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全国16万基。じつにコンビニの3倍もの数がありながら、あまり古墳は注目をされていない。
そんな古墳の魅力を、熱く語り、曲にしあげて歌いあげている古墳シンガー・まりこふんさんだ。
古墳好きたちの集団「古墳にコーフン協会」の会長でもある彼女に、古墳にコーフンする方法を伝授してもらった。



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古墳シンガー・まりこふんさん

まりこふんさんに出会ったのは、2年前のテレビ収録。
各ジャンルのマニアや専門家をあつめてバスツアーをおこなうという企画だった。
まりこふんさんはおすすめの古墳を紹介したのだが、その語り口の熱さはずば抜けていた。最後には古墳ソングまで歌っていた。

古墳への愛を歌いあげる古墳シンガーにして、古墳好きたちの集団「古墳にコーフン協会」会長。巡った古墳は3000基以上。CD「古墳deコーフン!」、著書「まりこふんの古墳ブック」「古墳の歩き方」の執筆など、とにかく古墳への情熱がほとばしっている。
その熱さの源泉をインタビューしてまいりました。





●前方後円墳はカワイイ

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▲前方後円墳柄のバッグ。市販されているものだそうだ

まりこふんさん(以下、ま):インタビューしていただけるということで、古墳グッズをたくさん持ってきました。
古墳のクッションとか。このカバンも、よくみると古墳の柄なんですよ。


-どれも前方後円墳なんですね

ま:やっぱり分かりやすいんですよ。
わたしなんかは、水玉の服着てる人いたら「あ、円墳柄のシャツですね」とか言っちゃいますけど。


-個人的にも、前方後円墳がお好きなんですか?

ま:形でいえば十何種類あるんですけど、わたしは、そのなかでも前方後円墳が一番カワイイなっておもいますね。
人によっては双方中円墳が好きだったりしますよ。


-双方中円墳?

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▲まりこふんさんが描いてくれた双方中円墳

ま:丸の両サイドに四角がついてる、キャンディー型みたいなの。



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▲上円下方墳
 
ま:下が四角で上に丸がのってる上円下方墳が好きな人もいますしね。ちょっと書くと、こういうことですね
府中市にある武蔵府中熊野神社古墳ってのがこういう形ですよ。
昭和天皇もこういう形だったはずです。天皇家は、昔の古墳のデザインを使って作るので。





●盗掘をさける古墳の工夫とは?

-古墳って、ようはでっかいお墓ですよね。どうやって埋葬されてるんですか

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▲竪穴式埋葬
 
ま:いろんなバージョンがあるんですけど、大きくわけて2タイプの埋葬方法がありますね。
まずは、竪穴式の埋葬。これは上から土をかぶせるので追葬できない。



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ま:もう1つは横穴式埋葬。横からなかに入れる。
扉じゃなくて、閉塞石っていう石でバーンって閉めてるんです。
でも、家族とかを追葬するときは、いったん開けることもできるんですよ。


-なるほど、進化してる

竪穴式が古墳時代の前期から中期、横穴式は中期から後期。改良されてるんです。
あ~、古墳の話ししはじめると時間がいくらあっても足りないので、急いで話さないと!


-埋める位置って決まってるんですか

ま:それぞれですね。
盗掘をさけて、真ん中からちょっとずらしてる場合もあるんですよ。
だいたいメドをつけて急いで掘るんだけど、ちょっとそらしてると発見できない。


-工夫!やっぱり入るのは王様ですか

ま:すくなくとも力を持ってないと大きな古墳を作れないですよね。
豪族とか、いまでいうと知事や村長さんレベルでも小さな古墳があったりします。
埋葬品がたくさんある人でも、あえて地味な長方形墳とか選んでる人もいる。
古墳デザイナーがいて、流行りとかその人の個性によって、形を選んでたらいいなっておもってますね。


-いそうですね、古墳デザイナー

 
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▲ホタテ貝みたい

ま:ホタテ貝形古墳という形もあるんですけど、前方後円墳を作ってる途中で「埋める人が死んじゃったから、もうこれでいいじゃん」って辞めちゃってできた形ならいいですよね。

-はやく埋めなきゃ腐っちゃうよって





●古墳は土木事業

ま:古墳は、王さまになった時点から作りはじめるんですよ。
「あそこの海が見える丘に、古墳を作りたい。ハニワはこのタイプをお願い」みたいに。
ハニワはまた別で工場があったりするんですよ。粘土がでないところだと、遠くから注文する。


