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新宿歌舞伎町のど真ん中、雑居ビルの4階に忍者テーマパーク「忍者からくり屋敷」がオープンしたぞ!
居合もやっているという本格派忍者から、忍者武器の取り扱い方や手裏剣の投げ方を教えてもらえるのだ。
  


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▲ビルの前に出てる看板

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▲手裏剣が刺さっている

新宿歌舞伎町、ホスト街のど真ん中に「忍者屋敷」が隠れ潜んでいるのをご存じだろうか。
友人が「こんなところが出来たんですけど行きましょう!」と写メを送ってくれたパンフレットには
『忍者からくり屋敷の秘密をご案内します』『刺さる快感!』といった魅力的なキャッチフレーズがならんでいる。

今年2016年7月に出来たばかりだという忍者テーマパーク。
ともすれば、外国人観光客狙いの味気ないスポットかと思っていたのだが、ぜんぜんそんなことはない。雑居ビルのなかということもあり、2部屋だけの小さなからくり屋敷なんだけど、忍者愛に溢れていて最高だったので熱烈プッシュしたいスポットだ。



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▲雑居ビルの4階に隠れ潜んでいる

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▲都会の忍者はスゴイところに居を構える。

伊賀や甲賀に関係する場所ならまだしも、歌舞伎町のど真ん中という立地。
忍者が都会で隠れ家をもつなら、かえってこういう町の雑居ビルのほうが目くらましになるのだろう。



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エレベーターはないので4階まで階段であがる。隠密活動に必要な基礎筋力が手に入るぞ。



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階段の隅っこには、かならず忍者屋敷のビラが置かれている。もう、入る覚悟を決めた人しか、この階段を登っていない気もする。



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鳥居をくぐりぬけると受付がある。
ちょうど他のお客さんを接客中だったようで、忍び姿のスタッフさんに「10分お待ちください!」と言われた。どうやら今夜は1人で回しているようだ。



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お土産コーナーには「NARUTOグッズだったり、木刀だったりを販売している。
そうか、今だったらNARUTOから忍者好きになる外人さんも多そうだしね。





忍者武器を手にとろう!

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入場料1000円を支払い、からくり屋敷のなかに入り、2分ちょっとの忍者説明VTRを鑑賞する。



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部屋の片隅には避難器具。忍者といえども火災からは避難器具で逃げるんだな。



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VTRが終わったタイミングで、ガラッとふすまが開かれ、忍者の登場。



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▲忍者からくり屋敷の主・湯本さん

からくり屋敷の主・湯本さんだ。伊賀や甲賀の忍者屋敷を訪ねあるき、居合いもやっているという本格派の忍者。付きっきりで熱く対応してくれる。



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まずは、腰に木刀を装着する。
ブンブン振り回していると、それだけで忍者気分になってくる。



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▲日本刀(模造刀)

各自、刀を身につけたら、忍者武器の説明だ。

●日本刀は弓なりにしなっているけど、忍者刀は突きさすことも想定に入れてるので真っすぐ
●忍者刀を踏み台にして、塀を超えたりする
●「しのぎを削る」のしのぎとは、刃と峰の真ん中にあるふくらんでるところ。ここが削れるぐらいバチバチにやりあってるという意味

などなど、面白い忍者トリビアを教えてくれる。



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▲かぎ爪

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▲鎖ガマ

バカボンドを読んでる人間にとっては、一度は手に取ってみたい武器。それが鎖ガマ。
宍戸梅軒気分で分銅をグルグルまわし「殺し合いの螺旋から、俺は降りる」と口走った。



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これは、まきびし。
意外に軽くて、手にとるとカラカラカラと音が鳴る。



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それもそのはずで、まきびしとは、水草であるヒシの実を乾燥させたものなんだって。
忍者の時代、鉄は高価なシロモノだったので、植物の実を武器にしてたのだ。
植物とはいえカチカチなので、踏んづけたら激痛だ。時間稼ぎには充分。



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部屋には”3つのカラクリ”が隠されている。手分けして、みんなでカラクリを探す。
どんなカラクリなのかはネタバレになるので書かないが、ビックリするカラクリが仕掛けられてるぞ。



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とあるカラクリから



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「猫に小判」と書かれた小判が出てきた。





忍者に剣術を習おう!

