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セブンイレブンのご飯を食べ続け、淡々とレポートし続けるTwitterアカウントがある。「いとうセブン」だ。
ものすごい頻度で食べてるのに、その語り口は極めて平熱。決めゼリフは「実家がセブンイレブンだから。」
一体全体どんな人物が運営してるのかインタビューしてきた。





「いとうセブン」というTwitterアカウントがある。
セブンイレブンの商品をひたすら食べ続け、淡々とレビューしてるアカウントだ。




決めゼリフは「実家がセブンイレブンだから。」


終始、淡々とこの調子。
食べもの系アカウントの投稿は誇大な比喩をもちいたり、ビックリマークを連打したり、工夫された構図の写真を撮ったり、とにかく熱を伝えようとするものだが、いとうセブンは違う。
常に平熱。

なのに、黙々とすごい量のセブンイレブンを食べ続けている。






5つ星の最高評価もちょくちょく出るが




1つ星、2つ星も平気で出てくる。




肌着だってセブンイレブンだ。
「あったから着る」というフラットさが実家っぽい。


一体どんな人物が運営してるのか?
謎を解き明かすため、インタビューを敢行した。



朝昼晩、ずっとセブン飯を食べてきた


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▲セブンのポロシャツで登場した依藤 昂幸(いとう たかゆき)さん

いとうセブンを運営するのは依藤 昂幸(いとう たかゆき)さん。
本業はマセキ芸能社所属のお笑い芸人。サスペンダーズというコンビ名で活動している。

本当に実家がセブンイレブンで、父がオーナーをつとめる練馬のセブンイレブンで今なお週に数回働く。どおりでポロシャツ姿が堂に入ってるわけだ。
インタビューは勤務時間外だったが、自然な所作でゴミ箱からはみでた袋を押しこんでいた。



ーーいとうセブンが芸名ってわけじゃないんですね

依藤:いとうセブンにすれば面白いんでしょうけど、ファミマやローソンがスポンサーについてる番組に出れなくなりそうで。
他のコンビニをばっさり切れません……


ーーたしかにリスクでかい!いとうセブンはあだ名ですか?

依藤:小中学生のころ、うちのセブンは「いとうセブン」って呼ばれてたんです。依藤んちのセブンイレブンだから、いとうセブン。 
「5時にいとうセブン集合な!」みたいにみんな使ってました。


ーーああ、なんか中学っぽい、そのエピソード

依藤:学校がすぐ近くだったんで、レジ打ってる親と友だちがよく話してましたね。


ーー思春期に友だちが親と顔合わせるのってキツくなかったですか?

依藤:そうでもなかったですね。うちの親、わりと人気あったんで。友だち来ると「いつもお世話になってます」ってアメリカンドックあげてたんですよ。

ーー中学男子にアメリカンドック!そりゃ手なづけられちゃう!



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▲実家のセブンイレブン


ーー生まれたときから実家がセブンイレブンだったんですか?

依藤:小5からです。それまで父は会社勤めしてたので。
そのころから掃除したりゴミ捨てたりちょっと手伝ってましたけど、しっかりバイトでレジに入ったのは高校からですね。


ーー子どものころから、よくセブン飯食べてたんですか

依藤:そりゃもう。朝昼晩、食べるのはほとんど全部セブンイレブンのお弁当です。
セブンの弁当とかおにぎりがテーブルにいろいろ置かれるので、家族おのおの好きなの取って食べます。
みそ汁は母が作ってましたけど、サラダだってセブンの野菜をお皿に開けたやつです。


ーーえっ、すごい!セブンイレブンの英才教育!

依藤:母は赤飯おこわとか梅おにぎりが好きで、父は焼きそばとか麺類。私と兄はハンバーグ弁当とか米系をよく食べてました。



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▲今季のオススメはゴーヤチャンプル。しっかり苦くてウマい。


ーーお昼は学校ですよね?

依藤:高校は母がお弁当作ってくれてたんですけど、おかずにセブン商品が混ざってました。
正月明けが辛いんですよ。おせちがぎっしり詰まってて。すっごい嫌だったし、友だちに見られるのも恥ずかしい。


ーー実家がセブンイレブンじゃないと生まれない悩みだ……

依藤:それが普通の生活だったんで違和感なかったんですけど、芸人仲間に話したらすごい驚かれまして。そんなセブンばっかり食ってる奴いないよって。
それで半年ぐらい前からツイッター「セブンイレブンのレビューをする、実家がセブンイレブンだから。」ってブログを始めました。
まあ、どうせセブンは食べるし、がんばんなくていいならやってみるかって。



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▲撮影のちょっとした合間にも陳列を整える依藤さん。自然に体が動くようだ。


ーー芸人仲間からすれば、そんなおいしいネタ捨てられないですもんね!

依藤:ちょうどその頃、スキージャンプの高梨沙羅さんが「私の実家はセブンイレブンです」ってCMやってて「お前もCM、イケるよ!」なんてそそのかされました。
アメトークの影響で「なんとか芸人」にトライする人は多いけど、ほんとに好きじゃないと続かないんですよ。
「好きとかじゃないのに、ずっと食べ続けてるって逆にスゴいぞ」って言われました。


ーーだからレビューが妙に平熱だったのかあ。

依藤:舌に自信あるわけでもないし、食卓に食べたい弁当がない時もありますから。食べたくても食べたくなくても、セブン弁当を食べるしかないんです。


ーーなんか偉いお坊さんの話しみたいだ……


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「ちゃんとしてるの」と「ちゃんとしてないの」ハンバーグには2種類ある


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ーーセブンって基本すげえ美味いじゃないですか。美味さがぐっとレベルアップした時期ってありました?

依藤:あります、あります。ハンバーグで言うと、中学生ころだったかな。ホンジャマカの石ちゃんとコラボしたハンバーグ弁当が出て、そこからめちゃくちゃウマくなった!
「あれ?これ変わったぞ」って驚きました。


ーーその発見、誰かに伝えました?

依藤:いえいえ。「なんだこれ、うめー」って心の中に秘めて、黙って食ってました。
セブンのハンバーグって2種類あるみたいなんですよ。ちゃんとしてるのとちゃんとしてないの。


ーーちゃんとしてるの?

依藤:幕内弁当とかのハンバーグはフワフワなんですけど、ハンバーグ弁当のはちゃんとしててすっげえ美味い。粗挽き感あって肉って感じなんです!

1年ぐらい前だったかな、サンドイッチを切るカッターが変わったそうなんです。
父は「舌触りが変わってすごい美味しくなった」って言いますけど、自分はちょっと分からなかったですね。



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▲いとうセブンさんとオーナーの父


ーーいままで一番好きだったセブン飯はなんですか

依藤:子供の頃なんですけど、杏仁豆腐がすっごい好きでしたね。つるつるのと濃厚なの2種類売ってて、つるつるのがめっちゃくちゃ好きだった。


ーーあ~、それ知ってる!美味かった!

依藤:あとは揚げものとキャベツ、ごはんのパックをまとめて売ってた時期が一瞬あるんです。それについてたドレッシングがめちゃくちゃ美味しかった!
叙々苑ドレッシングみたいなごま油が効いたやつで。美味かったなあ。


ーーこれからもセブンイレブン食べ続けますか?

依藤:そうですね、実家がセブンイレブンだから。



【取材協力】
いとうセブンTwitter
●ブログ「セブンイレブンのレビューをする、実家がセブンイレブンだから。」