-ハニワの特産地があったんですか

ま:世田谷に野毛大塚古墳ってとこがあるんですけど、あそこのハニワは埼玉県の鴻巣あたりで作ったものなんですよ。
川や海もつかって、交易してたんでしょうね。
棺も石棺などは石工職人が必要だったり、本当にたくさんの技術が必要なんです。古墳って土木事業なんです。


-最近、まりこふんはハニワの本を出版されましたね

はにわ
はにわ

ま:学術的に書いても面白くないかなってとおもって「ハニワで遊んじゃおう」ってテーマで書きました。
「このハニワはこういうことをやってるように見える」とかを、ハニワの気持ちになって、みんなで考えてみようって。
踊る人々にしても、ほんとうに踊ってるのかどうかは、今となって誰にも分からないわけだし、それぞれが楽しめればいいのかなって。
勝手に名前をつけちゃってるので、子どもたちが真に受けないか心配ですけど。


-やっぱりハニワも好きだったんですか

ま:ハニワって古墳の一部だから、いままであんまり注目してこなかったんですよ。
ハニワといえば人物ハニワ、特に、踊る人々ってハニワが有名じゃないですか。
でも、古墳に行っても、このハニワに出会うことってなかったんです。円筒ハニワばっかり。6000本ぐらい円筒ハニワがぐわーーっと並んでるんです。
ハニワっておもってたのと違うなって。


-埋めるんですか、普通は

ハニワって古墳の内部に埋めているわけではないんです。
古墳の外側を守ってるものなんで、古墳の上や周りに置かれるんです。



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▲保渡田八幡塚古墳

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▲古墳をふちどるようにぎっしり円筒ハニワが置かれている

-八幡塚古墳に行ったときにそういう置かれ方してました!
 展示用にそうしてるんだと思ってたんですけど、正式な置かれ方なんですね。

ま:そうですね。円筒ハニワの列が、古墳をふちどるように置かれてるんですよね。
人物ハニワなんてどこにあるんだって、なにも知らなかったんですけど、古墳の近くに置かれてたり、埋葬部分の上に置かれてたりするんだって、資料館で知りました。



-人の形ってレアなんですね

家形
▲家形はにわ

ま:注目はされるんですけど、円筒ハニワのほうが圧倒的に多いですね。
わたしは家形ハニワがかわいくって好きなんですけど。
これが一番すきなハニワ。81㎝もあって、わりと大きいんですよ。


ムササビ
▲ムササビはにわ

ま:ムササビのハニワなんていうのもあって、驚愕しましたね。
まずムササビがいたんだってびっくりなのと、もうちょっと形がどうにかならなかったってのいうのと。


帽子
▲帽子はにわ

ま:あと変だなっておもったのが帽子のハニワ。109cmあるんですよ。
円筒ハニワでさえ、作るのに半日くらいかかったっていうのに、帽子のためにどれだけの時間かけてることやら。





●仁徳陵、こんなに近くにいるのにあなたに会えない…

-いつごろから古墳が好きになりはじめたんですか

ま:たぶんかれこれ8~9年前からですね。
それまでは歴史も嫌いでしたし、まったく興味がなかったですから。
歴史のなにがイヤって、偉い人の名前を覚えなきゃいけないこと。


-古墳に埋葬されてるのも偉い人ですよね

ま:わたしは古墳に入ってる人はわりとどうでもよくて、古墳まわりの人が好きなんですよ。
ハニワデザイナーとか古墳ビルダーとか石工職人とかが大好き。それを妄想するのが大好き。
あとは古墳を守ってきた周辺住民たち。町単位で好きになりますね。
だから、車で直接行っちゃうと土地勘が感じられなくてつまらないので、歩いて古墳に向かうんです。


-「この街にある、この古墳」って感じるのが好き

ま:そう!この街だからこそ、こういう古墳になるんだなって広い視野で楽しむ。
近くで古墳まんじゅうとか売ってると、もう、キュンとくる……


-古墳を愛してるなって

ま:古墳を愛してるかどうかはわからないけれど、古墳にとってはいいことじゃないですか。そういうものがあることで愛でられてる感が出るというか。


-もともとは、デザインとして可愛かったからいいなって興味わいたんですか?

ま:わたしと古墳との出会いを聞いていただけるんですか!?
長い長い話しになりますよ!



