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町歩きが趣味の人ならば、かならず一度考えたことがあるだろう。
「なぜこんなにも、道路に手袋が落ちているのだろうか」と。
今回お話しをうかがったのは、路上に落ちてる手袋を撮影しつづけている、片手袋研究家の石井公二さん。
どんなシチュエーションでも「見つけてしまったら撮影しないと罪悪感がある。片手袋は、呪い」とまでいう石井さんに、疑問をあれこれぶつけてみた。



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▲片手袋研究家・石井公二さんにお話しをうかがった

町歩きが趣味の人ならば、かならず一度考えたことがあるだろう。
「なぜこんなにも、道路に手袋が落ちているのだろうか」と。
ひとたび意識すると、あっちにも手袋、こっちにも手袋。四方八方、世界は手袋に充ちみちていることに気がつく。

今回は『路上に落ちてる片手袋』を撮影しつづけている
◎片手袋研究家の石井公二さん
にお話しをうかがった。

小学1年生から片手袋に注目しはじめ30年。
サイト「片手袋大全」にて研究成果を報告している。
どんなシチュエーションでも「見つけてしまったら撮影しないと罪悪感がある。片手袋は、呪い」とまで言う石井さんに、疑問をあれこれぶつけてみた。





●片手袋は、呪い

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▲小1のころに読んだ絵本「てぶくろ」がきっかけ

-そもそも片手袋に注目しはじめたのは、いつからですか

石井さん(以下、石):小1のころに「てぶくろ」って絵本を読んでからなんで、30年になります。
おじいさんが落とした片手袋に、雪降る森の動物たちが入りこもうとするってお話しなんですけど。
これ読んで、その直後に町に落ちてる手袋を見つけて「あ、ほんとにあるんだ!」って、ぼんやりと意識しはじめたんです。



-絵本読んだあとだけに、妄想が膨らんだ

石:記録をしはじめたのは、カメラ付き携帯を買ったときからなんで、10年以上前。
撮るものもなかったんで、昔から好きな片手袋でも撮ってみようかなって。


-軽いノリだったんですね

石:最初は「佐川急便のお尻触ると運があがる」みたいなノリだったんですよ。見つけたらラッキー。
でも、最近は「霊柩車通るとき、親指隠さないといけない」みたいに反転してます。撮らないことが罪悪感になっちゃってる。
楽しいでしょって言われるんですけど、どっちかといえば、呪いです。


-呪い!

石:呪いをプラスに転じるために、展覧会やったり、楽しくなるよう頑張ってる。
写真を撮ること自体は、もはや義務感です。


-高速道路走ってると落ちてるじゃないですか。アレはどうするんですか

石:「高速の片手袋問題」ですね。あります。
どう考えても一番落ちてるのが高速道路なんですよ。
でも、それは同時に撮れない片手袋。
分かってるのに記録できない、僕のジレンマ。

存在を認識してるのに記録できない唯一の存在ですね。
それ以外は100%とは言わないまでも99.99%は撮ってます。
バスに乗ってるときに見つけたら、途中で降りますし。


-そこまでやりますか!完全に呪われてますね

石:終電逃してタクシーで帰ってるときに車内から見えちゃって…。
家に帰ったはいいけど、やっぱり気になっちゃって、そこまでチャリンコで戻って、写真におさめて「よし!」と。
自分でもなにが「よし!」なのか分かんない。


-タクシーで帰るぐらいですから疲れてますよね

石:タクシーに乗るなんて贅沢なのに、わざわざチャリンコで戻るって自分でも意味が分からない。
それぐらい撮ってます。


-累計で何個ぐらい撮ってるんですか

石:把握してるだけで4千個。
いまはフォルダに放りこんじゃってるから分からなくなってきた。





●駅の階段で見つけちゃったら、人がいなくなるまで待つ

-高速以外で撮りづらかった片手袋ってありますか

石:町なかは全部撮りづらいですね。人の目があるから。
たとえば、駅の階段。盗撮を疑われないよう、人がいなくなるまで待つんですよ。
ラッシュ時なんて、ずっと待ってなきゃいけない。
見るたびに「あ~、見つけちまった…」っておもいますもん。