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カラクリ部屋から道場部屋にうつって、お次は剣術指南。抜刀術を教わる。
鞘から刀を抜き、鞘に刀をおさめるだけの動作なのだが、これが案外難しい。



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特に、刀を鞘におさめるのは、相当練習が必要だ。
こんなん真剣でやっていたら、刀の先っぽで手のひら切りまくってる。



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抜いた刀で、実際に敵を切る。
必殺になる位置、脇と首元を斬り、心臓を突く方法を教えてもらう。




同行者も軽いフットワークで敵を叩きのめしていた。



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▲いろんな種類がある手裏剣

剣術を教わったら、お次は飛び道具だ。忍者の定番アイテム、手裏剣の投げ方をレクチャーしてもらう。



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マンガでは両手をこすり合わせるように投げているが、実際は、手首のスナップを効かせて投げるそうだ。連発もしない。
せいぜい胸元に1~2枚だけ忍ばせておいて、逃走時の時間稼ぎに投げるのが一般的な使い方だとか。



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発泡スチロールの的にザクッと刺さる。



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ほとんどの的に虎が描かれているのだが、1つだけカワイイひよこちゃん。ひよこは無傷だった。



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だいたい20分ちょっとで忍者体験は終了。そんなに長くはないけど、大満足の内容だ。お土産として、まきびしをもらった。
ここ、いずれ、ロボットレストランとハシゴで巡る外国人観光客が殺到するんじゃないだろうか。ぜひ今のうちに行ってみて!




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【後日、からくり屋敷の主・湯本さんにお話しをうかがった】

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-まず立地(歌舞伎町のホスト街)が、忍者屋敷なんてありそうもないところなのが印象的でした

湯本さん(以下、湯):ありそうもないところに作ってみたかったんです。
埼玉の大宮に看板がまったく出てないレストランがあるんです。きったない扉をあけたら、洗練されたキレイなレストランがあって。外と中がぜんぜんイメージ違うのって面白いなと思いましてね。


-たしかに歌舞伎町の雑居ビルにあるというのは、虚をついて忍者っぽい。
 お土産のまきびしすごく嬉しかったんですけど、アレって実際に使われてたんですか?

湯:使ってたみたいですよ。広いところに巻いても踏まない確率のほうが高いじゃないですか。
でも、追っかけてるほうからしたら「なんか巻いた!」っておもったら、心的ブレーキが働く。それだけで良かったみたいなんです。
踏まなくても「あそこに画鋲落ちてるよ」って言われたらイヤじゃないですか。


-なるほど、精神的効果ですか
 
湯:隠れ身の術とかも、案外、ただ体を丸めてるだけだったりしますよ。
ちょっと見つかりづらければ良くって、それに名前をつけてるだけ。


 
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▲戸隠の忍者資料館でみた「変装の術」
 
戸隠の忍術資料館行ったことあるんですけど、変化の術が変顔をしてるだけでびっくりしたんですよ

湯:そうそうそう、そうなんです!夢壊しちゃいそうだから、お客さんには言いづらいですけどね(笑)




●大人にはトリビアのプレゼントが喜ばれる

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-ハチマキはなにか効果があるんですか

湯:これは額を守るもの。本来は耳にかぶせるらしいんです。戦ってるとき、耳を掴まれるのを防ぐ。
でも、ここでやっちゃうとお客さんの声が聞こえづらくなるので、耳出しちゃいますけどね(笑)


-まあ、ここでは誰も耳つかんできませんからね

湯:すっぱ抜くって言葉があるじゃないですか。「素破(すっぱ)」って、忍者のこと。
忍者は情報収集して、表にでない情報をリークすることから、すっぱ抜くってきてるんです。


-あ~、そこからきてるんですか!

湯:耳の防御もそうですけど、こういうトリビアを日本人のかたに説明してあげると、ほーっとなりますよ。





●小田原の海岸で、自転車と地図を渡され「日本海まで行け」って言われました

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▲刀の斬り方をおしえてくれる湯本さん

-もともと忍者がお好きだったんですか

湯:子どものころ、木更津に住んでるときがありまして、近くに忍者屋敷ってあったんです。
そこで遊ぶのがすごく好きでしょっちゅう行ってたんですけど、自分に子どもができて連れてってあげようと調べたら、なくなってたんです。
からくり屋敷は滋賀県とか戸隠にしかなくって、もっと近場にあればいいのになあ、って。


-無いなら自分で作っちゃえと。なにか忍者修行されてたんですか

湯:居合はやってたんですけど、忍術の修行はしてません。ここは修行をする場ではないので、一種のアミューズメントとして楽しんでもらえたら嬉しいですね。
アウトドアのインストラクターをやってたことがあって、体験させて喜んでくれたら嬉しい。
マネキンを刀でぶちのめしたり、手裏剣ぶんぶん投げたりして、体動かしてなんか楽しかったねってくらいでいいんですよ。


-体験のモチーフとしての忍者なんですね

湯:そうなんです。手ごたえを感じるシーンっていうのがいくつかありまして。
たとえば、外国人のご家族でいらっしゃるときって、けっこう子どもたちがつまんなそうな顔してるんです。興味ないじゃないですか、子どもたちにとって東京見物って。
そういう子が忍者体験して、だんだん顔がほぐれて、木刀でマネキンぶちのめして、手裏剣投げるとすんごい良い笑顔になるんですよ。
最後は、お父さんが「センキュー!エクセレント!」って握手を求めてくれて、それがいいですね。
子どもが楽しんでる姿をみて、親がそれ以上に喜んでくれる。それが嬉しいです。


