
台湾の「南天宮十八地獄」は、みんな大好き地獄のテーマパークだ。
設備はけっこう古くて手作り感溢れまくってる地獄なんだけど、電動でギコギコ動くし、鬼の表情は豊かだし、妙に熱量が高いよ。

▲南天宮十八層地獄へと続く坂
わたしは地獄が好きだ。
眺めのキレイな景勝地でも、噂のうまい店でもなく、あえてこういうサイトに載っているようなニッチなところにばかり行く人間は、たいてい地獄が好きであり、ご多分に漏れず私も地獄に目がない。本能的に死後の予習を兼ねているのかもしれない。
富山のまんだら遊苑や静岡の伊豆極楽苑や石川のハニベ岩窟院など日本の地獄を見てまわったので、お次は海外の地獄に行こうじゃないか。
というわけで、やってきたのは「南天宮十八地獄」。
台湾中部の街・台中よりも、さらに南にくだった彰化駅から徒歩15分ほどの場所にある。日本では等活地獄、焦熱地獄など地獄を8つに分けるが、中国では十八層地獄に分けるのがポピュラーみたいだ。
貝殻で作った最高のお寺「鹿港貝殻廟」なんかも、タクシーで10分かそこらで行ける距離だ。

門をくぐると、地獄とは縁遠い笑顔を浮かべた選挙ポスターが。場所が場所だけに、そのすがすがしい笑みの裏を読んでしまう。

南天宮の外観はものすごく立派なので「もしかしたら上品な地獄かも・・」なんて思ったが、いい意味で裏切られた。コミカルだけどスプラッターな熱量の高い地獄だったからだ。

中に入るとご挨拶とばかりに、地獄のディスプレイが飾られ、鬼どもが好き放題やっていた。

出っ歯の赤鬼が槍を投げる。

鬼の後ろで怒号を発してる。「肘を固定して、遠心力で投げろ!」みたいなアドバイスをするコーチであろうか。後ろの女のビックリ顔もなかなかいい。

鬼のオブジェを食い入るように見ていたら、受付のおばちゃんが「ヒッヒッヒ!!」と不敵な笑い声を発し、手招きしてきた。
入場料50台湾ドル(200円ぐらい)を払うと「よく来たな、小僧!ここは最高の地獄だよ!ヒーッッヒッヒ!!」的な、餌食がかかって心底嬉しいってな声と表情で2階へとうながす。週末だってのに客がまるっきりいなかったので、暇だったのかもしれない。
●「南天宮十八層地獄」は熱量の高い手作り地獄だった!

2階にあがると薄暗いロビーがあって、誰も座ることなどないであろうソファーが2脚置かれていた。

地獄の入口。すごく手作り感が溢れていて、期待が出来る。

入り口をくぐった先にある階段。
いかにも何か起こりそうなこんもり具合だが、案の定、真ん中の膨らみに足をかけるとガタンと床が動く。その動き方の激しさたるや予想をはるかに上回るもので、思いっきり「うおおおおーーーっ!」と叫んでしまった。絶対に受付のおばちゃん、ほくそ笑んでる。

はてさて肝心の地獄なんだけど、これが期待通り、いいんだな。
電気仕掛けでギコギコ動いて、赤だの緑だのライトアップによる演出もされている。老朽化が進んでて、ところどころ動かないしガタがきてる場所も多いんだけど、そんなの気にならないぐらい妙に熱量が高いんだな。表情もしっかり作りこんでるし、この作り手けっこう地獄が好きだと見える。

ヘビに食われる地獄だったり

熱した鉄棒に縛りつけられる地獄だったり

鍋に頭を漬けられる地獄だったりバリエーションは豊富だ。
逆さに持たれてんのになんかニヤけてるんだよな、この人。

↑赤い帽子の人みたく、鬼が処罰する後ろで普通の人間がおだやかに笑ってたりするんだけど、なんなんだろ。日本の地獄では見かけない光景だ。

ベロが異常に長い鬼がいたり

棺型の車に乗ってる奴もいる。

この車、エンブレムが自分の顔だ。最高にイケてる。

わりとエグいことされてんのに、やられる方がルーティンっぽい退屈顔なんだよなあ。鬼サイドはこんな必死の表情で仕事してんのに。

女の人がお茶を注いでるんだけど、お坊さんは手にコップを持ってない。

いや、なんつう顔で注いでんだよ。
あえてコップを持たせないという地獄なのか、それとも、途中でコップが無くなってしまったのか分からない。
●地獄のあとは「お化け屋敷ゾーン」だ!

▲魔界怪譚の入り口
地獄を20分ほどで見終えたら、お次は「魔界怪譚エリア」だ。真っ暗の道を歩かされる、お化け屋敷っぽいエリアである。

首がびよーんと伸びて、顔が光る。

井戸から出てくる貞子的な奴もいる。

締めくくりはホウキを持って家から飛び出してくるおばさん。
「地獄よりお化けより嫁が一番怖いよね」ってなオチだろうか。


ゴミ捨て場には、笑顔の青年が捨てられていた。
【南天宮十八層地獄への行き方】
1:台湾鉄道「彰化駅」へ行く
2:駅から1kmちょい歩けば到着する
▲だいたい15分ぐらいで着くよ
■「南天宮」の情報■
オススメ度:★★★★☆
アクセス:台湾鉄道「彰化駅」から徒歩15分
住所:台湾彰化縣彰化市公園路一段187巷12号
営業時間:
定休日:
予算:入場料50台湾ドル
関連サイト:4travel