-難儀な趣味ですね…


ミスド (1)
▲近くで撮ったもの

ミスド (2)
▲ミスドに入店して、2階から撮ったもの

石:これは同じ場所に違う片手袋が2個あった。
珍しかったので、近くのミスドに入って、用もないのにコーヒー買って、2階からも撮った。


-ははははっ!アングル違いをおさえてる

石:撮りづらいというより、自分で難易度を上げちゃってる。
こないだなんて、秋祭りで神輿かついでいるときに、ちらっと見えちゃって。スーッと神輿から抜けて、撮った。
もう遠くのほうに神輿が行っちゃってるんですよね。


-眼が鍛えられてますね

石:だんだんアングルにもこだわるようになっちゃった。
最初は片手袋自体に興味があったんで、アップで撮ってたんですが、周囲の状況もおさえるようになってきた。
引きで撮ったり、地べたで座りこんで撮ったり。



酉の市
▲酉の市の参道に落ちてた片手袋

石:これは酉の市の参道。すっごく人通りが多かったんだけど、一瞬で撮らなきゃいけなかった。



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▲週刊誌のパパラッチを描いた映画「SCOOP」

-スクープカメラマンですね

石:福山じゃなくて俺でも良かった。


-ははは!どんな映画になったんでしょうね

石:撮るのが手袋ですから。絵面が地味ですね。


-ちなみに、両手袋は撮らないんですか

石:いちおう撮りますけど、ソフトボールと野球ぐらい違いますね。
かなり近いジャンルではあるけど、心からテンションのあがる対象ではない。





●片手袋には「放置型」と「介入型」がある

分類表
▲片手袋分類図

-サイトに載ってる片手袋分類表、すごく分かりやすいですよね

石:続けてるうちに、点が線になり、面になる。
「あれ、こういう状況、前もあったな」となって、せっかくだからまとめようと。



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-いつごろから分類しはじめたんですか

石:名刺代わりに、どうぞ。片手袋の小冊子です。
この小冊子に載ってる分類表が最新版。
改訂を繰り返してて、いまは6版ぐらいなんですけど、初版は2012年ぐらい。
実例が増えれば分類を加えますし、最初の図よりぜんぜん細かくなってますよ。

3段階で分けていくんですけど、まず、手袋の種類ですね。軍手とかゴム手とか。
ファッション系は冬だし、そのほかは一年中通してありますね。
タイプによって見つけやすい時期があるんですよ。
「冬の趣味なんですか?」って聞かれますけど、そんなことはない。


-スノボとは違う。表にある「ディスポ―ザル類」ってなんですか

石:医療や食の現場とかで使う薄手のやつですね。
銀座のど真ん中にディスポーザルが落ちてるなんてこともありますよ。


-うーん、不思議

石:2段階目が一番重要で、「放置型」と「介入型」の分類ですね。
放置型っていうのは落ちたままの状態、介入型っていうのは落とした人以外の手が加わっている状態。
ここはもう、決定的に違ってくる。


-分類が難しいような、変わったとこに落ちてたのってありましたか

石:水中ですね、潮が引いたときにしか現れない手袋。
「満潮だったら見つけられなかったよな」って片手袋がありましたね。


-RPGの重要アイテムみたい!レア物に出会うとやっぱり嬉しいんですか?

石:ま、片手袋博愛主義とか、片手袋に貴賤なしとか言うんですけど…


-片手袋博愛主義?聞いたことない単語がどんどん出てきますね!

