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千葉県東金市の「まやかし展覧会」は前代未聞のインスパイヤ系珍スポットだ。
伊豆にあるカオス空間「まぼろし博覧会」に衝撃を受けた館長さんが、オマージュを捧げた博物館。
母が住んでる家をどんどん浸食しているぞ。





伊豆に「まぼろし博覧会」という超ド級の珍スポットがある。
もともと植物園だった広大な施設を使い、他の何にも似ていない、摩訶不思議な空間を生み出している。リアル世界に現れたマッドコラージュ空間とでも言おうか。支離滅裂、夢のなかにでもいるような場所なのだ。

あのきゃりーぱみゅぱみゅもお気に入りで、見る人によっては「精神崩壊しそう」とまで言わしめる。2011年のオープン以来、展示物が増殖し続けていて目が離せない。
別視点ガイドでも数少ない5つ星スポットとして、何度も行ってはレポを書き、バスツアーでも尋ねている。



どんな場所なのか。
どれだけ言葉を重ねるよりも、写真で見ていただくほうが早いと思う。




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不気味なんだか賑やかなんだか、懐かしいんだか新しいんだか、笑っちゃうんだか怖いんだか、どんな感情でいればいいのかまるで分らない。
そんな空間だ。




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創造主にして館長はこの方、セーラちゃん。

ちなみに説明しておくと、男性だ。
ただでさえわけの分からない空間なのに館長までこの分からなさ。




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駐車場で踊りながら来客たちを出迎える。
ビキニ姿で真夏に5時間踊りつづけていたら、体脂肪率が6%にまで落ちたそうだ。


※レポ記事:今、伊豆高原がカオスなことになってる!15mの聖徳太子が出現したぞ!「まぼろし博覧会」
※セーラちゃんインタビュー記事:静岡の超カオス空間『まぼろし博覧会』! 館長のセーラちゃんに話を聞いてきた





まぼろし博覧会に衝撃を受けた男、珍スポを作る


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さて、ところ変わって千葉県東金市。九十九里浜からほど近い、田園風景が広がる町。
のどかなこの町に、珍スポットが爆誕したと聞く。
なんでもまぼろし博覧会に衝撃を受けた男性が、オマージュ施設を作ったそう。
2017年こどもの日オープンなので、出来立てホヤホヤだ。


野菜マシマシでニンニクたっぷりなラーメン二郎には、たくさんのインスパイヤ系ラーメン屋がある。
だけど、インスパイヤ系珍スポットというのは初めて聞く類型だ。
ましてやインスパイヤ元がまぼろし博覧会。そんなの絶対行く!興味しんしんで足を運んだ。




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ナビが導くのは静かな住宅街。
もう、この先の角を曲がればあるようだ。
本当にこんなところにあるのか。




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あった。


まぼろし博覧会をオマージュした「まやかし展覧会」だ!!




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▲館主じゃんぼちゃん。名前の由来は背がデカいから。


館主のじゃんぼちゃんが笑顔で迎えてくれた。
「普段は作業着なんですけど、今日はみなさんがいらっしゃるということで、気合いを入れて着ぐるみを着ました」
住宅街のど真ん中なので、いつも着ぐるみだと周りの住民の目が恥ずかしいそう。意外と常識人だ。




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しっかし、まやかし展覧会、凄いところにある。
だって、普通の家だもん。

それもそのはずで、ここ、じゃんぼちゃんのお母さんが住んでる家。
どんどん浸食していって、まやかし展覧会にしたんだって。
じゃんぼちゃん自身は別の場所に住んでいて、月~金の平日だけ通いで開けている。




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お母さん、よく許してくれますね、これ。



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母も自由人だから何も言いませんよ。
よくこんな細かいことやるね~って感心してます。



matsuzawa

ほんとにそんなウェルカムなんだろうか……。
営業が平日だけって変わってますよね。



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土日は雑貨販売のほうがあるので。
「土日開けてください!」って声があって、試しにやってみたけどぜんぜん来なかったし。休日は花火大会とか面白いことたくさんあるじゃないですか。
月10人くらいお客さんが来れば良いほうですね。



matsuzawa

そうですね、休日は花火大会がありますもんね。




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看板が掲げられた建物は、なんとじゃんぼちゃんの手作り。よく見ると屋根が薄い。
ネットで輸入雑貨を取り扱うのが本業なので、もともとは倉庫として使っていた。




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駐車場の隅っこにある受付。横には古着も取り扱っている。




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受付台は衣装ケースだった。




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入場料は200円。まだ完成度50%なのでお試し価格にしてるそうだ。安い。




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寒かったので古着を500円で購入した。




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▲名刺デザインもセーラちゃんに寄せてる


matsuzawa

名刺デザインまで、まぼろし博覧会セーラちゃんのに似てますね!



