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福島県いわき市「工房 木楽遊夢(もくらくゆうむ)」の大関吉治さん。
資料を参考にするのは、そこにない表現を探すため。唯一無二のオリジナルこけしを生み出すインディーズこけし作家だ。



【筆者】

斎藤ようへい twitter/instagram

 576NPhx9_400x400別視点副代表。写真狂のデザイナー



道の駅には無名だが偉大なアーティストが隠れている


道の駅には必ず寄ることにしている。
単純にその土地の物産を見たりするのが好きなのだが、真の目的は隠れた“アーティスト”を発見すること。

隠れたアーティストがいるのは、手作り工芸コーナー。
その地域のおばさんやおじさんが手作りしたキャラクター雑貨などが売られているコーナーだ。
道の駅に寄るたびに、すごい作品があることを期待してこのコーナーを見回る。正直、当たり外れのあるコーナーだが、まだ見ぬアーティストは必ずいる!という思いでめげずに見回っている。

福島県石川郡平田村にある「道の駅ひらた」にアーティストはいた。
手作りコーナーの片隅に文字通り隠れていたが、その輝きは全く隠れていなかった。

それがこれだ。




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ジャジャーン!!!
「男の五カ条こけし」でっ〜〜〜〜す!!!


こけしに男の五カ条が彫られてるのだ!!

一、芯を持つ
一、愛情深く
一、度胸がよく
一、夢を持つ
一、約束を守る


このこけしを前にすると、「どうだ!!お前は男といえるのか!?」と、金◯マを握られている気分になってくる。こんなこけし見たことない!


福島県にはギョロ目が特徴的な「中ノ沢こけし」や「土湯こけし」があることは知っていたが、こんなに攻めたインディーズこけしもあったとは!!

タグには「製造者:工房木楽遊夢」とある。連絡をとろうと思い、すぐにネット調べたが情報はまったくといっていいいほどない。いてもたってもいられず、道の駅のスタッフさんにこのこけしの素晴らしさを語り連絡先を教えてもらった。




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作者は「工房 木楽遊夢(もくらくゆうむ)」の大関吉治さん。
さっそく電話すると取材を快諾してくれた!ヨッシャ〜〜〜!!うれし〜〜!!



福島県猪苗代町1ヶ月住みます会社とは?

猪苗代町の地域おこし協力隊からの依頼を受け、別視点が1ヶ月間会社ごと移住!
猪苗代町を拠点に福島県全域の新たな観光地を発掘する企画だ!
期間:2017年9月12日から10月12日


【登場人物】

matsuzawa 別視点代表/国内外巡った珍スポ1000ヶ所超え

saito 別視点副代表/いい写真のためなら手段を選ばない





『男の五カ条こけし』で男道を見直せ


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いわき駅から車で15分ほど、畑の一画に「工房 木楽遊夢」はあった。




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▲工房内は個性派こけしだらけ!



ooseki

お〜、よく来たね。
あんたらが男の五カ条こけし買ったのかい?



saito

こんにちは!
はい、道の駅で見つけて即買いしました!




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▲こけしの裏に「一、度胸がよく」などの男の五カ条が掘られている。


ooseki

いいの買ったな〜。これにはおもしれえエピソードがあるんだよ。

自信作のこけしが作れるといろんな人にあげてたわけよ。
この五カ条こけしもそう、自信作だったから人にあげたんだよな〜。誰かは忘れちゃったけど。
で、しばらく経って、たまたまリサイクルショップ行ったらあったのね、この五カ条が。



saito

えーーーー!!!



ooseki

はじめは気づかなかったのよ。ええなあ、ええこけしが売ってんな〜と思ったの。
で、よく見たら俺のでねえか!って(笑)

そのコーナーには他にいくつも普通のこけしがあったんだけど、それらは2~300円ね。でもこの五カ条こけしは3500円。
店長に話聞いたら「いやあ、これはいいもんだから100円とかじゃ売りたくねえ」って。見る目のある店長だったな。



matsuzawa

店長、目利きですね!
やっぱり普通じゃないオーラが出てたんでしょうね。



ooseki

でさ、それを3500円で買い取って、自信作だったから道の駅にそのまんまの値段、3500円で置いてたのよ。
それをあなたが買ったわけだ。



saito

買ってよかった!道の駅でも男の五カ条こけしは光り輝いてましたよ。



matsuzawa

この彫ってある言葉、男の五カ条は大関さんが考えたんですか。



ooseki

うんにゃ、今は暇だから月10冊以上本読むんだけど、いい言葉あったらノートに書いとくんだよね。
それをまあ、普通のこけしじゃ面白くないと思って、その言葉をこけしに彫るようになったの。
こういう形で自分の思ったことなんかを残すのもいいかなって。




