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みはしのあんみつをこよなく愛するライターかとみさん。
夢にまで見た「ふぐ刺しみたいに求肥がならんだあんみつ」を実現します。


(著者:かとみ




【著者】

かとみ
 (記事一覧 / twitter / サイト「おにノート」

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平日は秘書をしながらマジメな雰囲気を出しています。だいたい甘いもののことを考えています。




先日、自宅に大変なものが届いて、腰が抜けそうになった。


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「みはし あんみつ」と書かれた巨大な箱が届いたのだ。
配達員さんがいる手前、平静を装ったが、心はパニック状態である。

ひとまず落ち着こう。呼吸を整え、箱の前で正座をする。
慎重に箱の梱包に手をかけると…




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中から出てきたのは、ボトル入りの琥珀色の液体。




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粉をまとった見慣れたお豆。
恐る恐る、底の仕切りを外す。




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分かりきっていたが、みはしのあんみつが現われた。
正確にいうと、あんみつ2個、豆かん2個、みつ豆2個、計6個のカップが現われた。

少し泣きそうになった。
私は毎週末、遥々電車に乗って愛しのみはしへ通っている。
それが突然、何の予告も無しに、みはしのあんみつの方から我が家を訪ねてきたのだ。しかも6個いっぺんに!

幸福感が達しすぎて、人生ゴールしたのかと思った。




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自宅の薄暗い照明の下で、輝きを放つあんみつカップ。 これは夢か現実か。




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送ってくれた友人にさっそく感謝のメッセージを送った。びっくりマークの数は動揺しているせいなので、気にしないでほしい。
友人いわく、お礼の品としてあんみつを送ってくれたようだ。
大したこともしていないのに、大層なお品物を賜りまして大変恐縮な思いが止まらない。

本来ならこういう場合「わざわざお礼なんて良いのに! 逆に悪いよ!」と言うべきなのかもしれない。
でも「わざわざあんみつを送ってくれなくて良い」とは1ミクロンも思うはずもないので、嘘でも言えなかった。

私には、ただただ感謝を述べることしか出来ない。本当にありがとう。




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賞味期限が翌日という点で友人が心配してくれたが、この時点で豆かんを2つ食べながら返信していたので何の問題もなかった。
なので最後の文は「たくさん食べるよ!!!!」というより「たくさん食べているよ!!!!」が正しい。


たっぷり糖分を取ったせいか、この日はいつもより早く眠気に襲われた。

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ベッドからあんみつの空箱を眺めつつ、ウトウトし始める。
すると、ある文章が頭の中に浮かんできた。
私が以前書いた「あなたの初みはしを見せてくれないか」という記事の一部だった。




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「みはしの求肥は最高だけど、トッピングとして追加が出来ない。
いつかあの求肥を、フグのお刺身みたいにたくさん並べて食べるのが夢だ。」

という内容。


ここでハッと目が覚める。




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明日食べる予定のあんみつカップは4個。ひとカップにつき、求肥は2枚入っている。
そこから求肥を寄せ集めたら…全部で8枚!

まさに求肥あんみつを食べる絶好のチャンスじゃないか!




フグ刺しみたいな求肥あんみつを自分で作る



翌日、職場にあんみつ2個とみつ豆2個を持ち込むことにした。


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職場の社員は4人。偶然にもあんみつカップと同じ数だ。

心のジャイアンが囁く。
「このあんみつは全部わたしのもの」


これをそのまま冷蔵庫に入れては、差し入れと間違えて食べられてしまう可能性がある。それだけは避けなければならない。
保冷バッグにあんみつを入れたまま冷蔵庫へ押し込むことにした。
パンパンになった庫内を、職場の人たちが見逃してくれることを祈るばかりだ。


そしてお待ちかねのお昼休憩。
ダッシュで買い物を済ませ、職場の空き部屋にこもった。




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材料をテーブルに広げてみた。
4個のあんみつカップから求肥を摘出し、ひとつにまとめ、フグ刺しみたいな求肥あんみつを作り出す計画だ。

