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2017年1月9日(祝)に別視点ツアー主催で「特殊町歩き 片手袋GO」をやった。
谷中七福神めぐりをしながら道に落ちてる手袋をさがす、という町歩きツアーだ。

ガイド役は石井公二さん。
以前インタビューをさせていただき
「どんなシチュエーションでも見つけてしまったら撮影しないと罪悪感がある。片手袋は、呪い」
という名言が飛びだした片手袋研究家だ。
 



2017年1月9日(祝)に別視点ツアー主催で「特殊町歩き 片手袋GO」をやった。
谷中七福神めぐりをしながら道に落ちてる手袋をさがす、という町歩きツアーだ。



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ガイド役はもちろん石井公二さん。
以前インタビューをさせていただき
「どんなシチュエーションでも見つけてしまったら撮影しないと罪悪感がある。片手袋は、呪い」
という名言が飛びだした片手袋研究家だ。
10年以上4000枚もの道に落ちてる手袋を撮影しつづけている。

(インタビュー:「片手袋は呪い」なぜ道路に手袋が落ちているのか。その道30年、片手袋研究家に聞いてきた




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「道に落ちてる手袋探すツアーなんて、1人もあつまらないかもですよ……」
と石井さんは言っていたが、フタをあけてみると告知2日で定員締め切り。
参加者11名で田端駅から上野駅の不忍池弁天堂まで歩いた。


手袋メーカーのかたもいらしたので「手袋が落ちてたら悲しいですか?」とたずねたところ「そんなことはありませんよ。落ちれば落ちれば売り上げがあがりますから」と納得の回答。




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スタート前に「片手袋分類図」を配り、手袋のタイプ別に見つけやすいポイントを教えてもらう。
この日みつかった片手袋も、この分類図にぴたぴたハマっていった。

大切なポイントを1つだけ説明しておくと
・放置型:落としたままの状態の片手袋
・介入型:落とした人以外の介入がくわわってる片手袋
という分類。
くわしくはインタビュー記事で解説してもらったけれど、そこだけ頭にいれといてくださいまし。




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▲ディスポーザル系手袋と自前の指空き手袋がぴったり合ってる

参加者のみなさんには手袋1つプレゼント。
軍手にゴム手、ディスポーザル系(使い捨ての薄いやつ)などお好みの手袋をえらんでもらう。
手袋をつけることで「どのタイミングで落としてしまうか」が身をもって体験できるというわけだ。






●七福神めぐり(というていの片手袋探し)スタート!

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1つめのお寺・東覚寺をめざしてスタート。
七福神めぐりをするのは「片手袋は見つけにいくものではない。なにかをしてるときにたまたま見つかってしまうもの」という石井さんの考えを反映させてのこと。




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ツアー直前まで暴風雨だったので、道ばたにダメになった傘が山ほど捨てられていた。
「う~ん、町がツルンとしてますね。ひっかかりがありません」と石井さん。
雨あがりに放置型が始末されてしまったのか、片手袋がある気配がしないそうだ。




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▲1つめの寺・東覚寺

なにぶん片手袋が見つかるかどうか確証のないツアー。
ツルンとした町に少々不安をかかえながら、1つめの寺に着き、お寺の解説をしようと立ち止まったとき…


なんと、わたしの足元に軍手が落ちていた。

「あっ!!!!!石井さん、ありました!!!!!」とおもわず叫ぶ。




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▲苦笑いである

なんてことはない、わたしが落とした軍手であった。

解説用の紙をだすさい右手の手袋をぬぎ、それを落としていた。
やらせのつもりはまったくなかったのだが、片手袋が生まれるメカニズムが完全にわかった。
もちろんこの片手袋はノーカウントだ。




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昨年、片手袋をみつけた場所でそのときの写真を見せてくれた。



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「こういう工事現場の片すみに軍手が落ちてる可能性が高い」とのこと。



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2つ目の寺へむかう途中、「あ、あった」と低くつぶやく石井さん。
われわれ参加者はだれも気付かなかったが、さすが4000枚の手袋を見つけてきた目。見つけ力がちがう。
室外機の横っちょにひっかけられていた。




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「ほら、ここにありましたよ」と旗をさされて、やっとその存在を把握。
「オ~~~~~~~ッ!!!」と歓声があがり、いちどう拍手。
手袋が落ちてて拍手があがるシチュエーションなんてこのさき立ち会う場面はないだろう。




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放置型の手袋をみつけて拾ってあげるさい、都市にはひっかけるところがあまりない。
そのため室外機まわりがつかわれる。室外機は介入型の要チェックポイントだ。 




