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みはしのあんみつをこよなく愛するライターかとみさん。
いよいよ、みはしであんみつ以外のメニューに初挑戦します。

(著者:かとみ
 

【著者】

かとみ
 (記事一覧 / twitter / サイト「おにノート」

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平日は秘書をしながらマジメな雰囲気を出しています。だいたい甘いもののことを考えています。


みはしのあんみつはパーフェクトだ。今までこれほど夢中になる食べ物はなかった。
これからもみはしのあんみつを食べていきたいし、より深くまでみはしのことを知りたいと思っている。

けれど、恋は盲目だ。
私は、あんみつに没頭するあまり落とし穴にはまってしまった。
 
あんみつ以外の甘味に手を付けないまま、今にいたっているのだ。
 

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何百回と見てきたメニューの後半部分【ほかにもいろいろ】。
もちろんその存在は知っていた。

「他にも色々あるんだな」と何度も確認したし、「一度食べてみたいな」という好奇心も常にあった。
それでも、あんみつを欲する気持ちにどうしても勝てなかった。
 


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いや、「外したくない」と表現するほうが正しいかもしれない。
すぐそばにあんみつという大当たりがあるのだから、わざわざ冒険して他の甘味を試す必要がない。
これは私の弱さである。

あんみつ愛ばかりを語り、ぜんざいや、くず餅のことは知りもしない。
ありがたいことに、こちらで記事を書くようになってからたまに聞かれることがある。
「みはしってあんみつ以外はどうなんですか?」と。
だんまりだ。何も言えない。だって食べたことがないから。

本当に心苦しい。そんなことで堂々とみはしを好きだと言えるのだろうか。
このままではダメだ。
食べよう。みはしの【そのほかにもいろいろ】を食べてみよう。
 
 

あんみつ以外を注文するという覚悟


とある平日、終業時間まであと10分。
「今日だ。今日こそは、ぜんざいをキメる」
直感的にそう思い、覚悟を決めた。

終業時間きっかりに誰よりも早く席を立ちあがり、駅までの道を駆け抜け、電車に飛び乗った。
「ぜんざい、ぜんざい、ぜんざい……」
頭の中で繰り返しぜんざいを唱える。

勢いのままにみはしに到着。
平日夜なのでスムーズに着席できた。
 
 

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ほっこり秋の彩りあんみつ……!?
メニューを開いて1秒で愕然としてしまった。 
 
 
 
04

そして頼んでしまった。
あれだけ今日はぜんざいと決めていたのに。
でも、たった一週間の超期間限定あんみつを見逃すことなんて出来るはずがなかった。



 
ぜんざいの覚悟などまるで無かったかのように、ハァハァしながらツイートまでしてしまった。
私の意志はなんて弱くてちっぽけなのだろうか。でも、みはしを愛する者として諦めるわけにはいかない。次こそは意志を貫いてぜんざいに取り組みたい。
 
 
一週間が経った。例のほっこり秋の彩りあんみつは終売したはずだ。
今なら目移りせずにぜんざいを注文できる。そう確信した私は急いでみはしへ駆け込んだ。
 


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あっ、栗だ。

うかうかしてたら栗の季節が訪れてしまった。
 
 

06
  
栗を見逃すなんて出来るわけがない。
9月末に終売(予定)のほうじ茶アイスと、栗を合わせることが出来る奇跡の2週間が始まってしまったのだ。
みはしの秋は恐ろしい。秋の奇跡は、私の意志を簡単に捻じ曲げる。
 
 
 
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後日、再チャレンジしたが、また栗あんみつのほうじ茶アイストッピングを頼んでしまった。
秋の奇跡よ、何度私の覚悟をへし折れば気が済むのか……!
 
 

ぜんざい、金時、おしるこを食べる

 
私もいい大人だ。いい加減きっちりやっていきたい。
あんみつをしっかり食べてから間を空けずに入店することで、ようやく目標物にありつくことが出来た。
まずは、気になるあんこもの三兄弟を攻めていきたい。ぜんざい、金時、おしるこだ。
 

 
◆白玉ぜんざい
 
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普通、初めはオーソドックスな「白玉ぜんざい(ソフトクリーム無し)」を注文するのがセオリーかもしれない。
でも、どうしてもソフトクリームという魅力的なトッピングを外せなかった。
このそびえ立つソフトクリームは私の煩悩で出来ている。


 
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見るからに滑らかなあんこの湖。きらめく水面がとても綺麗だ。
白玉が硬くならないよう配慮したソフトクリームの配置もにくい。
 


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食べてみて驚いた。
あんこ、とろっとろ。例えるならポタージュのようなとろみ!
白玉をディップする為の濃厚なあんこソースと言っていいかもしれない。

なんなんだ、このあんこは。あんみつのあんことは全くの別物だ。
 
 
 