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そうです、名前も展示もまぼろし博覧会のパクリです。
こないだまぼろし博覧会のヘルプをしてる方々が来てくれて「さすがにセーラちゃん怒ってるんじゃないか?」と聞いたら「喜んでますよ」って言ってくれて、ホッとしましたね。
ご本人にもTwitterで影響受けたことを伝えたら「ありがとう」って返ってきました。



matsuzawa

本家の反応はやはり気にされてるんですね。
それにしてもオマージュ施設作るってすごい決断力ですよ。ましてや、こんな住宅街ですし。




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雑貨の仕事してるので、アメリカントーイとか集めるのが好きなんですよ。
ブリキのおもちゃ博物館をされてる北原さん(「なんでも鑑定団」に出てたダンディーなおじさん)とか、キレイな博物館ばっかり巡ってたんですけど「お金ないと出来ないよな……」って諦めてました。
でも、まぼろし博覧会に行って「これなら出来る!やるしかない!」って衝撃を受けたんです。



matsuzawa

あ~、そういう経緯だったんですか!
まぼろし博覧会に背中を押してもらったわけですね。



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帰ってすぐ作業はじめました。もう、やるしかないなって。
まずは倉庫の壁に血しぶきを塗ったり、お化け屋敷風にアレンジしました。




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じゃんぼちゃんとお話しをしてたら、家の中からニコニコとほほ笑みを浮かべたお母さんがやってきた。
「わざわざ遠いところからありがとうございます」と温かいコーヒーを注いでくれる。
お母さん、まじでこの状況を快く受け入れているようだ。すごい家族だぜ!


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今、お母さんがコタツでくつろぐ部屋を展示室にしようとたくらんでるんですよ。
でも「どうせ誰も来ないじゃん」って譲ってくれないので、来場者数さえ増えれば使わせてもらえると思います!



matsuzawa

どんどん浸食してる!!






前代未聞のインスパイヤ系珍スポ、いまだ進化中!


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では、館内に入ってみよう。




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館内は
・おもちゃゾーン
・昭和レトロゾーン
・ミステリーゾーン
の3部構成だ。

「コンビニぐらいの大きさのちっちゃな博物館」を自称されてるだけに展示スペースはそれほど大きくないが、壁に通路に天井に、物はぎっしり詰まってる。




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このTシャツとアメリカ国旗、意図的に並べてるのかとおもいきや偶然だそうだ。




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ペコちゃんコレクション。
お金に困った時期にだいぶ売っぱらってしまった。




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石膏で人形を作り始めている。
20体作って並べたいそうだ。




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しばらくして見たら、首がもげてた。




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一部、販売もしている。




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昭和レトロゾーンは中庭のような屋外にある。




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窓の向こうは、今狙っているお母さんのコタツ部屋だ。
「人がそれなりに来るようになれば説得できる」と言いながら、物欲しげに見つめていた。




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昭和レトロゾーンなのに、なぜかガネーシャが祀られていた。




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脇の通路に入れば、恐怖のミステリーゾーンだ。




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薄暗い通路に鳥のはく製や血まみれのお面が飾られている。




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はく製のタヌキがカマを握っていた。
このゾーンもまだ未完成。「吐き気を催すほど気持ち悪くしたい」んだとか。




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ミステリーゾーンの突き当りに猫ちゃんがいた。
じゃんぼちゃん、本業とは別にネコの保護活動もされてるそうだ。
奥のほうで家と繋がっている。




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100円でおやつを購入可能。




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手にのせてちびちびあげたら甘噛みしてくれて、う~~~猫~~~~~って気持ちで充たされた。


広大な敷地、膨大な物量を誇る本家「まぼろし博覧会」と比べたら、まやかしに見えるかもしれない。だが、普通の住宅街の普通の家でこれを実行してしまう、じゃんぼちゃんの熱力と行動力は測りしれない!
ここから前代未聞のインスパイヤ系珍スポがどのような進化を遂げるのか、お母さんはコタツスペースを死守できるのか、見届けていきたい!!




「まやかし展覧会」の情報

オススメ度:★★★★☆
アクセス:東金線「福俵駅」から徒歩10分
住所:千葉県東金市福俵485
営業時間:10:00~15:30(月~金)
定休日:土日祝/元旦
予算:入場料200円
関連サイト:まやかし展覧会サイト