シャッター、送水口、ゴムホースなどなど……。
庭先にあるものを観察しつづける8名によるグループ展「庭先PTDX」が開催される。
期間は2017年8月25日~30日。場所は新宿眼科画廊。
別視点ツアーでガイドをしていただいた方々がたくさん参加される展覧会
「庭先PT DX」
が今月8月25日(金)~30日(水)新宿眼科画廊で開催されるよ!
ある者は植木鉢、ある者はゴムホース、そしてまたある者はシャッター……。
庭先にあるものを観察しつづける8名によるグループ展。
別視点ツアーでガイドをしていただいたのが以下の4名
・木村りべかさん(対象物:植木鉢)
【レポート】「下町・平井の植木鉢をひたすら鑑賞するツアー」をやりました!
・中島由佳さん(ゴムホース)
【インタビュー】写真家・中島由佳は、なぜホースとフグを撮り続けるのか?
・あさみんさん(公園遊具)
「圧倒的個性!コンクリート動物に会いにいくツアー」をやりました
・村田彩子さん(路上園芸)
(異色の路上観察トリオ「庭先PT」の研究発表トークライブをやりました!)
くわしくはリンクしたイベントレポに書いてるんだけど、どのツアーでも「なるほどそういう見方があったか!」という膝を打つ視点を与えてくれた。
さらに庭先PTDXでは大久保茉莉さん(シャッター)、加賀谷奏子さん(鉄塔)、木村絵里子さん(送水口)、藤田泰実さん(落ちてる物)が加わるとのことで、路上観察好きとしてはたまらぬラインナップだ。
【庭先PTDXの詳細】
◎日時
2017年8月25日(金)~30日(水)
◎時間
12:00~20:00(最終日~17:00) ※木曜日休廊
◎展示作家
あさみん、大久保茉莉、加賀谷奏子、木村絵里子、木村りべか、中島由佳、藤田泰実、村田あやこ
◎概要
庭先の面白さを視覚的に楽しんでもらうことを目的に活動する路上観察系アートユニット・庭先PTと愉快な仲間たちがグループ展を開催。展示作家8名それぞれの対象物への視点をお楽しみください。
庭先の面白さを視覚的に楽しんでもらうことを目的に活動する路上観察系アートユニット・庭先PTと愉快な仲間たちがグループ展を開催。展示作家8名それぞれの対象物への視点をお楽しみください。
●庭先PTDXの主催、木村りべかさんに展示のことを聞いてみた
――今回の8名はどういう基準で選ばれたのでしょうか
「そういう視点があったんだ!」ってドキってした人を集めました。
美術学校出てる人もいますけど、普通に会社員をやってて、展示が目的ってわけでもなく淡々とやってる人がほとんどです。日常のなかで撮りためて、淡々とやり続けてるのは、なんというか衝動というか、凄みがあって面白いなと感じています。
展示する8名とは少なくとも一度はリアルにお会いしてるけど「なんでそれをやってるのか」の詳しいところは知りません。私はそれが気になるし、そういう人のことが知りたくて声をかけました。
展示をするって口実があれば、興味ある人たちの話しを聞けますから。
――展示を通して、人も知りたいというわけですね
たとえば鉄塔の加賀谷さんはイラストレーターなんです。
普段柔らかいイラストを描いてるイラストレーターが、路上観察の展示をするとどうなるのかなって興味があります。
今回は、鉄塔の真下から撮った写真をプロジェクションしますよ。
――展示作家がすべて女性なのはなぜでしょう?路上観察は男性プレイヤーもおおいと思いますが
バキッと分けると、男性は論理的に分類をして、女性は柔らかい感性で観察するのが得意なイメージです。
植木鉢でいえば、メーカーがどことか何年に作られたものだとか、、置いてある地域にはこういう背景があって…とかそういう部分を突き詰めていくのが男性的かなとおもうんですけど、私はどちらかといえば感覚を大事にしたいほうです。
たとえば、ゴムホースを観察している中島さんは街でみつけたものに自己投影したり、妄想を混ぜて路上観察を楽しんでいるタイプで、製品の年代やメーカーはあまり気にしないタイプです。
シャッターの大久保さんは、シャッターは同じメーカー製が多いけど、その周りの風景がいいよねって言ってます。
落とし物の藤田さんは落とし物の背景を考えるのが好き。「なんで落としたのか」とか「どんな人が持ってたのか」とかストーリーを考えるのが好き。
言葉やデータであらわせないものが好きなので、今回はすべて女性にしてみました。
▲木村さんの植木鉢の分類図
―― とはいえ、木村さんは植木鉢の分類図を作ったり、けっこうロジカルですよね
トークライブとかでは分類してたほうが説明しやすいので。
別視点ツアーでは鉢やヒモを切り口に説明しますけど、1人で歩いてると「なんかいいな」で撮ってます。
「説明してもわかんないけど、なんかいい」って植木鉢もぜんぜんあって、そういうのを今回出したいですね。
「すごいでしょ、技いっぱいでしょ!」という奴より絵づらの良さ。私の好み。展示については全部分かってもらえなくてもいいや、自分が「すげえいいっしょ!」ってのを出していきたいですね。
――木村さんは植木鉢をとおして人間を観察してるイメージなんですが
以前までは「対象に干渉しない」ってポリシーでやってきたんですけど、最近はツアーだったりで大勢で見て歩くことが多くなって、どうしても話しかけられるんですね。
「植木鉢が好きで見てるんですよ」って説明して、飼い主の人とやりとりしてくなかで「私なんかが話しかけても、干渉しても、この人たちは揺るがないだろうな」って気づきました。
そうしたらがぜん飼い主たちに興味が湧いてきて、積極的に話しかけるようになりました。
――対象に干渉するかいなかはひとつの分かれ目ですね
ついさっきも川崎でどうしても気になる植木鉢があって。
集合住宅のようだったんですが、誰もいらっしゃらなかったので帰ってくるまで1時間粘りました。でも誰も来なかったですね。
新聞配達の人に「どんな人が住んでるんですか?」って聞いたら、住んでるのは一人暮らしのおばあちゃんみたいです。今度は会ってみたい。
また別の植木鉢のあるお宅では、玄関先で猫を触ってるおばさんがいて。
「猫かわいいですね」って話しかけて、庭のことを聞きました。
「毎年、芝桜を植えてるんだけど今年は旅行行ったり外出が増えるから植えなかったの」って。
すごく優しんですよ、植物に対して。 コメリで買ってきたチューリップの造花を近所にタダで配ったり、人にも優しい。
――その優しさが植木鉢にもあらわれるわけですね
分からないほうがおもしろいこともありますけど、最近いままでのやり方に飽きてきて、住人の方に聞いてみようかなの周期に入ってます。
めちゃくちゃ増える子宝草を小さなカップにいれて、いつも持ち歩いてるんです。話しかけて「この人なら育ててくれそうだな」って優しい人に托卵みたいな感じで渡してます。
そこの家でめちゃくちゃ育ってたら面白いかなって。
――植木鉢と飼い主、展示と作家。木村さんの興味の持ち方は似ているような気がします
あと、最近 気付いた事なんですが、何か深入りしてる趣味がある人というのは、(その趣味に関する)色んな事を分類化したり 細分化する傾向がありますよね。
僕もそういう傾向があります。