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▲古墳への愛を熱弁するまりこふんさん

-むしろ聞いてみたいです

ま:わたしはミュージシャンとして、いろんな町にライブしに行くんですよ。
とくに大阪はよく行ってて、通天閣とか大阪城とか観光してたんですけど「そろそろ飽きたな、なんかないかな」って探したら、大仙古墳(仁徳天皇陵)が見つかったんです。
教科書で習った前方後円墳が見れるんだって、地図を頼りに近くまでいったら、あまりにデカすぎて、形なんてなにも分からない。ただの森です。

だいたいの名所って、行けば満足させてくれるじゃないですか。ゼロだったんです。満足ゼロ。
しょうがないから周りを1時間かけて回って、ちょっとでも高いところから見ようって歩道橋にのぼったりしたんですけどぜんぜん見えない。

近くに博物館があって寄ったら、エジプトのピラミッドと秦の始皇帝陵と大仙古墳が世界三大墳墓だって書いてあったんです。
「え~、なにそれ!!」ってはじめて知って。そのなかでも面積が世界一大きいと。すごいびっくり。この驚愕の事実を、日本人がどれだけ知ってるのかと。


-そんなに驚愕したんですね

ま:エジプトのピラミッドも秦の始皇帝陵と、ぜんぜん扱い違くないって。その2つは世界遺産にもなってるんですよ。
かたや大仙古墳は、世界一大きい墳墓なのに誰も興味もってないし、これは悔しいと。

で、帰りの阪和線で「こんなに近くにいるのにあなたに会えない」ってフレーズが降りてきて、何十分かのあいだに歌詞とメロディーが完成して「麗しの仁徳陵」という古墳ブルース第一弾ができたんです。


-古墳ブルース!もはや片思いじゃないですか

ま:子どものころに「さきたま古墳群」っていう埼玉県行田市の古墳に、遠足で行った記憶が甦ってきたんです。そのときは古墳にのぼれたし、古墳の上でお弁当食べた気がするぞと。で、行ってみたんですよ。そしたら、大感動してしまって!
横からみても前方後円墳の形がわかるんですよ!
古墳のうえに登って、もう、古墳の近くに来れたぞ~って!


-古墳に対して、マジで興奮してますね

ま:大仙古墳では近くにいるのに会えなかったから……
もしかして、最初からさきたま古墳群に行ってたら、ここまでハマらなかったかもしれない。あの悔しい思いのおかげで感動した。
ほかの古墳はどうなってるんだって調べたら、全国に16万基もあるんです。コンビニの3倍ですよ。


-え~~~、ありすぎ!

その数に驚愕した。
形もいっぱいあるのを知って「ヤバい、この形見てみたい」と、音楽ツアーで行く土地土地で巡るようになった。
でも、じょじょに「この古墳行きたいから、ここでツアー組もう」って、古墳がメインになっていった。


-歌いに行ってるのか、古墳見に行ってるのかわからない

ま:当時、古墳のこと知りたいっておもっても、仏像みたいに女の子が読むようなわかりやすい本がなかったんです。ものすごい難しい学術的なものしかなくて、読んでもまったくわからなかったんですよ。
いつかわかりやすい古墳本が書けたらいいなって。


まりこふんの古墳ブック
まりこふんの古墳ブック

古墳の歩き方
古墳の歩き方

ま:
そんなときにお話しいただいて、書いたのが「まりこふんの古墳ブック」と「古墳の歩き方」ですね。



●初心者におすすめの古墳は!?

-いままでどれぐらい古墳見てきたんですか?

ま:トータルで3000基は行ってますね。


-3000基!めちゃくちゃ多い!どれくらいの時間、滞在するんですか

ま:まず、まわりを一周しますよね。
いろんな角度から写真撮りたいし、もしどこか欠けてるとこがあれば、その子の個性だから見逃せない。
上に登れるとこは登らせていただいて、埋葬施設このへんかなって想像して、1時間はかかってるのかな。

単純に、大きければ大きいほど時間がかかります。
古墳があって、ハニワがあって、さらに横穴が開いてて中に入れて、壁画まであって、資料館もあって、ミュージアムショップもある。
そんなすべての要素を兼ねそろえたやつは、すごい時間かかりますね。


-そういうところは「あー、大変だ」っておもうんですか

ま:いや、大変だなんて思わないですよ!
最高、やったー!スゴイ!って大興奮ですよ。




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▲さきたま古墳群

-初心者の人におすすめな古墳ってどこですか

ま:やっぱり、埼玉のさきたま古墳じゃないですか。古墳の遊園地みたいで楽しいですよ。
ハニワ作りもできて、粘土で作って1ヵ月乾燥して、送ってくれるんですよ。
古墳に登ったりもできるし、内部の様子もわかるようになってて、資料館もある。
おだやかな広い公園なので、墳ピクもできます。
2時間もあれば、全部の古墳群を巡れますよ。


-いくつもあるんですね

ま:9基ありますね。1つだけ円墳があって、あとは前方後円墳。
この円墳が全国で一番デカい円墳です。
忍城を攻めるとき、石田三成が陣をおいてた円墳なんです。


-そんな使われ方もするんですか!