石:高級な革手袋が嬉しくて、軍手に「ああ、またこれか」とおもうのは許せない。


-ありきたりな、ただ道路に落ちてるだけの軍手でも

石:そう。片手袋である以上、俺は愛する。
むしろ、そいつらがいるから、俺は一年中観察できてるんだから。
もちろん、この表に入らないような「おおっ!」って驚くものもありますけど、あくまで研究者として新種を見つけた喜びです。
そこに区別があってはいけない。


-研究者としては喜ぶけど、人間の愛としては同じ

石:そう、博愛主義。





●追いかけてるとおもったら、片手袋に追われていた

石:片手袋を追いかけてるとおもったのに、片手袋に追われてるんじゃないか。
そんな風におもうことがあります。

-どういうことですか?

石:分かりやすい例でいうと、家の前に停めてたチャリンコのカゴに、片手袋が入ってた。
俺の身内でありながら、こんなの忘れるなんてどういうことだと聞いてみたら、家族の誰のものでもなかった。


-片手袋がいきなり誕生した

石:のちに自転車のカゴに入れられてしまう「カゴ系」って多いことに気づくんですけど。それにしても、よりによってなぜうちのカゴに。
釣りをしてても、釣れるのは片手袋。



釣り
▲ディスポーザルの片手袋が釣れた

-えー、そんなことあります!?

石:ディスポーザルが釣れました。
大事なときに出てくるって法則もあって、娘の七五三のときにも見つかった。
「せっかくなので、横に並びなさい」って片手袋と一緒に娘を撮りましたね。

そこから3年たって、保育園の卒業の日にも見つかった。
そのときはなにも言わなくても、娘、手袋の横に立ってました。


-お父さんの趣味を理解してくれてる

石:でもさすがに「俺の子育て、やべえかもな」っておもいましたけどね。



妻
▲奥さんの幼少期の写真をよく見てみたら…

石:妻の幼少期の写真を見せてもらったら、ここにも、ほら。

-え?



グラフィックス2

-あ、ほんとだ!

石:これを見つけたときはゾッとした。
なんで俺のまわりにだけ発生してくるんだろうと。
みんなに「注目してたらめちゃくちゃ見つかるよ」とは言うものの、それにしたってなんか俺のまわり、多い気がする。


-向こうから近づいてきてますよ、確実に!





●ディズニー映画に片手袋がよく出てくるって知ってた?

片手袋関連事項

▲片手袋がでてくる作品一覧

石:片手袋はマニアックな趣味とおもわれるかもしれないけど、撮ってる人はけっこう全世界にいるんです。
最近だとトムハンクスが話題になりましたよね。2013年ぐらいからやってるので、なんでいまごろ話題になってるんだろっておもいました。

-そんな前から知ってたんですね

石:instagramでも「lostglove」って検索すれば、世界中の人が撮ってます。
映画にも片手袋が出てくることがあるし。


-映画ですか?どういう状況で?

石:ディズニー系は多いですね。
モンスターズインクではイエティーの住処のシーンがあって、どうやら雪山登山者の落とし物で生活してるらしい。
そこでマイクが手袋を耳あてや靴代わりに履いてるんですけど、よく見ると、左右でぜんぜん違う手袋なんです。つまり片手袋を利用してるんですよね。


-そういう視点で観ないと絶対気づけないですね!

石:ピクサーやディズニー映画がスゴいっていうのは、片手袋目線で見ても、こういう描写をおろそかにしてないこと。
サザエさんにもめっちゃ出てきますね。
片手袋研究するってことは、サザエさんすら毎週見逃してはいけない。


-いやあ、大変な研究ですね

石:新聞4コマも片手袋ネタ多いですね、冬場は。
尾崎放哉の自由律俳句にも出てきますし、1人ごっつにも出てくる。


-1人ごっつに?

石:「力の抜ける服でおはよう」というコーナーです。
板尾、松本、きむ兄それぞれが変な服で喫茶店に来て、最後にテレビ局に入る。
廊下にたまたま軍手が片方落ちてて、3人が「なんだこれ?」という感じで見て、終わる。
あれは、人間が片手袋を見つけた瞬間をおさえた貴重な資料ですよ。


-リアルタイムで観てて「あ、片手袋だ!」っておもったんですか?

