事を書いた。
迷わず2点、競り落としたのだが、その作者である彫刻家・大仁田龍一郎さんのアトリエ兼ご自宅にお邪魔したさいのインタビュー記事だ。
ヤフオクでめちゃ最高な木彫り作品をたくさん出品してる彫刻家がいて、「ソバを食うダルマ」「河童」を買った。出品作、全部欲しい…!
— 松澤茂信 (@matsuzawa_s) 2016年2月21日
あまりに良すぎて今度作者のアトリエにインタビューしにいくことになったから、スーパー楽しみ。 pic.twitter.com/mUolcsJUk3
こちらが購入した、そばを食うダルマとカッパである。いまは、ガイドツアー会社『別視点』の事務所に飾っている。
あまりにも気に入って「もぅこうなったら、事務所の看板も、大仁田さんの木彫り作品で作ってほしい・・・」という欲が湧いてきて、特注品を頼んでみたところ、快く引き受けてくださった。
製作費は
●材料代:手持ちのものでよければタダ
●職人手間:15000円×日数×送料
とのこと。
ラフデザインを送ったところ4~5日で出来るとのことだったので、即決した。
東京別視点さん(@another_tokyo)の看板製作。
— 木彫 大仁田龍一郎 (@ryu_kibori) 2016年3月29日
松澤さん(@matsuzawa_s)から、ラフデザイン届きました。
すっげ~かわいくて、楽しいデザインだ。
彫りはまかせてください。 pic.twitter.com/yIKhlljYJ6
送ったラフデザインがこれ。
丸っこいツアーガイドがお客さんを引き連れて、ぴょこぴょこ町を歩いてるイメージである。
ふにょふにょすぎる下書きだったので、なにかダメ出しがあるかとおもったのだが、意外にも直しがまったくなく、それでいきましょう!とのことだった。
完成後にいただいた大仁田さんの手紙のなかで
「ラフデザインを頂いたときに、上図のようにきれいなアウトラインが表現されていたので看板にはうってつけだと思いました。せまりくる波頭ですね」
と書かれていた。
いや、まったく気づいてもなかったです。その観点。
おはようございます。
— 木彫 大仁田龍一郎 (@ryu_kibori) 2016年3月28日
見せたいのは板の方です。厚さ9㎝、幅64㎝、長さ215㎝あります。
大きな杉の木だったんでしょうね。
(photo 杉の板) pic.twitter.com/PMZceVjWJd
3月28日から、大仁田さんのTwitterで実況中継をしながら、彫っていただいた。
東京別視点さん(@another_tokyo )の看板実況中です。
— 木彫 大仁田龍一郎 (@ryu_kibori) 2016年3月29日
最初にするのは、「木取り」といわれる作業。
使う寸法、図案を考慮して、節・割れの場所を見て、どこを使うか決め、切り出す。
地味ですが、ここはかなり大事です。(塗) pic.twitter.com/wX9r4grWXO
材料は、杉。
看板製作の続きです。
— 木彫 大仁田龍一郎 (@ryu_kibori) 2016年3月29日
切ります。
今回は、寸法より2㎝長く切ります。
なぜかは、後でのお楽しみです。(塗) pic.twitter.com/k3xJzL5iL7
B2サイズ(515 × 728 ミリ)で注文したので、合板でもなく、そんなでっかい木の板あるかなと不安だったのだが、立派な杉の板を使っていただいた。
午後の看板実況。
— 木彫 大仁田龍一郎 (@ryu_kibori) 2016年3月29日
彫物をするところを残して、周りの板を1寸5分(4.5㎝)落とします。
使っているのは、ルーターマシンというものです。
しばし、この作業が続きます。(塗) pic.twitter.com/qU9RmB2oQM
ガイドさんと旗の大枠の彫りまで。ほぼ図面の線通りです。
— 木彫 大仁田龍一郎 (@ryu_kibori) 2016年3月29日
ガイドさんは地にとかしこんで2次元半的に。お客さん3人は完全に3次元に彫る予定です。
この図案、相当 アーティスティックです。
(photo 別視点ツアーさんの看板彫り途中) pic.twitter.com/aMBEnhK5Qa
キャラクターを浮き上がらせるために、板を4.5cm削る。
注文した時点では、キャラクターを彫って、線でデザインするんだろうなと想像していたのだが、板から切り離せば1つの彫刻として成り立つぐらい立体的だ。
昨日から続いている、別視点さん(@another_tokyo)の看板。
— 木彫 大仁田龍一郎 (@ryu_kibori) 2016年3月30日
ちょっと、彫刻屋語を。
まずは、「地」。積み上げて作る物であれば、最初のBASEが「地」でしょうが、彫刻の場合、彫り出して作るBASEが「地」となる。(塗) pic.twitter.com/Kw2Ry5Pq5f
横から見ると、こんなにも前にせり出している。
この飛びでてる感じ、別視点ツアーの”町に飛び出すイメージ”にすごくフィットしてるなあ。
看板報告!!!