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▲片手袋をみつけたらハンコ押してもらう

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本来の七福神めぐりはお寺ごとに御朱印をつけてもらうのだが、このツアーでは片手袋を見つけたらハンコを押してもらうシステムだ。





●順調に片手袋が見つかっていく


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2つ目の片手袋は、谷中の隠れ家的もんじゃ屋さん「大木屋」の軒先にあった。




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いっけん道に落ちたままの放置型に見えるが、じつは放置型か介入型か判断がむずかしいタイプとのこと。
歩道から縁石のうえにちょっとずらしてあげた可能性が高いそうだ。




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手袋が見つかるたびに、ファイリングされた過去の片手袋から類似したものを見せてくれる。
1つの手袋から見るべきポイントや分類が解きほぐされていく。




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▲谷中ぎんざの夕焼けだんだんをのぼったあたりに……

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▲片手袋が落ちていた

3つめの片手袋は谷中ぎんざの階段をのぼった、電柱のつけ根に落ちていた。


片手袋は論理で楽しむだけじゃない、物語でも楽しめる。
というわけで、この片手袋が生まれるにいたるストーリーをみんなで妄想した。
手袋メーカーのかたが値段や購買客層を見抜くことで、刑事の現場検証のようだった。

この手袋にかんしてはとくに入念な解説がくりひろげられ、20分ほど話しがひろがった。
はたから見ればなにをやっているのかまったくわからないシチュエーション。
ツアー名のもとになった「ポケモンGO」と同じ光景だ。
見えてる人には貴重なポケモンが浮かびあがっているが、見えない人にはなんにもない道。
おなじ場所にいながらにして、ツアー参加者だけが違うレイヤーに住んでいる。不思議な状況だ。





●ちょうど7個の片手袋がみつかった


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▲道に落ちていた4つ目

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▲カゴにはいってた5つ目

ツアー序盤こそつるんとした町なみに不安をおぼえていたが、1つ見つかれば芋づる式につぎつぎ見つかる。
谷根千あたりの人通りがおおいエリアということもあって、4つ目5つ目とあっけなく見つかる。




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▲5つ目の寺・天王寺

5つめの寺・天王寺につくころには、寺の数と片手袋の数がならんでいた。




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参拝をするため境内にはいると、参道の井戸のうえに片手袋がおかれていた。



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誕生の経緯がはっきりわかりやすい片手袋だ。




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最後のお寺へむかうとちゅう、発見したのが7個目の片手袋。




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ジバニャンがプリントされた子ども用の片手袋だ。
「子ども用の片手袋は親に怒られてるんじゃないかなあと切なくなる」と石井さん。
キャラクターから流行や時代の移りかわりが読みとれる一本だ。




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▲ラストの不忍池弁天堂に到着した

7つめの寺・不忍池弁天堂に到着して、片手袋GOも終了した。
見つかった片手袋もちょうど7個。
石井さんは個人的に4年連続「七福神めぐり&片手袋探し」をやってるそうだが、4回中3回見つけた個数が7個だという。
なにか不思議な力が生まれているのかもしれない。




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締めの挨拶のバックミュージックは「年下の男の子」。
2番に「私のこと好きかしらはっきりきかせて。片方なくした手袋」という歌詞があるそうだ。

年下の男の子が流れるなか、七福神めぐり&片手袋さがし感想ブログの一文を読みあげる。



2014年
適当に始めてしまった今回の企画ですけど、正直に言って凄く面白かったです。
七福神巡りに限らず、何かの目的でまち歩きをしながら片手袋も探す、というのは良い企画かも。
いつか片手袋愛好家がもっと増えたら、実現してみたいです。


2015年
この先、もっと片手袋探しがメジャーになってくれれば、いずれイベント化して大勢でやるのも楽しいと思うのですが…。
果たしてそんな日は来るのでしょうか?


2016年
P.S とは言え、この『七福神巡り&片手袋探し』。本当に結構面白いので、来年は参加者募ったりしたらやりたい人っていますかね?
 

 
そしてことし。そんな日がおとずれたというわけだ。




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「片手袋初級の卒業証書」が手渡され、ツアーは終了した。




 
ツアーの振り返りをしながら、駅へと帰っていたら「あ、ちょっと待ってください!」と小走りしてベンチのわきに落ちてる手袋を撮る石井さん。
「われわれは石井さんの長い長い片手袋人生の、ほんの3時間を共有したにすぎないんだ」と痛感した。
 



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■石井公二さん■
1980年、東京生まれ。片手袋研究家。
神戸ビエンナーレ2013での作品制作やタモリ倶楽部への出演などをとおして、片手袋の魅力を発信しつづけている。

【サイト】片手袋大全