ま:古墳って高くて見晴らしがいいところにあるから、陣を置かれがちなんです。
戦時中は防空壕だったり、貯蔵庫にしてたりもしますよ。





●かわいそうな野良古墳にスポットライトを当てたい

-古墳のハシゴもするんですか

ま:もちろんします。
まず、その土地にある主要な古墳に行ってから、野良古墳にも行く。



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▲野良古墳の一例

-野良古墳?新しいワード出てきましたね

ま:そんなに注目されてない古墳のことです。
開発で削られちゃったり、消されちゃったり、可哀想なやつがいっぱいあるんですよ。
道路が走るからって壊されて、埋葬品とかハニワだけが資料館に飾られることが、よくあるんです。悲しい運命。

沼津にもそういうのがあって、反対運動で保存されたんですね。
こないだ行ってきたんですけど、古墳寸前まで道が迫ってました。
目の前で止まってて、「うわーっ!ギリギリだ、あぶなーーーーーい!!!」って。


-叫んじゃいますね、逃げろーって

ま:埋葬部分を道が横切ってるものもありますし、悲しい古墳たちだけで本ができますね。
古墳のうえに家が建ってたり、お墓onお墓なんてのもありますよ。現代のお墓が、古墳の上に立ってる。


-なんか縁起は良さそうですね

ま:ちょっと羨ましい。
古墳の近くって、よく墓地がありますね。もうすでに古墳があるから、お墓建てても誰にも文句言われないのかもしれませんね。


-野良古墳に想い入れがあるんですね

ま:誰も行かないような野良古墳、かなり行ったとおもいますね。
わたし野良古墳が好きなんですよ。スポットを当ててあげたい。
人から愛でられてる古墳も、もちろん見たいとおもうんですけど、隅っこにポツーンってある小さな円墳に対して「こいつにも会ってあげて!」っておもっちゃう。
たとえば、上野の東京国立博物館のすぐそばにも摺鉢山古墳っていうのがあるんですよ。みなさん、スルーしますけど。


-しょっちゅう通ってますけど、そんなとこに古墳あったんですね!
 野良古墳って看板は立ってるんですか?

ま:立ってないときもありますね。
いちおう文化財の指定がされてたりすると、市や町のサイトには書いてあるけど、看板もなくて、誰も行かないなんてことはあります。
いつだったか、千葉の野良古墳に行ったとき、すごい探しても、どこにも見当たらなくて。
農作業してるおばちゃんに「このへんに古墳あるみたいなんですけど知りませんか?」って聞いても「え?古墳?そんなのないよ!」って言われて。
ようやく辿りついたのが、そのおばちゃんのすぐ後ろだったんです。


-昔から意識してなければ山や丘と同じですもんね

ま:そういうことですね。
戦国時代とか戦争とかを生きのびて、そこに残ってきたのに、なんにも興味がないとブルドーザーでガーッと潰されちゃうわけです。悲しい。
せっかく一千年以上、生きのびてきたのに。お墓に生きのびたってのもおかしいですけど。
だからこそ、古墳を大切にしてる町、愛してる町に会うと嬉しいんですよ。


-古墳ってそんなに、ないがしろにされてるもんなんですね。仁徳陵とかのイメージしかなかったです

ま:宅地造成するときに、古墳から土を持ってきたり、石室の石を使ったり。町の建築にすごく貢献してる古墳ってありますよ。
仁徳陵は超セレブ古墳ですから。セレブ古墳と野良古墳はそれぞれの悩みを抱えてて、両者のあいだで抗争が起こるんだけど、最終的には手をとりあう。そんなストーリーを妄想してます。


-もうやめよう、俺たち、同じ古墳じゃないか

ま:はっははっは、そうそう。
野良古墳との出会いは、いつだってドラマチックなんですよ。
草を掻きわけ、泥だらけになって会いに行くんですね。やっとめぐり逢えたときは、後光がさしてるように見えるんです。
あっちも「こんなとこまでよく来たね」って言ってくれてるような気がして……。
「来たよ!会いに来たよ!」って、2人の会話が生まれますよね。


-恋人ですね

ま:恋人というかスターですね。古墳の追っかけをしてる感じ。




●出雲の古墳が怖い

-古墳ってお墓なのに怖いイメージないですね

ま:か~、たまにありますよ、怖い古墳!
お墓が怖いとはおもわないんですけど、それでも、はねのけられるような古墳ってあります。
わたしにとって、出雲のほうの古墳はすっごい威圧感があってものすごく怖かったですね。
穴が開いてたら、だいたい入るようにしてるんですけど、そこは入りにくかった。霊感もまったくないんですけどね。友達も「ここはダメだ、入れない」って言ってましたね。