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saito

大関さん自身、この男の五カ条ちゃんと守れてますか。



ooseki

そうだな〜、自分としては全部当てはまるんじゃないかと思ってるわな。
でも、今はもう男としていろんな意味でたたないからなぁ(笑)
定年退職すると、もう母ちゃんに飼われてるようなもんだよ!犬と同じ!






傑作ができたら縁ある人にゆずる


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saito

いつからこけしを作られているんですか。



ooseki

こけし作りをはじめたのは30年くらい前、ここ小川町に越してきたのがきっかけだね。その時はこけしだけじゃなくて石に絵を描いたりもしてたよ。
いままでに200本くらいこけしを作ってきたけど、傑作ができたな〜と思ったら、通ってた歯医者さんとか飲食店とかに「もしよかったら飾ってください」って渡して歩いてたの。

本格的に作り始めたのは定年退職して時間ができてからだね。そのころから納得のいく傑作だけを道の駅で売り出し始めたんだよ。




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▲初期の作品「福禄寿」


matsuzawa

独学ですか。



ooseki

そうそうそう、独学。習えば一番いいんでしょうけどね。
でも、どんなこけしを作ろうかな〜ってアイデアを考えるのが好きだから、自由にやるのが自分に合ってたのかもね。



saito

小さい頃からモノを作るのが好きだったんですか。



ooseki

そりゃそうよ〜。小さいころからのこぎりと金槌もっていろいろ作ってたな。
ウコッケイ20羽飼ってたから鶏小屋なんかも自分で作ってたよ。



saito

工房「木楽遊夢」ってどういう意味なんですか



ooseki

もくらくゆうむって読むんだよ。「木を楽しんで夢で遊ぶ」っていう意味で母ちゃんが考えた。なかなかいい名前だろ〜。
あと、この工房も母ちゃんがパートで貯めたお金でプレゼントしてくれたんだよ。
どうだ、いい母ちゃんだろ〜(笑)




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▲工房内にはこけしだけでなくお面やストリップの思い出パネルなどの制作物が飾ってある。


matsuzawa

こけしは木を削るところから作ってるんですか。



ooseki

うんにゃ、40年来の電気屋さんの友達がいてさ、その人がろくろを持ってて、こけしの原型を作ってくれてたの。その原型に私が顔書いたり色付けしてるのね。
残念ながら昨年96歳で亡くなってしまったけどね。
形見分けで、ろくろ持ってきなって言われたけど、いまさらそんな機械もらっても扱えないし、遠慮したよ。



saito

このこけしはその電気屋さんとの共作だったんですね。



ooseki

やっぱり人生はなにごとも縁だな。
人間関係が長続きするかしないかは、波長が合うか合わないかだよ。
電気屋のおじいさんとは波長があったんだよな。

あんたたちが五カ条こけしを買って、ここにきた。
これもなにかの縁だよな。





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▲色付けされていないこけしの原型。右側数体のこけしは電気屋のおじいさん作のこけし。






資料を参考にするのは、そこにないこけしを作るため


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ooseki

作るにあたってこういう切り抜きをして勉強もしてんだよ。



saito

ダルマの資料ですね。系統なんかを参考に作っていくんですか。



ooseki

いやあ、逆だよ。これを参考にして、これにないやつを作るんだよ。
真似してはダメなんだよね。



matsuzawa

同じものを作らないための資料とは!