石:はい、「映像でおさえられてる!」って。
当然DVD化されたときには買いましたし、出費もかさみますよ。




●片手袋から、表現欲求が染みでてる

-都心部と田舎だったり、場所によっても違いはあるんですか

石:「冷たい都心は放置されっぱなしで、温かい下町や田舎では拾われがちなんですよ」みたいな話しにまとまっていくかとおもってたんですけど、ぜんぜんそんなことない。
むしろ人と人が接する機会の多い場所のほうが、介入型は発生しやすいかな。


-案外そういうもんなんですね

石:もともと介入型は「優しさの表れ」としてプレゼンしてたんです。
でも展覧会である人に「優しさじゃないよ。これはイタズラでしょ」って言われて、ムッとしたんだけど。家帰って冷静に考えたら、その線もあるなと。


鉛筆
▲鉛筆をつかんでいる介入型

石:ちょっと面白いところに引っかけたり、鉛筆つかませたりとか、優しさもあるけど、イタズラ心もある。
イタズラってのは不特定多数を「ちょっと笑わせてやろう」って気持ちの表れですよね。
一部の表現者だけに、表現欲求が備わってるわけじゃなくて、誰にだって「人を笑わせてやろう」って位の気持ちはある。
路上ってそういう表現がじわじわ染みでている場所でもありますね。


-以前に取材をさせていただいた、植木鉢を撮りつづけている木村りべかさんも同じ趣旨のことをおっしゃっていました。
植木を支える棒のさし方や、動物や小人といった飾りの仕方にも美的センスや内面がにじみでている。おじさんおばさんの無意識な表現が、植木に表れてるんじゃないかと。

石:植木や片手袋にかぎらず、そういう表現って町にあふれてるんじゃないか。そういう視点で見ていくと町歩きが楽しくなってくるんですよ。 


-すごく面白い視点ですね





●片手袋からみえてくる築地市場

石:場所による変化でいえば、築地の片手袋は注目してますね。
築地の片手袋って大体こういう感じなんですよ。
 

築地場内 (1)

築地場内 (3)

石:軽作業類もしくは重作業類の片手袋ばっかり。ただし、場内と場外で違いがあるんです。
簡単にいうと、場内はプロの出入りが多くて、場外は誰でも気軽に出入りできる。
場内だとゴム手袋とか軍手ばかりなんです。



築地場外 (2)

築地場外 (3)

石:ところが場外だと、こういう観光客が落としたような片手袋がでてくる。
あんな狭い範囲でも場内と場外で発生する手袋に違いが出てくる。

-なるほど!確かに違う



アハ
▲石井さんが「アハ体験」をしたという1枚

石:ただし、コレとかコレを観た時に違和感を感じた

-え、違和感?ぜんぜん普通に見えますけど。

石:アハ体験ですよ。量を見てるがゆえのアハ体験。


-どういうアハ体験されたんですか?ぜんぜん分かんない

石:介入型って、普通は毛糸とか革で出来た手袋なんです。
拾いたくなるやつ。落としたら悲しくなるくらいのもの。



場内介入 (1)

場内介入 (2)

石:でも、築地場内ではこういう介入型をよく見るんですよ。
「何を落とすとツラいのか?」って価値観は、場所によって違うんです。
築地では大事なんですよ、この軍手やゴム手袋が。


-あ~、なんでもない軍手に介入してる!軍手を落とすことが痛手なんだ!

石:そのツラさを仲卸の人たちは分かる。
軍手も自分にしっくりくるやつってあるんですよね。だから、拾ってあげる。
つまり、場所による価値観の違いを、片手袋が象徴してる。


-軍手の介入型ってやっぱり珍しいんですか

石:絶対ないとはいえないんですけど、平場で見ることはあんまりないですね。


-町なかのこと、『平場』っていうんですね(笑)

石:築地は『聖地』なんでね。
「4000枚もよく片手袋撮れましたね」って言われますけど、築地があるんで。行けば、絶対ありますから。
あとは、冬のバス停まわりなんかも要チェックです。

