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みはしのあんみつをこよなく愛するライターかとみさん。
あんみつを選ぶべきか、みつ豆を選ぶべきか……。気が狂うほど悩んだ結果、とんでもない”キメラ”を生み出してしまった。


(著者:かとみ





【著者】

かとみ
 (記事一覧 / twitter / サイト「おにノート」

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平日は秘書をしながらマジメな雰囲気を出しています。だいたい甘いもののことを考えています。




今更かもしれないが、みなさんは「あんみつ」と「みつ豆」の違いをご存じだろうか。
それぞれ構成する具材に違いがある。


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◎あんみつは、蜜、寒天、豆、あんこ、みかん、求肥。
◎みつ豆は、蜜、寒天、豆、杏、みかん、求肥。

お分かりだろうか。
あんみつにはあんこが、みつ豆には杏が入っている。



みはしの場合、これに加えてもう1つ大きな違いがあるのを、実はあまり知られていない。

みつ豆はあんみつより豆の量が2倍になる。


初めてこの事実を店員さんから知らされた時は耳を疑った。
豆が2倍…、この時代になんてバブリーな…。


私は絶句した。


そしてその瞬間から、私の中であんみつvsみつ豆決戦の幕が切って落とされたのだ。





欲するのは「あんみつ」か、それとも「みつ豆」か


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メニューを選ぶ際、あんみつとみつ豆、どちらのベースにするのか必ず決断を迫られる。

みはしといえば、基本はあんみつなのかもしれない。
しかしどうだろう。白玉やフルーツ、ソフトクリームなどのトッピングを考えていたら…?
味や食感のバランスを考慮した場合、みつ豆が最適なケースもあるだろう。

たった2通りの選択なのに、無限に広がる可能性を前にすると、どんどん深みにはまっていくじゃないか。
そこで私は、あんみつとみつ豆について、それぞれの魅力を考えてみることにした。





甘さを欲する脳へあんこを与えるべきなのか



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みはしのあんこ(写真はつぶあん)。

これまで何度も書いているが、何度でも書きたい。みはしの美味しいあんこのことを。
みずみずしくてジューシー。あんこをこんな風に表現することってあまりない。

それでいて、上品な甘さ。蜜と合わさるとしつこくならない程度に、だけど満足できる丁度良い塩梅の甘さに仕上がる。
疲れている時は、どうしても脳があんこの甘さを欲してしまう。





満腹感を欲する胃袋へ豆と杏を送り込むべきか


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こちらが赤えんどう豆。

あんこの小豆とはまた違うほっくりとした食感が楽しい。
量も2倍あり、よく噛むので満腹中枢が刺激される。

そしてほんのり効いた塩気もポイントだ。
この塩気と甘い蜜が出会ってしまったらどうなるかはお察しいただけるだろう。
そう、ノンストップで口へ運んでしまうのだ。

そういえばスイーツプロレスラーの真壁さんが、流行りのソルトブラウニーに対してこんなコメントをしていた。

「最近のパティシエって塩をかましてくるだろ?」

そんなしびれる真壁さんの言葉をお借りして言わせていただきたい。
みはしも塩をかましてきている。70年も前から。
いつの時代も塩気と甘みのコラボに、人々はメロメロにされている。





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塩気の豆も良いが、杏も忘れてはいけない。
みはしの干し杏はしっかり酸っぱくて、しっかり甘い。それが2枚入ると、たちまちみつ豆全体が引き締まるのだ。

白米の中心に乗った梅干しのような役割に近いかもしれない。
大量の豆を頬張る際に、杏は欠かせない尊い存在だ。
そんなわけで空腹の時は、2倍の豆と2枚の杏のコンビを遠慮なく胃袋に送り込みたくなる。


さて、答えは出ただろうか。あんみつ、みつ豆どちらを選ぶべきなのか。
考えに考え抜き、私の答えはもうとっくに出ていた。

「選べない」という答えだ。

以前、私のベストあんみつは「フルーツクリームみつ豆」と書いたが、それは暫定的に決めたもので、未だに心は揺らぎ続け、あんみつを注文する日も少なくない。

結局、あんこも豆も杏も全部食べたいのが本音なのだ。





苦悩の日々、そして誕生したあんみつのキメラ


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奇しくもあんみつとみつ豆は同じ価格だ。
いっそどちらかが安ければ迷いなく選べるかもしれない。

この日もあんこを取るか、豆と杏を取るか、頭の中では接戦が繰り広げられていた。
いっそ2杯とも注文してしまおうか。いや、胃袋の空きは1杯分のスペースしかない。


気が狂いそうだった。





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気を紛らわす為にトッピング欄を眺めた時のことだった。
落雷に打たれたかのように、そのひらめきは突然降りてきた。


みつ豆にあんこをトッピングしたら良いのでは…!





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クリームみつ豆、あんこトッピング。あんみつとみつ豆のキメラがテーブルに運ばれてきた。
正面から見ても分かるこのボリューム。堂々とした姿に思わずため息が漏れる。





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あんこと、たっぷりの豆、杏が同じ器に入っている。夢みたいだ。
分かりやすいよう写真で比較してみよう。





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こちらはクリームあんみつ。





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クリームみつ豆。





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クリームみつ豆、あんこトッピング。

色数が多く、みっちり詰まっていればいるほど良いとするのが、私のあんみつの美学である。
この器はまさに理想そのもので、不意に誕生した最高傑作にしばらく興奮が止まらなかった。

興奮ばかりをお伝えしても仕方がないので、みつ豆のあんこトッピングの優れている点を簡単に解説させて頂きたい。
あんこ、豆、杏を味わいたい場合、注文方法は以下の通り2パターンある。



■みつ豆 あんこトッピング
蜜、寒天、豆2倍、杏2枚、あんこ、みかん、求肥


■あんみつ 杏トッピング
蜜、寒天、豆、杏4枚、あんこ、みかん、求肥





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ポイントは豆である。
トッピングで追加できない豆をいかに多く器に盛り込むか。

初めに豆が2倍量のみつ豆をベースに選択し、諦めずにあんこをトッピングすること。
これが命運を分ける決断だったのだ。





終わりに

あんみつ or みつ豆という選択に長年苦しめられていた。
どちらかを選び、どちらかを諦めなければいけない。何度も涙を飲み、時には解決策を見い出せないまま、2杯とも注文し、おなかがいっぱいになりすぎて辛い思いもした。

全ては固定観念が邪魔をしていたのだ。答えは案外すぐ近くにあったのに、気が付けなかった。
これはまだまだ新しい発見に出会えるということだろう。

今年もみはしへたくさん足を運ぼうと思う。



【著者】

かとみ
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平日は秘書をしながらマジメな雰囲気を出しています。だいたい甘いもののことを考えています。