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ooseki

これはオリジナルの福禄寿だよ。なんて書いてあるかわかる?
「む心」、無心だよ。
こけし作る時は、大川栄策のCDを流しながら何にも考えずに無心でやってるんだよ。



matsuzawa

ちょっと奥の方の作品もみせていただいていいですか。



ooseki

いいよいいよ、自由に見て。持ってもらってもいいからね。




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matsuzawa

最高なのみつけた!!
これ、こけしかどうかもわからないくらいオリジナリティありますよ!
目がやべー!



ooseki

ああ、それいいでしょ。




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matsuzawa

かわい〜、よ〜し、よ〜し。いい子だね〜。


saito

出産後のおばちゃん…。Tシャツのこけしがお兄ちゃんみたいだし、画が強すぎる…。

あ、よくみたら目がビー玉!青い目をした二股こけし!!
これでもかってくらいオリジナルですね!!それにしてもいい顔してるな〜。



ooseki

ふふ、顔作るの好きなんだよ。
お腹の絵がちょっと剥げちゃってるけど、気に入ったならあげるよ。



matsuzawa

マジっすか!嬉し!代金は払います!



ooseki

いいんだよ、工房では売り買いしないって決めてるから。
子供も孫もこんなこけし残されたってしようがないだろうし、気に入った人に持ってってもらうのが、こけしにとっても幸せだろうからな。



saito

ありがとうございます!大事にします!




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▲大関さんのハンコも押してもらった。






「笑いがいちばん」笑わせるためにはなんでもやる


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matsuzawa

大関さんはお仕事なにをされていたんですか。



ooseki

おまわりさんやってたんだよ。県内あちこち回ったね〜。

今だから思うけど、できる人間って仕事ができるかできないかじゃないんだよね、人間関係が作れるかなんだよ。
笑いひとつ出ない職場はだめだから、どうやったら楽しい職場になるかずっと考えてたよ。
そのときから笑いは私の専売特許だったね。
こけしの裏にも「笑いがいちばん」って彫ってあるでしょ。やっぱり人間、笑いが一番なんだって思うんだよな〜。



saito

実際、僕も大関さんのこけしで笑顔になれたと思います。



ooseki

そうかい。そりゃよかった。
でもこけし作りだけでなくていろんなことやってんだよ。
例えば、ヒョットコ踊りとかね。
最近、大きくて細いからヒョットコに体系が合わないって言われて、オカメに転向したんだけどね(笑)
こないだも老人施設でオカメやってきたよ。派手な衣装を着てさ。それも人を笑わせたいからやったんだよね。




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ooseki

今の若い人はやらなくなったけど、私たちは宴会が主だからね。そこでも全力で笑わせるよ。
きみまろみたいな爆笑トークもやるんだよ。カラオケの前に5〜6分漫談して笑わしてからカラオケ大会を始めるの。



matsuzawa

どんな漫談なんですか。



ooseki

もう下ネタばっかりだから俺は!恥も外聞もないよ。どうせいつかは死ぬんだから(笑)



saito

まさかの下ネタ漫談。




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ooseki

夢あるんだよ。
小川町って食堂もなくなって、スナックのママさんが病気で倒れちゃってカラオケ歌うとこがなくなっちゃった。だからね、お茶飲んで話して、カラオケができる場所を作りたいんだよ。宝くじ当たって1億円くらいあればなあって。

俺も考えてみれば年寄りなんだよな。いま俺72だよ。
こないだ病院に行ったときに、え〜、もう72歳なのかっ!てビックリしたもん。
定年してから12年、震災から6年。ほんとにあっという間だ。
でも、小学校のときの先生は今95歳だけどピンピンしててさ、毎年挨拶してんのよ。どっちが長生きするか競争だっ〜!って。




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▲お土産に「まるごし刑事」の漫画をいただいた。さすが元警察官。


ooseki

今日来てくれたこともなにかの縁だし、また遊びにおいでな。
今日の話なんかすぐに忘れてくれていいからな〜。



matsuzawasaito

絶対忘れません!
どうもありがとうございました!



「工房 木楽遊夢」の情報

オススメ度:★★★★☆
場所:福島県石川郡平田村上蓬田横森後160(道の駅ひらた)
電話番号:0247-55-3501(道の駅ひらた)
営業時間:9:30~18:00(道の駅ひらた)
定休日:1月1日(道の駅ひらた)
予算:1500~6000円くらい



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「福島県猪苗代町一ヶ月住みます会社」やってるよ!
 

inawashiro

2017年9月12日~10月12日の1ヶ月間!
観光会社「別視点」は福島県猪苗代町に移住してるよ!!
猪苗代を起点にして、福島県を掘って掘って掘りまくり、記事を更新しまくる。

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