-あ、お金取りだすために手袋外すから



場内子供

石:最近のアハ体験なんですが、これ、築地場内なんですよ。
子ども用の手袋が介入されてる。
ひと昔前は、場内の片手袋は軍手ばかりだったのに。

これは価値観ではなく、時代の変化の象徴です。
築地が市場としての機能をだんだん縮小してきてる半面、観光地としては一級の場所になってきてる。場内の寿司屋さんなんて3時間くらい待つ。
15年前に初めて場内入ったときなんて、「女子供の来るようなところじゃねえぞ!」ってスゴまれた。マンガ以外ではじめて聞いたセリフですよ。
そんぐらいの場所だったのに、今ではベビーカーを押してる外人さんもいるぐらいですから。
築地という場所が、時代とともに変わってることすらも片手袋は象徴してる。





●片手袋、論理で楽しむか、物語で楽しむか

仮面ライダー

石:これなんかも撮ったときには、仮面ライダーウィザードの放送は終わってたんですよ。
なのに、これが落ちてたということは、放送が終わっても、この手袋をずっと大事にしてて、愛着をもってた少年がいたはず。
科学的、論理的に分類して楽しむだけじゃなく、片手袋が生まれた背景やストーリーを想像しながら、文学的に楽しむのもいいんですよ。
科学と文学、両輪で片手袋は楽しめます。


-そもそも入りが絵本ですもんね

石:そう。「てぶくろ」の作者は、町の片手袋から想像して、ストーリーを作ったはずだから。



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-この想像ノートってなんですか

石:コニカミノルタギャラリーでやった展覧会に参加したときのワークショップですね。
片手袋の写真を20枚展示して、好きな1枚を選んでもらい、その片手袋がどうして発生したかを想像して書いてもらう。
ほんわか系の物語を描く人もいれば、はげしい現代批判を描く人もいる。


-心理学のテストみたいですね。なんにでも見えるイラストの解釈を尋ねるみたいな。



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▲イラストで状況を想像したもの。おしゃれなシチュエーションだ

石:ロールシャッハ検査みたいな。
フランスの人かな、言葉じゃなくてすべて絵で説明してる人がいた。
車道に落ちてた写真についての想像ですね。
信号待ちで停まった人が隣に停車した女性にひとめぼれして、手袋を投げたけど、スルーされて行っちゃった。

-おしゃれなこと考えるなー

石:こんなふうに、いろんな楽しみかたができるんじゃないかな。




●絶対のルール「触らない」

-手袋が落ちる決定的瞬間を見たことはあるんですか

石:4回ありますよ。


-「落ちましたよ!」って教えてあげるんですか?

石:一番大事なルールなんですけど「片手袋に触らない」って大前提がある。
観察者として物語に介入しないのがルールです。
研究家としては、今まさに生まれたという興奮があるのに、みすみす戻しちゃうってのはねえ。


-1つの片手袋がなくなってしまう

石:でもちょっと待てよ、本末転倒だろうと。
「俺はべつに、片手袋が生まれてほしいわけじゃない。偶然発生するから惹かれるのであって…」とか考えてるうちに、落とした人は50mくらい進んでるんですよ。
折衷案として、写真を撮ってから、拾わずに「落としましたよ」と声をかける。
声かけた人からすれば「拾ってくれよ」って話しでしょうけど、俺の精一杯の優しさなんですよ。


-ピューリッツア賞を穫る報道カメラマンみたいな言葉ですね。ハゲワシに見つめられてる少女をどうするのか的な。

石:キャパ(※)の気持ちが分かる……。
いま生まれた片手袋を助けるのがいいのか、記録をして歴史に残すことがいいのか、その悩みは今でもあります。

(※)ロバート・キャパ:報道写真家。なかでも「崩れ落ちる兵士」が有名。




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■石井公二さん■
1980年、東京生まれ。片手袋研究家。
神戸ビエンナーレ2013での作品制作やタモリ倶楽部への出演などをとおして、片手袋の魅力を発信しつづけている。

【サイト】片手袋大全
【twitter】@rakuda2010