イラストレーター河澄かるめさんによる
2019年2月16・17日開催の「マニアフェスタvol.2」の出展、参加レポートです!
マニアの祭典を中と外から観察した、イベントレポートでございます。
(著者:イラストレーター 河澄かるめ)
はじめに
今年2月16日、17日にマニアフェスタvol.2が開催された。
マニアフェスタとは、何かの分野に特化した研究者や専門店が集結した即売所のような催し物。
第1回は去年7月、清澄白河にて行われ、約25組のマニア達が勢揃いした。
そして去年10月には新宿の東急ハンズとコラボするなど、どんどん勢いを増していき、
今回は、総勢約100組のマニア達が集結。
私は今回2日間とも出展者として参加したが、ひとつに特化したマニアとしてではなく、3つのブースの製作に関わった。つまり3股をかけたのである。本命は未だに決められない。
マニアフェスタ当日までの準備
〇廃墟ブースでの出展品製作〇
廃墟マニアのえぬびーさんから
「廃墟の写真だけを載せた本はたくさんあるから、写真の上に妖怪の絵を描いたオリジナリティのある本を作りたい」
とお声がけいただいた。
自分も廃墟好きとしてお役立ちしたいとおもい、製作に参加した。
作業は思ったよりも大変!
膨大な数の写真の選定から始まり、どんな妖怪を描くかを決め、イラストを作成、そして加工……という流れ。
数時間のミーティングを毎月重ね、約半年かけて完成した。
マニアフェスタ頒布品「百鬼墟行」仕上がりました。とてもいい感じ! pic.twitter.com/i4IVL7eGjO
— えぬびー (@enuenuenubi) 2019年2月4日
途方も無い作業を終え、はじめて本を手に取った時は飽きるまでずっと眺めていた。
〇遠足ブースで出す出展品の製作〇
日本の様々な珍スポットをバスで巡る終末オトナ遠足。
その参加者たちでそれぞれの好きが詰まった1冊の本を作ることになった。編集部は総勢11名。私はイラストを担当した。
出来上がりまでに何度もミーティングが行われた。
製作期間は2年。
その間に結婚する人や仕事を辞めた人がいたり、取材当時は未完だった珍スポットが完成したり……。とにかく長い歳月が過ぎ、遂に完成。
共通の趣味をもつ仲間たちと、一つのものを作り上げる時間はかけがえないものだった。
〇タイの地獄寺ブースで出す出展品の製作〇
『タイの地獄寺ツアー漫画』
タイの地獄寺マニアである地獄さんのツアーに行った時のレポート漫画。
もともと私は地獄好きでツアーに参加し、タイにこんなお寺があるのか!この感動をどうにか形に残したい!と思い、漫画を製作することに。
しかし他の仕事と並行して行っていたため、さまざまな納期が迫った1月後半にもっとも心の中で呟いた言葉は「マジムリ」だった。
それでも完成したものを初めてみたときは今までの疲れが吹っ飛んだ。
届いた段ボール箱を開けるときのドキドキ感や、手に取ったときの感動は本を作成した全ての出展者が味わう感覚だろう。
飽きるまでずっと眺めていた。
『タイの地獄寺マグネット』
グッズ製作は業者に頼む時間がなかったため、粘土でマグネットを作ることにした。
まず原型を作り型取りをし、粘土で量産。
乾燥後ひとつひとつ絵の具で着色する。
地道な作業が続き、「死ぬ…でも楽しい…死ぬ…でも楽しい…」
と呟きながら徹夜で作成した。
無事すべての準備が終了したと安堵したのも束の間、本番はこれからだ。
マニアフェスタ前日は高校の文化祭の前日のような気分で緊張と不安、高揚感で全く寝付けなかった。
はじまる前の様子
何とか起床し、会場に到着。
着くと、すでに着々と準備を始める出展者の方達が。
私は出展者側ではあったが、複数のブースでイラストのお手伝いをしていたり、グッズを委託で販売してもらっていたのでネームプレートには悩んだすえ、こう書いた。
・・・うん・・・抽象的だけど一番しっくり来る・・・
マニアフェスタ開幕!
設営タイムはあっという間に過ぎていき、ついにマニアフェスタ開催!
どれくらいの人が来るのか、直前までまったく検討がつかなかったが
もう
溢れんばかりの人・人・人!
