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谷中銀座を抜けたあたりのアパートの一室。その入り口に「マキシマ研究所」とかかげられています。
マキシマってなに?
一体なにを研究しているのか訪ねてまいりました。




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人気散策エリアとしてにぎわう日暮里・谷中銀座をぬけたあたり、ひっそり壁に木の看板がとりつけられているます。
いわく「マキシマ研究所」。


マキシマとはなんなのか?


前を通るたびに「いったいなにを研究してるんだろ?」と気になっていたので、意を決して訪ねてみました。




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マキシマ研究所があるのは、なんてことはない昔ながらのアパートの一室。角部屋です。
マキシマとしるされているので間違いはないのでしょうが、一般的にイメージする研究所とはかけ離れた立地なので、インターホンを押す手にも力がはいります。



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「どうぞ見学してください」と優しくむかえてくれた研究所の巻島幸三さん。



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部屋を見わたすと四方八方に見慣れぬカラフルな物体が展示されています。

これがマキシマ……?





●完成までに15年以上かかった!まったく新しい装飾具マキシマ

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▲笑顔でむかえてくれた巻島京子さん、巻島幸三さん 

マキシマ研究所を運営しているのは巻島京子さん、巻島幸三さんのご夫婦。
お二方とも80代ですが、とてもそうは感じさせぬパワーの持ち主です。



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▲帽子のようにかぶるタイプのマキシマクラウン

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▲ウィッグのようにポイントで髪につけるタイプ

「マキシマはヘアースタイルの延長線。帽子のように簡単にかぶれて冠のように華やか。だからマキシマクラウンって名前です。洋服にも和装にも合うようにしてます」と巻島京子さん。
販売もしているし、ブライダルやファッションショーへの貸しだしもしています。
「昔アメリカの新聞に貸したら、そのまま借り逃げされちゃって。かわりに日本で売ってないクリームをもらいました」 

マキシマを作りはじめたのは50年以上まえ。
それまでの帽子づくりとはまったく違う工程なので「道具も素材もないケモノ道。糸から作ります」とのこと。生糸70本をまとめて1本の糸にして造形する。 
成形剤も作ったし、染めも自分たちでやる。すべてオリジナルなのです。

「人から教われるものは、もうすでにあるということ。 どこにもないものを作るのは大変」
基本ができるまでに15~6年かかったとか。
材料も小売りされてないので、卸売りで接着剤や糸を買っているそう。「大量の素材が保管できて、歩いて博物館行ける」ことからここを選んだそうです。 



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1つ20~30万円するというマキシマクラウンをかぶらせてくれました。
360度、どの方向からでもおしゃれに見えるのがポイントとのこと。これ、かぶってたら存在感あるな。



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▲マキシマをつけた外国人モデル。パリのコレクションにもでてる。

マキシマはすべて1点もの。
カツラ会社や美容関係者によって何度か事業化も計画されたそうですが、技術者がついてこれずに断念したそうです。
「結局、事業化しないでそのぶんの資金は研究費につかっちゃうんですよ。でも、やりとげたからにはやろう、けもの道に入っちゃったけど次の世代の基になればね」 



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巻島京子さんは以前、中原淳一氏の雑誌「ひまわり」のお店で働いていました。
女性のファッションや生き方も研究し、アパレルメーカーや下着メーカーと仕事をしていた。マネキンにかぶせるかつらも作っていたそう。

「職人仕事ができないの。だから、まえに作ったものを直すのが苦手。勢いがなくなるからイヤなの。あたらしいものの創作ならできるんだけど。いまはもう美しいものをただつくるだけです」と京子さん。
 
 

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「はっきりいって男性のことはわかんないので、男性モノのマキシマは主人が作ってます。もう10個くらい作ってるよね?」と言うと、すぐさま「いや、100個は作ってるよ!」とご主人さんが笑っていました。 

謎だったマキシマはパワフルでキュートなご夫婦が作りだした、まったく新しい装飾具でした。
いいコンビだな~。