まるでこれから大がかりな手術でも始まるかのような緊張感が漂っている。




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買ってきたお皿も洗い、いよいよ作成開始。




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まずはあんみつカップの包装を破り、フタを外し、全てのカップを裸にしていく。
こんな横暴が許されるのだろうか、そんな思いが頭をよぎった。

いや、こういった一瞬の気の迷いが命取りになるのだ。
あんみつが4個も懸っている。必ず成功させなくては。
気を取り直し、カップの底に溜った寒天の水を抜いた。




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今回は、ハーゲンダッツの抹茶アイスをトッピングに使おうと思う。
本来はみはしの抹茶アイスを使用するべきだが、1時間のお昼休憩で調達するのは不可能だったので、ハーゲンダッツに急きょピンチヒッターをお願いした。
みはしのあんみつとうまく適合するか若干の不安はあるが、ここはハーゲンダッツの底力を信じたい。


そして各パーツをお皿に盛りつけていく。
まずは中央に寒天、豆。
続いて脇を固めるようにミカン、杏。
寒天の山を崩さないように注意しつつ、中央手前にあんこ。




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一番緊張したのは、やはり求肥だ。
何せほんの少しの弾みで傷つけてしまうセンシティブなボディ。
神経を削る作業に手の震えが止まらない。
苦労の末どうにか求肥を並べ終え、最後に抹茶アイスを添える。



そして、ついに完成……!




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フグ刺しみたいな求肥あんみつ




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フグ刺しみたいな求肥あんみつが本当に出来てしまった。




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本来なら、あんみつ1杯につき求肥は2枚。




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目の前のあんみつには求肥が8枚。
柔らかくて口の中でとろける、誰もが夢中になる、あの求肥が!

あまりに幸せすぎる光景に、気をしっかり持たないと失神しそうだった。




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まずはお刺身っぽく食べてみよう。
1枚の求肥をお箸でつまみ上げ、黒蜜につけてひと口。おいしい…。
まだ求肥は7枚もある。ほぼ無限と思って良い枚数だ。




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お皿全体に黒蜜を回しかけたら、あんみつが息を吹き返したように輝き出した。
懸念していたハーゲンダッツの抹茶もばっちり適合したようだ。高脂肪のアイスが甘いあんこに絡み、濃厚な旨みを生み出していた。




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何せ求肥はいくつもある。

「2枚しかない求肥は最後にとっておこう… 。」
と求肥を横目でチラチラ見ながら、スプーンを避けていた日々。

でも今はそんな我慢をしなくて良い。
私は求肥を連続で口へ放り込んだ。
今まで体験したことのない大量の求肥。口の中は求肥の餅つき大会だ。


幸せな時間はあっという間に食べ終わってしまった。




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求肥やあんこを抜かれた残りのカップが、恨めしそうにこちらを見ている。
安心してほしい。たとえ求肥が無くても、愛しい愛しいみはしのあんみつ。もちろん美味しく食べるつもりだ。




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4個すべて食べようとしたが、お昼休憩が終わる時間になってしまった。
残り1個はおやつに回し、最後の最後までみはしのあんみつを堪能した。とても満足だ。



おわりに


今回は、あんみつカップの良さについて身をもって体感できた。
いつでもみはしのあんみつが近くにある安心感、好きに盛り付けが出来る自由度の高さ。
こんな機会がなければ気づかなかっただろう。友人に感謝したい。




(おまけ)

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テイクアウト用のあんみつカップと、店内のあんみつの違いはご存知だろうか。
材料も容量も同じだが、唯一あんこに違いがある。
テイクアウト用のあんこは、日持ちをさせる目的で水分を飛ばしてあり、凝縮した甘さが特徴だ。
店内用のトロリとしたあんこと印象が違うので、食べ比べてみると面白い。


ありがとうございました!



【著者】

かとみ
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平日は秘書をしながらマジメな雰囲気を出しています。だいたい甘いもののことを考えています。