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大阪でお城といえば、一般的な観光客ならば大阪城に行くことでしょう。
が、我々、ゆるいとこ大好きっ子たちには、がぜん「小阪城」をオススメします!
おっちゃんが1人で作っちゃった系の城です。



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大阪でお城といえば、真っ先に名があがるのが大阪城でしょう。豊臣政権の本拠地で、まー立派な天守閣を持っている。超有名観光地とあって、平日休日を問わず、見物客でごった返してるんだな。

でもね、東大阪市の河内小阪駅にも立派なお城があるんです。おじさんが勝手に作っちゃった系のDIY城。
大阪城のにぎわいとは裏腹に、まったり空気が漂う地元商店街の路地にあるんだとか。
小阪駅の目の前から伸びる、まるっきり城下街っぽくない商店街を、左にそれると・・
 


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あった。

天守閣、あったわ。




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さっきの写真だと、遠くにそびえたつすごくデケえ城って印象なんだけど、ぜんぜんそんな事はない。
撮影位置から30秒歩いた、イソノ理容で天を見上げれば・・・



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すぐそこに天守閣があるからね。



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▲城主の磯野さん

あらかじめ見学したいむね連絡してたので、城主の磯野さんが快く出迎えてくれた。
理容室として営業してるんだけど、お客さんがいないときなら、城主みずから城内を解説してくれる。



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「じゃあ城内にあがってあがって」と促され、裏門にまわる。
サイトの取材で来たことを伝えると、「あの位置から全体像撮るといいよ」と撮影ポイントまで指示してくれた。城主であるとともに、演出家でもあるのだ。玄関から顔をのぞかせ「ふふ、撮ってる撮ってる」と満面の笑みだ。



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城の建築は40年前からはじめたそう。
自宅にいらない物が溜まってきたから、物置が欲しいなあと思って、築城しはじめたんだとか。
そう、あくまで物置としての、城なのだ。
基本的に百円均一で買ったものや廃材しか使ってないから、城の総工費は5万円程度なんだって。



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たとえば、この城石。どう見ても石に見えるんだけど、コンクリと発泡スチロールを混ぜ合わせたもの。叩いてみると、たしかにコツンコツンと軽い音がするんだわ。





城内を解説してもらおう!

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まず通されたのが、理容室の間。
いや、理容室の間というか、現役の理容室。



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安土桃山時代のものとはいかないけれど、エアコンも発売当時の超初期型だ。



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戸棚に描かれた梅の絵。
一見こて絵みたいなんだけど、ベニアのうえに金紙を張り、プラスチックを溶かして描いたものなんだって。アイデアだね~。



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磯野城主の解説は熱がこもっていて、基本的には終始笑顔だ。
内部構造をこんなにも詳しく教え解いてくれる城主、戦国時代ならば一夜で寝首を掻かれるだろう。



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順番待ちの椅子の背後には、庭が描かれている。これも城主の手書き。



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「カットしてる時に退屈しないよう、鏡に映る位置に描いたの」とのこと。
もちろんこの説明をしてるときも城主はホクホクの笑顔だ。




さらに深部に潜入だ!

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「んじゃあ、さらに奥も見てみよっか!」と理容室の端っこにある扉を開けると、いかにも侍が評議をしてそうな和室が現れた。
ふすまに描かれた鶴や松も、もちろん城主の手描き。
独学にもかかわらず、妙に達者なもんだから「どうしてこんな上手に描けるんですか??」と尋ねたら
「空は青いとか、月は丸いとか、そういう風に頭で解釈しないで、見たまんま、そのまんまに手を動かせばいいんだよ」とたいへん含蓄あるお言葉をいただいた。磯野城主、ひょっとしてブルース・リーの生まれ変わりでは。

事前予約すれば、1人700円でお茶会することも可。奥さんがお茶をたしなんでるので、茶と茶菓子を用意してくれるそうだ。裃羽織って、参上したい。



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欄間は、紙粘土で造形して、色を塗ったんだって。



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照明にも、しっかり花鳥が描かれてる。



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ふすまの装飾は、廃材の鉄板を叩いて作ったもの。



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松のふすまを開けると・・・



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ドドーーーンと奥座敷が登場。
遠近法により、やけに広がりが生まれている。



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けいけい亭と名付けれらた庭も、遠近法で広く見えるようになってるとか。



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「けいけい亭」の名が刻まれてるのは木じゃなくって、段ボールだかんね。あれだけあちこちにベニア使ってたけど、木を使うべきとこは、あえて木を使わないんだ。画鋲でとめてる。



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「つい最近完成した、会談部屋はこっちだよ」
と、大人1人抜けるのがやっとの、狭いドアをくぐってみると・・



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▲会談部屋

完成したばかりの会談部屋が現れる。
もともとここは磯野理容の敷地じゃなくって、廃屋が建ってたんだって。それを土地ごと持ち主から買収。1年間で補強と増築をおこない、ここまでキレイに仕上げたのだ。
もうね、たぶん、髪の毛より木を切ってる時間のが長いよね。やってることが理容師じゃなくて、大工そのものだもん。



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このお部屋、寝室としても利用してる。



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枕元には刀とラジオが置かれていた。
城主たるもの、いつ命を狙われるか分からない。刀と情報、2つの武器で身を守っているのです。
 






「小阪城」の情報
オススメ度:★★★★☆
アクセス:近鉄奈良線「河内小阪駅」から徒歩5分
住所:東大阪市下小阪1-12-29
電話番号:06-6722-8317
営業時間:‐(理容室が営業してる時間)
定休日:‐
予算:‐
関連サイト:asahi.com