-前職も忍者とはまったく関係ないお仕事なんですか

湯:ローソン本部で働いてたのが一番長くて、そのあとリクルートにいたんですよ。営業バッチリやって。そこから個人で営業代行やってました。それで、ここの資金を稼いだんです。
まったく関係ないんです、忍者の世界とは。


-忍者屋敷以外に、なにかやろうとしてた候補ってあったんですか?

湯:アウトドアのインストラクターで生きてこうとおもってたこともありますね。実際にワンシーズンやってましたし。
登山とか沢登りとかロッククライミングとかトータルコーディネイトしますよ。長いコースなら1週間泊まりです。


-初心者でもできるんですか?

湯:できます、コースに応じて。
世界数十か国で展開してる冒険教育のグループで「アウトワードバウンド」って団体があるんです。日本にも長野にあります。


-そこでインストラクターされてたんですか?

湯:参加者として行って「これは面白い!」ってインストラクターになりました。
自分がインストラクターになるための研修では、小田原の海岸に集合したんですけど、いきなり「日本海まで行け!」って言われたんですよ。



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▲小田原から日本海ってこの距離ですよ

-え?どゆこと?

湯:小田原駅から車で海岸まで連れてかれて、地図と自転車渡されて「これで日本海まで行ってください」って。
途中でロッククライミングだったり、沢登りだったりのポイントを通過しつつ、10日間だかで行くんです。時間配分は任せるから、はい、どうぞって。
心の葛藤が出てくるんです、黙々と坂のぼってると。


-すさまじい研修ですね!

湯:小田原から丹沢まで行って、翌日、沢登りなんです。
川の奥のほう行って、ドドドドって水が流れてるところに、ロープも無しに、人の力だけで登っていく。
普通の沢登りって川から離れて登るんですけど、そこは「本流行け!」って言われる。一番激しいところで「ズレるな!逃げるな!本流!直登!」って言われるんです。


-さっき修行してないって言ってましたけど、もう、それ忍者修行じゃないですか!

湯:あ、やってましたね、忍者修行。
滝打ちなんて比じゃないですよ。ガーッて水流がかかってるなか、20分近く人がのぼるのを下から支えてたりする。
人間の体力とか気力の限界を超えるんですよ、ほんとに。


-どういう葛藤が湧いてくるんですか

湯:もう倒れちゃおうかな、力抜いちゃおうかなって葛藤です。
でも、そこで踏ん張ろうって気持ちが動くんですね。
達成感の積み重ねをしていくと、また違う世界が見えるんですよ。
ただたんにキツイことをさせるだけだと、それは苦行だと言われる。そこからはなにも生まれない。
いいインストラクターが入ると、うまくバランスをとる。この人にはこれぐらいの負荷だな、ここなら乗り切れるなって、采配をふるって達成感を感じさせるんです。


-絶対的なノルマというより、その人自体の限界を超えられればいいわけですね

湯:そうなんです。そして、乗り越えたとき、自分の気持ちを話せる。そういうのを永遠繰り返す。すごい良い経験でしたね。
その経験が、ここですごい活きてるんですよ。
お客さんの表情をみて、これは今やらないほうがいいかなとか。
同じ子だけが仕掛けを見つけたら面白くないから、あまり見つけてない子に教えてあげたりとか。
もうこの子はウズウズしてて説明はいいんだなってときは、まず刀でマネキンを叩かせて、スッキリさせてからお話ししたり。


-忍者屋敷をはじめるにいたるルーツが、なんだかわかりました

湯:忍者、忍者って感じではないですけど、体験なんです。体験をつうじて、気持ちの変化があったら、嬉しい。
この前なんて、外人さんの団体があがってきて「ランチ頼む」って言われて。飯屋だと勘違いしてるんですね。
パンフレット見せたら、ほかのメンバーと電話しだして、怒りだしてるんですよ。
すごい険悪な空気になって「どうするんだろうな~」っておもってたら、ここに集まって、親族会議みたいなのしてる。初顔合わせだったみたいなんです。
結局、やっていくことにしたんですけど、どんどん空気がやわらいで、最後は握手を求められたんです。









「新宿忍者からくり屋敷」の情報
オススメ度:★★★★☆
アクセス:新宿駅から徒歩10分
住所:東京都新宿区歌舞伎町2-28-13 第一和幸ビル4階
電話番号:-
営業時間:10時から21時
定休日:水曜
予算:1000円
関連サイト:公式サイト