— 木彫 大仁田龍一郎 (@ryu_kibori) 2016年3月30日
前に2㎝多く板を切りましたが、その答えです。
3人目の小さい人が板端より右に・・・そうこぼれています。
旗の中に字を彫るため、旗はデザイン画より大きくしました。なので、3人目の方を右にこぼしてバランスを。 (塗) pic.twitter.com/tuKTnsh8KW
3人目のお客さんに関しては、板からも飛び出ちゃってるのだ。
文字の部分荒彫りもう少しです。
— 木彫 大仁田龍一郎 (@ryu_kibori) 2016年3月31日
旗の「別」は、浮彫り。
その他の文字は、ヤゲン(三角のこと)彫りといいます。
がっつり深く彫りました。
明日、午前中にも仕上げて(塗)に回します。
(photo 別視点さんの看板・途中) pic.twitter.com/S56BiDMyqT
「東京別視点ツアー」の文字は、ツアー中に持つ旗とおなじフォントだ。
こんな風に、角度や方向などに応じて、とっかえひっかえノミを替え、彫るそうだ。
別視点さん(@another_tokyo)の看板、彫り終わりました!YEAY!
— 木彫 大仁田龍一郎 (@ryu_kibori) 2016年4月1日
ここからは(塗)が引き継ぎます。
地は白で、ということでしたので、大きく別視点さんの旗のカラーリングをイメージしつつ、淡彩色でいく予定。ドキドキ・・・ pic.twitter.com/A0tp8oL43m
彫り終わって
下地は塗り終わったようです。
— 木彫 大仁田龍一郎 (@ryu_kibori) 2016年4月1日
(photo 東京別視点ツアー事務所さんの看板) pic.twitter.com/s9e2mxVUK3
下地を塗ったところ。
日の丸をイメージして、ベースは白地、キャラクターは赤っぽくお願いした。
(塗)には、はみ出たらもう直せないよ、と言っております。
— 木彫 大仁田龍一郎 (@ryu_kibori) 2016年4月1日
かなり神経を使う作業です。
(photo 着色途中) pic.twitter.com/tCCQtIzfSa
(塗)神経が切れたようです。
— 木彫 大仁田龍一郎 (@ryu_kibori) 2016年4月1日
これ、一見簡単なようにみえますが、V字型の谷にU字型の筆先が入るわけですから、けっこうはみでます。
結局、一本の線に対して、左右の崖一方ずつ攻めるしかなく、字が小さくなる程はみずります。 pic.twitter.com/wPBCQ0lDrv
塗りを担当しているのは、元陶芸家の奥さんだ。
一文字、一文字、丁寧に塗っていただき
完成です!
— 木彫 大仁田龍一郎 (@ryu_kibori) 2016年4月2日
(photo 木彫 東京別視点ツアーさん[@another_tokyo ]看板)
(部分⇒図面) pic.twitter.com/VMPqI6twj7
完成した!
ガイドさんの頬がやや紅潮している。ちょっとブキミで、でもカワイイ、そんな看板に仕上げていただいた。
木彫りの大仁田さん(@ryu_kibori)から看板届いたーー!!デカくて、コワ可愛くて、最高!一生の宝にします。 pic.twitter.com/l1d4JjiYki
— 松澤茂信 (@matsuzawa_s) 2016年4月4日
写真で見るより、実物のほうが愛嬌がある感じ。すげえデカいし、存在感抜群。
最高の看板をありがとうございました!!
別視点ツアーの事務所入り口で、ドカーンとお客さんを出迎えてくれることだろう。
◎彫刻家・大仁田龍一郎◎
公式サイト、ヤフオク出品一覧