2日間とも終始お客さんが絶えず、大盛況だった。
私は、自分のグッズや本の販売を他の人達に丸投げし、お客としても存分に楽しんだので
どんなマニアが集まったのかを一部ご紹介していく。
ブース紹介
まず最初に訪れたのはミニチュアフードマニアさん
ツイッターで作品を拝見し、すぐさま買いに向かった。
一つ一つのミニチュアがあまりにも精巧で、眺めているだけで楽しい。
ガラスで作ってみるマニアさん
色々な物や生物をガラスで表現している。
作る過程を是非見てみたい。
こちらはホタルイカですか?と聞いたら「プラナリアという生物です」との事。
確かにそう書いてある。大変申し訳ない。
めんたいこマニアさん
めんたいこが大好きなんだろうなぁ…!というのがもう名前から伝わってくる。
1番お好きなめんたいこ料理は白米にメンタイコを乗せたものとの事。シンプルイズベスト。
次の日明太子おにぎり食べた。
ゴムホースマニアさん。
ゴムホースに注目した事が人生で一度も無かったため、非常に興味深いブースだった。
ゴムホースマニアの中島さんは美人なお姉さん。美人を魅了するゴムホースとは一体何物だ。
紙を入れるとゴムホースのみ浮き上がるクリアファイルや、角度によってゴムホースの色が変わるカードなど秀逸なグッズがたくさんあった。
顔ハメ姿を後ろから撮るマニアさん
顔ハメにハマる後ろ姿の写真をセルフで撮っているOLさん。
後ろ姿だけで美人と分かるが、案の定前から見ても美人だった。
先ほどから美人が眩しい。
らんちゃん人形はファンの方からのプレゼント。人形がまっすぐにパネルにハマり、硬直している。人間の顔ハメではなかなか見られないシュールな光景。
また、男性の顔ハメマニアさんも別ブースで出展していた。
こちらの方は前から撮る方。
貸してくれた。
顔ハメのプロである塩谷さんと同じパネルにハマれて嬉しかった。同じように真顔でハメた。
片手袋マニアさん
都合があって本人不在だったのがとても残念だったが、一番辛いのはご本人だよな…
「みんなが楽しんでるツイートを見て、なぜ俺はその場にいないんだ!」と悔しがっていたから…
マニアフェスタ以来、片手袋に異様に反応するようになった。
歩行者天国マニアさん
本物のホコ天看板を持参されていた。重そう…!
公園遊具マニアさん
前回の東急ハンズとのコラボしたマニアフェスタで大好評だった、おにのセロハンテープ
が販売されていた。今回は新しくピンク色も入荷。
公園遊具マニアのあさみんさんがひとつひとつ手作りした作品であり、何とも言えない表情がかわいく、ずっと欲しいと思っていたので、購入したセロテープは光輝いて見えた。
オリジナルグッズ製作マニアさん
え、個人でこんなグッズ作れるの…!?と驚いてしまうような物がずらり。
レーザー加工機やUVプリントを使用し製作されているとの事。凄すぎる。
みはしのあんみつマニアさん
かとみさんのみはしのあんみつラブっぷりが見て取れる。
猛烈にあんみつが食べたくなるブース。
ミーハーなのであやうく「みはしさんと、かとみのあんみつ食べに行きたい」とツイートしかけた。逆や。
台湾夜市マニアさん
このブースでは台湾の夜市にあるゲームで実際に遊べる。
一見すると簡単そうなゲームだが、これがすごく難しい…!
ルールは単純だが奥が深く、ハマってお金を無限につぎこみマニアフェスタが終わるまで遊びそうので1回で我慢した。
他にも
銭湯マニアさんや
独自すぎる店マニアさん
狛犬マニアさん
街角狸マニアさん
ミクシィ&イラストマニアさん
マンボウマニアさん
・・・などなど。
紹介しきれないほどたくさんのブースをまわった。
そして
今回のマニアフェスタの戦利品の数々。
眺めているだけで心が浄化される・・・。
本はその人の研究・情報収集の集大成であるし、グッズはその人自身を象徴しているものでもある。
これらのものは大量生産ができない分、あたたかみや熱量・創作に対する執念が込められた希少性の高い、価値のあるものなので我が子のように大切にしたい。
最初にも述べたが、本やグッズの製作はものすごい労力と時間がかかる。
作る立場になって初めて分かったことだった。それでも好きなことを形にする作業は楽しいし、やりがいもある。
お客さんから直接感想をいただける時間は全ての苦労が報われる瞬間である。
今回出展者としても楽しめる事ができ本当に良かった。
マニアフェスタ終了後の懇親会で、たくさんの出展者の方々と作品への想いや苦労話を聞くことができた。自分の好きなことを多くの人に知ってもらいたい、楽しんでもらいたいという共通の目的がある人たちと、終わった後の達成感を共有しあえるのも出展者の醍醐味だ。
「一人で参加していたので他のブースを回る事が出来なくて残念だった」とおっしゃっていた出展者の方もいた。確かに周りに面白いものが溢れているのにみに行けないのは辛すぎる。
次回出展を検討している人は是非売り子さんと一緒に参加して頂きたい。
最後に
ブースを回っている際、出展していた人に話を聞くと皆さんイキイキとした表情で、あらゆる質問に答えてくれた。
私はこの姿をみるのが凄く好きだ。何かに夢中になっている人はキラキラ輝いて見える。
マニアフェスタに来ていたお客さんから「私にはマニアと呼べるような物がない」という声を良く聞いた。
しかし、夢中になれるものがないのではなく、周りに引かれてしまうのではないか、誰も共感してくれないんじゃ無いかと自分を抑えつけ、無意識に無いと決めつけているだけかもしれない。
周りに共感されなくても、自分が心から好きと言えるものであれば堂々と発表していい。
マニアフェスタは技量や知識を競う催しでは全く無いし、自分の好きな事を人に伝える事で、どうして自分がそれが好きなのか、どんな視点でその対象を見ているのかを再確認が出来る場でもある。
今回2日間でなんと2700人以上のお客さんがきたという。今後ももっと増えるだろう。
大人達の自由研究の発表会であり、別ジャンルのマニアとマニアの異文化コミュニケーションの場でもあるマニアフェスタ。
次回の開催も楽しみである。