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青森の山のなかにある「青荷旅館」に泊まった。照明がなくて、ランプだけの宿。スマホに電波も届かない。
温かく、ほのかな明かりで、日が沈むと本を読むこともままならない。温泉にはいって、22時に寝た。
最高の宿だった。




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▲国道からそれて、こういう細い山道を6kmほどくねくね進む

青森県黒石市にある青荷温泉。
1929年開湯。電気による照明がない、ランプの宿として評判の温泉旅館だ。
山のなかにある温泉で、青森駅からも車で80分ほどかかる。国道から反れ、細い山道をくねくねと慎重にすすんいく。



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ラスト6kmの山道は、かなり細くて曲がりくねっているので、要所要所に「ワイハあぶねえカーブだじゃ」「前見んでハケで」など青荷旅館が取りつけた注意喚起の手書き看板がかけられている。注意をうながされるばかりでなく、優しい方言が旅情をかきたてる。
冬場、雪の積もるシーズンはあまりにも危ないので、近くの道の駅に車を泊めて、シャトルバスで迎えてくれるそうだ。



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▲青荷温泉本館

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車を停めたところから、さらに急な坂をくだっていくと「よぐきたねし」と歓迎の文字。
自然以外になにもない、山のなかに、立派な温泉旅館が姿をあらわす。



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青荷温泉は、温泉街というわけではない。
川をはさんで、4つの温泉を有する1つの旅館があるだけの静かな空間。



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内湯、大浴場、露天風呂、混浴風呂と、4つの温泉を吊り橋をわたって行き来する。



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▲滝見の湯

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その名のとおり、滝見の湯では、岩肌をながれる滝をながめつつ露天風呂につかることができる。
山に囲まれた立地なので、スマホの電波も届かない。
自然の真っただ中にポツンと存在する、まさに秘湯だ。






電気はつかわない。ランプですごす

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入り口を開けるや、ほわっとした柔らかいオレンジ色の空間が広がっていた。



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廊下も階段も、照らしているのは、天井から吊りさげられたアルコールランプのみ。
まだ日の出ている時間にもかかわらず、ほんのりと薄暗く、とても落ち着く。




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客間は、8畳ほどの座敷部屋。灯りはランプが1つだけ。
テレビなんてもちろんなくて、コンセントすら存在しない。
窓の景色をながめながら、ゆったりお茶をすするぐらいしかやることがない。
やることがないのって、こんなに気持ちがいいことだったのか。






津軽三味線を聴きながら、ごはんを食べた

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▲食事の間

のんびりと茶をすすっていたら、あっという間に夕飯の時間。
食事の間もランプで照らされ、優しい光量。
顔がはっきり見えないこと、山のなかで一緒にいることが相まって、まったくの初対面なのに妙に一体感がある。



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品目が多くて、豪勢な食事。ご飯とお味噌汁は自分でよそって、好きなだけ食べられるのも嬉しい。



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毎週金曜夜は、津軽三味線の演奏がある。
ちょうどドンピシャ、金曜だったので、三味線のベンベンベンという威勢のいい音色を耳にいれながら、飯をくって、日本酒を呑んだ。極楽浄土か、ここは。





4つの温泉に入る

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三味線を堪能し、腹も膨れたところで、いよいよ温泉へ。
4つある温泉のうち、内湯をのぞいて3つはいったん外に出て、敷地内を歩いていく。
つっかけ用のゴム草履は、国産便所サンダルのダンヒル。便所サンダル専門通販サイト「ベンサン.JP」の店長さんも絶賛しているブランドだ。さすが青荷温泉。



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1つ1つ、すべての温泉をまわっていく。
それほど熱くない水温で、4つ入ってものぼせることはない。
じょじょに日が沈んでいくと、ランプだけで照らされた浴室は暗く、湯船のむこうに浸かってるお客さんの顔すらよく見えない。
ただ体だけが暖かく、ぼんやりとしか周りが見えない状況に10分20分とひたっていると、夢かうつつか怪しげな心境になってきた。は~~~~ぁっ、最高の温泉体験。






日が暮れて、22時に寝る

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4つの温泉に夢気分で浸かり、部屋に戻ったら時刻は21時。
普通の旅であれば、夜はここからというところだろうが、青荷旅館ではなにもすることがない。
周囲に遊びにいけるようなところもなく、電波が通じずスマホをイジることもできない。
ランプ1つの温かな灯りで、本を読むことすらままならない。
そうか、夜ってこんなに暗かったのかと、発見した気持ち。
同室の友人と、すこしだけ雑談して、布団を敷いて、22時に寝た。


これだけ最高の環境、最高の温泉、最高の宿で、1人1泊9000円程度。
本当におすすめなんで、青森旅行のさいは、ぜひ泊まってみてくださいな!





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◎撮影◎
齋藤洋平(insta/twitter








「青荷旅館」の情報
オススメ度:★★★★★
アクセス:青森駅から車で80分ぐらい
住所:青森県黒石市大字沖浦字青荷沢滝ノ上1-7
電話番号:0172-54-8588
営業時間:
定休日:
予算:1泊9000円ちょいだった
関連サイト:公式サイト