-木が生い茂ってたり、見た目がさびれてるとかなんですか

ま:うーん、見た目だけならもっと怖いとこはあるんですけどね。
出雲の古墳がことごとく、そう。大丈夫なのもあるけど、なぜかたいがい怖かったですね。



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▲横穴墓タイプ

-不思議ですね

ま:横穴墓タイプっていう壁にたくさん穴が開いてるやつ、吉見百穴とか。
あれもお墓なんですけど、隣の入り口は大丈夫なのに、こっちの入り口はダメみたいな、そういうこともありますね。


-たとえば、普通に人が住んでるマンションでも、ここの住人ヤバそうだなって外見でなんとなく分かりますもんね





●墳ピク、最高!

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▲まりこふんさんが会長をつとめる「古墳にコーフン協会」サイト

-ほかの人と一緒に行くことってあるんですか

ま:ありますよ。古墳にコーフン協会の協会員ですとか。
でも、古墳をまえにすると、その人たちの存在を忘れて、走りよってしまいますけど。


-いま、古墳にコーフン協会って何人くらいいるんですか

ま:200人以上はいますね。
協会員同士が「なになに古墳の公開だね!」って集まって見にいったりとか、各地で起こってて、嬉しいなって。
わたしがその土地に行くと、協会員たちがサポートしてくれるんですよ。車を出してくれたり、情報をくれたり、すっごい助けてくれる。


-どういうきっかけで出来たんですか

ま:奈良のイベントに呼ばれて、古墳の唄を歌っていると「うちの近くに、なになに古墳ってあるんだよ」って、いままで古墳にまったく注目してこなかった人が自慢してくるんですよ。それがまた嬉しくって。
わたしはいつも古墳からもらうばかりで、古墳のためにわたしが出来ることって、そんなにないとおもってたんです。
これは古墳の役に立ててるかもと、古墳イベントをやったり古墳ソングを歌っているうちに「あの古墳行ってみました、すごいですね」と古墳好きになってくれる人が増えてきた。
そんな様子をネットにアップしていくうちに、隠れ古墳好きたちがメッセージをくれたんです。


-隠れ古墳好き?

ま:誰にもいえず1人で古墳を巡ってる人たちが、全国各地にもともといたんですよ。
「ほんとうにありがとうございます。まりこふんさんが大声で古墳が好きだと言ってくれるので、わたしもこれからは堂々と古墳めぐりができます」って人がけっこういて。
古墳が好きだっていうと変なやつだとおもわれるから、黙ってたみたいです。


-そういう人って女性が多いんですか?

ま:男性も女性もいますね。
古墳ばかり撮ってる男性カメラマンからは「まりこふんさんの活動がきっかけで、古墳写真の個展をひらくことにしました!」って言われたこともありました。
そういうことが重なったので、古墳にコーフン協会を立ち上げてみたんです。
そしたら、どんどんネットワークが広がっていって。古墳好き同士って、ものすごく気が合うんですよ。平和に活動してます。


-こんな熱量で語られたら、古墳にめちゃくちゃ興味湧きますよ!

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▲マイ古墳クッションを古墳にもっていく女の子も多いそうだ

ま:はっはっはっは!
古墳ってすごく奥が深くて、わたしも知らない要素がたくさんありますけど、まずは形がカワイイとかそういうことから入ってもいいんじゃないですか。
古墳グッズを集めたりね。カワイイじゃないですか、古墳クッション。
マイ古墳を持っていって、古墳と一緒に撮ってSNSにあげてる女の子もたくさんいますね。
墳ピクも楽しいですよ。


-墳ピク?

ま:古墳ピクニックです。古墳のうえとかでやりますよ。


-古代米とか食べるんですか

ま:古墳形おにぎりとか、ハニワ形ウインナーを作るんですよ。
桜が咲いてるころなら花見。最高ですよ。



-お時間なので最後の質問を。まりこふんさんは自分が埋まるならどの古墳がいいですか?

ま:前方後方墳ですよね、それは!
でも難しいですよ。まずは土地おさえるところからはじめないと。
 


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【2016年9月発売、まりこふんさんのはにわ本】

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古今東西のいろんなハニワがのってる1冊。難しいところは1つもない。
インタビューでも触れてるけど、ムササビハニワとか帽子ハニワとか「こんなハニワがあったのか!」の連続。
私が特に好きだったのは、異常なほど顔面が作りこまれたハニワ。歯まであってブキミなんだ。