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ぜんざい(左)とあんみつ(右)のあんこを並べてみた。

硬さの違いが一目瞭然だ。
あんみつのあんこはスプーンですくってもツンと角が立っている。一方、ぜんざいは緩めのぽってりとした質感だ。

店員さんに聞いたところ、製法や水分量などを調整して食感に変化を出しているらしい。
メニューの写真だけで、あんこの違いを見抜けなかったのが悔しい。
あんこ三兄弟とのファーストコンタクトは波乱の幕開けとなった。 
 
 
 
◆白玉金時 
 
もう恐れることは何もない。
続いて白玉金時を注文してみた。 
 
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またソフトクリーム乗せてしまった。どうしても手癖でトッピングしてしまう。
 
 
 
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ぜんざいと同じく、白玉が輪になって並んでいる。
問題は中心部だ。金時、いわゆる粒あんだが、どうも様子がおかしい。 
 
 
 
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金時(左)とあんみつの粒あん(右)を比べてみよう。
豆の大きさと形が全くの別物なのがお分かりだろうか。金時のほうは、ひと粒ひと粒の形がしっかり残っている。
店員さんによると、あんみつの粒あんには北海道産の小豆、金時には大納言という種類の豆を使用しているとのこと。

豆の種類を変えてきた……? そんなバカな……。 

そして、この大納言が予想を超えるマルチプレイヤーだった。
白玉のディップソース的な立ち位置でありながら、豆のほくほくとした食感も主張してくるのだ。
あなた一体なんなの、ソースなの? 具材なの?!
……みはしは一体どこまで私たちを翻弄するつもりなのだろうか。
 
 
  
◆冷やししるこ
 
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テーブルに運ばれてきた瞬間に悟った。
間違えた。おしるこにソフトクリームはだめだ。
 
 

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自立できずに沈みゆくソフトクリームが悲しい。
ソフトクリームは万能だという思い込みには今後気を付けていきたい。
 
 
 
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あんこは少し粘度があるものの、完全に液体だ。
あんみつのこしあんや、ぜんざいに比べてしっかり甘い。
なめらかで口当たりが良く、するすると喉を流れていくのに、最後には甘い物を摂取したという確かな実感が湧き上がる。
まるで運動した後のスポーツドリンクのようだ。おしるこはスポドリ、こう覚えておきたい。
  
 

あんこもの以外にもチャレンジ


◆くず餅
 
 「あの、くず餅にはソフトクリームってトッピングできないですよね……?」
 『できますよ!』
 
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と店員さんから快くOKを頂戴したので、ソフトクリームを乗せたくず餅がこちら。
本当にみはしはこちらの願望を全て叶えてくれる。
 
 

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「しっとり」「もちもち」「ぷりぷり」「むっちり」
くず餅を口に含むと、まるで走馬灯のようにこのような言葉が流れていった。
飲み込んだ後は「もっとずっと噛んでいたかった」と未練に似た思いが残った。

そんな奇跡の食感のくず餅が、黒蜜、きな粉、ソフトクリームという禁断の衣をまとってしまったら、かける言葉なんてもう見つからない。
ただ黙々と口に運びずっと食べ続けたい。そんな食べ物だった。
 
  
 
◆ところてん
 
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あんみつの寒天と同じく、ところてんも弾力をしっかりと感じ取れた。
地味な存在ながら、この弾力なしではみはしの良さは語れない。
みはしはどんな形でも私の期待に応えてくれる。


 
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タレは酢醤油から黒蜜に変更してみた。
みはし特有の淡いべっこう色の蜜が、優しくところてんを包み込む。きれいだ。もうほぼジュエリーだ。
 
 
 
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もしかして…? と思い、きな粉をトッピングしてみた。大成功だった。
シンプルながらみはしの良さが詰まった優しいおやつの爆誕である。
  
 
 
 ◆抹茶ジュース
 
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「ジュース」という語感に踊らされてはいけない。
これはめちゃくちゃ硬派な飲み物。抹茶ジュース先輩とお呼びしたい位だ。
 

 
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抹茶は濃いが、嫌な苦味や渋さはなく、後味さっぱりで飲みやすい。
抹茶の風味がしっかり効いているので、ガムシロップを1個入れても硬派な味わいのままだった。
ソフトクリ―ムを乗せた「抹茶フロート」もきっと間違いない美味しさだろう。
次回必ず注文してみたい。
 
 
 

はじめてあんみつ以外の甘味を食べてみて


ディップソースのように濃厚な「ぜんざい」、大納言の豆感をしっかり楽しめる「金時」、甘いあんこが体に染みわたる「おしるこ」。

あんこ三兄弟はそれぞれ個性的で魅力であふれていた。
また、だんまりしちゃう禁断の食感の「くず餅」、みはしの良さをシンプルに味わえる「ところてん」、飲みやすいのに硬派な「抹茶ジュース」など、どの甘味もあんみつに引けを取らないメニューばかりだった。

こんなに素晴らしい面々を今までスルーしていたなんて信じられない。もっと早く気付いていれば良かった。
今回、あんみつ以外を食べる覚悟を決めてよかったと思う。素晴らしい出会いだった。
本当にみはしの魅力は底なしだ。これまで以上にみはしのメニューの前で頭を抱えることになるだろう。


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かとみ
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